【着物談義】浮世絵の着物って本当に「ゆるゆる」?
安城市歴史博物館の
「ごろごろまるまるネコづくし」展
に行ってきました。
ネコが得かがれた浮世絵約150点!
小さな地位方都市(失礼!)によくこれだけ集まったなぁと思ってしまうほど見ごたえ満載でした。
ネコも大好きですが、浮世絵が大好きです。浮世絵展があればいそいそと出かけて、図録を買ってきてはニマニマ見てます。浮世絵って本当にすごい……なんてお話はまた今度として。
浮世絵に出てくるきものについて思ったこと。
「浮世絵の女性は着物をゆるゆるに着てる」 の本当?
浮世絵に描かれた女性の着物を よーく見ますとね、襦袢の襟ははだけてないのです。 「くつろいでいるシーン」以外は首元はきちんと合わせられてる。衣文の抜き方も、むしろ、今の若いお嬢さんのほうが抜いてませんか?というぐらい。なにがゆるゆるかって、その上の着物がゆったりなんですね。
今回展示されていた歌川国貞「新板風流相生尽 卯春 竹にすずめ(画像検索していただければ出てきます~)。
この絵では女性が懐に猫を入れています。
が。
襦袢と着物の間にいます。
当時は着物を何枚も重ね、冬は綿入りの着物でした。 今でいう半纏のような着物を着ればあんなふうに「ゆったり」になるのかなぁと思うのです。「ゆたり」ではあっても「ぐずぐず」ではない。
そして、基本的に襦袢は身体に合わせて着た上に、着物をゆったり被せてそれを帯で止める。
よく言われるように
「昔の人は浮世絵のようにゆるゆる着ていたんだから、今でもゆるゆるでもいいんじゃないの」ではなかったのではない??
わたしの着物の考えは
「着物の本体は襦袢まで。 着物はおしゃれのためのカバーのようなもの」
ですが、浮世絵を見ているとそれに近いものを感じます。
ま、個人の感想ですけれどね?(笑
そして。
浮世絵といっても、明治になると途端に写実的になるのね。これが露骨で「ああ、西洋文化が入ってきたのね。『浮世絵なんて稚拙ではずかしい』とかおもちゃったのね」とわかりやすい。わたしは江戸までに浮世絵が好きだなぁ。明治以降の浮世絵は面白みがなくなります。
浮世絵のなにが面白いって、その大胆な構図でデフォルメ、なのに細部は超絶細かい!ところ。
……はおいておいて。
明治以降の浮世絵の中の女性を見ると江戸の浮世絵のように「ゆるゆる」じゃないの。 案外きちんと着ています。
先にもちらっと書いたように江戸の浮世絵は写実的であることより、イメージング優先。そのためにデフォルメされています。だから、あのゆるゆるの着物の姿も女性らしさの布で表現しているだけで、「本当にあのままの姿だったのか?」には疑問があるのではないなぁと思うのです。
少なくとも、今の「ゆるゆる」のようにはだけて肌が見えていたり、着崩れたりするものではなかったと思います。のんびりくつろいでいるときの肌丸見え状態の浮世絵であふれているはず。ぱっとみ「ゆるゆる」に見えても、実際はそうではないのではないかな。
そんなことを思うのでした。
まだまだ研究していきます~。