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ニンジャスレイヤーTRPG自作シナリオ/モータルセッション:廃村の邪悪儀式を追え【2部】

はじめに

このシナリオは「ニンジャスレイヤーTRPG」のプラグイン環境に対応したシナリオである。

シナリオ概要

ネオサイタマには多くのアーバン・レジェンドがある。刹那的娯楽に飢えた市民が飛びつくには、うってつけの存在だ。
荒唐無稽な話がIRC経由で広がり、消費され、忘れ去られる。そのサイクルの中に、金脈が眠っている。
悪魔的儀式の噂が広がる廃村。都市伝説で小銭を稼ぐモータル達がビデオカメラを構え、足を踏み入れる……。

対象:
初期作成のモータル(一般市民/アウトロー)3~4人。
難易度:ややハード/Wasshoi!判定あり。知識スキル重要。
キャラロスト:あり
余暇:標準(4スロット)

補足:「PCキャラメイクのオプション集」を使用して作成されたばかりのモータルPC3〜4人程度のプレイを想定しています。知識スキルを要求する機会が多いため、PC達が知識スキルを取得しているかシナリオ開始前に確認してください。

ダンゴウの開始

蒸し暑くなりつつある初夏の夜、ネオサイタマ郊外に4人のモータルがいた。
IRCを通して知り合ったものの、こうして出会うのは初めてかもしれない。
まずは互いに自己紹介し、人となりを知るのが先決だろう。

NMはここでPC達に自己紹介を兼ねたRPを促す。ある程度お互いの素性が共有できたと思った段階で、以下の文章と共に予備調査を行う。

メガコーポの無軌道な開発計画に巻き込まれ、捨てられた村。そこでは悪魔的儀式が行われているらしい。
ネオサイタマ市民はインスタントな娯楽に飢えている。儀式の証拠を撮影し、コンテンツに変えてやれば、カネと称賛が湧く。
ビデオカメラの充電に抜かりはない。「録画な」の文字が赤く灯り、不気味な廃村を記録する。

予備調査

今回の『調査判定』には【ニューロン】【ワザマエ】のどちらかを使用する。難易度はNORMALで、PCの内代表で選ばれた者1人しか判定を行うことが出来ない。

本シナリオでは、予備調査に成功することでPCの生存率が上がっていく。NMは各PCの知識スキルを活用できるか提案を促す、あるいはNM側からも提案を行うなど、積極的に判定で使用するダイスを増やしていくことが望ましい(そうすること前提のバランスになっている)。

プレイ例:ボブはモータルを作成するにあたって、『◉知識:山岳エリア』と『◉知識:オカルト』を取得した。ボブは廃村を調べるにあたって、『◉知識:山岳エリア』を活かして廃村一帯の地域に関して土地勘があると提案した(ダイス+2)。さらにボブは『◉知識:オカルト』をどう活用するか考え、「自分はオカルトに詳しいため、ポピュラーな邪悪儀式ならば見つけることが出来る」と提案した。NMはこれを受けて、『◉知識:オカルト』も適した知識であると判断した。

荒唐無稽な提案でも、適した知識として判断して良い(人を不快にするものでなければ)。

廃村に関する予備調査(ニューロン・ワザマエ判定)

廃村に人の気配はない。本当に『儀式』は存在するのだろうか。

【ニューロン】を用いた『調査判定』を行うこと。難易度はNORMALで、PCの内代表で選ばれた者1人しか判定を行うことが出来ない。

この知識判定では、任意の知識スキルを最大で2個まで使用できる。

◆廃村の構造に関する予備調査(上限+4まで):
適した知識スキル(+2):
任意の『知識:〇〇』

成功:「開発計画反対」「豊かな自然が破壊される」など、村民の抵抗が込められたカンバンが残っている。各PCはそれぞれ【万札】3を獲得する。

【6】:スゴイ! カンバンの朽ちた部分が補修されている、経過した時間を考えれば、十分なほどに手入れされている。全員緊急回避ダイス+1

【6,6】:テンサイ!
足跡を発見した。かなり新しい。全員緊急回避ダイス+1、

この【万札】は、廃村撮影ビデオによって得られるカネである。

判定に成功したかどうかに関わらず、NMは次に以下の情報を伝える。

民家のほとんどは放置されて久しく、わずかに生活の面影を残すのみ。
残る調査は村の最奥地、最も大きな屋敷だけだ。撮れ高を狙うには、三つの場所を探索する必要がある。

1.居間
2.台所
3.物置小屋

1から順に探索することも、いきなり3番から探索することも可能。

PC達が屋敷を捜索する場合、番号に応じて以下の調査判定を行う。

1.居間に関する予備調査(ニューロン・ワザマエ判定)

他の民家と違って、屋敷の居間はどこか奇妙だ。生活感がある。

【ニューロン】または【ワザマエ】を用いた『調査判定』を行うこと。難易度はNORMALで、PCの内代表で選ばれた者1人しか判定を行うことが出来ない。

この知識判定では、任意の知識スキルを最大で2個まで使用できる。

◆居間に関する予備調査(上限+4まで):
適した知識スキル(+2):
任意の『知識:〇〇』

成功:オブツダンには美しい女性と、まだ幼い少女の遺影が飾られていた。近づくと、わずかにセンコの匂いがする。各PCはそれぞれ【万札】3を獲得する。

【6】:スゴイ! 開発に関する黒い噂や、地方議員の癒着を素破抜いた新聞の切り抜きが、大量に保存されている。全員緊急回避ダイス+1。

2.台所に関する予備調査(ニューロン・ワザマエ判定)

台所では蠅が飛び交い、腐臭が鼻をつく。廃村には誰もいないはず。何故?

【ニューロン】または【ワザマエ】を用いた『調査判定』を行うこと。難易度はNORMALで、PCの内代表で選ばれた者1人しか判定を行うことが出来ない。

この知識判定では、任意の知識スキルを最大で2個まで使用できる。

◆台所に関する予備調査(上限+4まで):
適した知識スキル(+2):
任意の『知識:〇〇』

成功:蠅の発生源は解体されたマグロのようだ。胴体はなく、頭部と尾だけが残っている。各PCはそれぞれ【万札】3を獲得する。

【6】:スゴイ! 少し前にコメを炊いた跡がある。腐臭に混じって、ビネガーの香りがする。全員緊急回避ダイス+1。

3.物置小屋に関する予備調査(ニューロン・ワザマエ判定)

この物置小屋は書庫の役割も果たしているようだ。古い文献や、個人的な資料、UNIXも保管されている。

【ニューロン】または【ワザマエ】を用いた『調査判定』を行うこと。難易度はNORMALで、PCの内代表で選ばれた者1人しか判定を行うことが出来ない。

この知識判定では、任意の知識スキルを最大で2個まで使用できる。

◆物置小屋に関する予備調査(上限+4まで):
適した知識スキル(+2):
任意の『知識:〇〇』

成功:本棚から、ある男の日記を発見した。村を守るために戦い、その中で妻と娘を失ったらしい。その後の記述は支離滅裂で、解読は不可能だ。日記を元の場所に戻そうとしたとき、そこに小さなレバーがあった。各PCはそれぞれ【万札】3を獲得する。

【6】:スゴイ! 狂気に犯された日記後半に、気になる記述を発見した。
第49章7節:死せる大いなる祖との交信、あるいはその低級の下僕の召喚。
そのページには鋼鉄の星、スリケンと、メンポをつけたニンジャの絵が書かれていた。全員緊急回避ダイス+1。判定者は「NRS判定:軽度(現在の精神力:EASY)」を行う。

NRS判定の詳細については「PCキャラメイクのオプション集:NRS判定」を参照。

PC達がレバーを調べたいと宣言した場合、NMは次の情報を伝える。

レバーを引くと、確かな手ごたえを感じる。どうやら書物を保管している棚そのものが動くようだ。
棚は非常に重い。開くには少々骨が折れるだろう。

PC全員は【カラテ】判定:NORMALを行う。適切な『知識:〇〇』1つにつきダイス+1個。この判定を各PCは1回ずつ行える。

PC全員が判定に失敗した場合、任意のPCは【精神力】1を支払うことで再挑戦出来る。

判定に成功した場合、NMは次の情報を伝える。

レバーを引き、扉を開けると、そこには地下へと続く階段があった。

PC達が地下に行くと決めた場合、NMはマップを公開して、シナリオ本編を開始する。

薄い橙色に塗られた場所が、初期配置マスである。シナリオが始まったら、イニシアチブの逆順にPCのコマを好きな初期配置マスに配置させること。

Google Docs マップはリンクからコピーして使用する

①:脱出マス(緑色のマス):このマスに移動したキャラは、脱出に成功したとみなす。

②:横穴マス(赤色のマス):このマスにいるキャラは敵の攻撃のターゲットにならず、敵の範囲攻撃のダメージを受けない。ただし、このマスにいるキャラは毎ターンボス級の敵と【ニューロン】による『対抗判定:NORMAL』を行う。これに敗北した場合、このマスの効果は戦闘終了時まで無効となる。

地下道は湿っており、カビた匂いが辺りを包んでいる。水滴のしたたる音と、自分たちの足音に加えて、もう一つ別の音が聞こえてくる。

「……ーッ ……ヤーーッ! イヤーーッ! イイイヤアアーーーッ!」

カラテシャウトだ。狂ったカラテシャウトと何かが粉々に砕け散る音が、地下に響き渡った。

魔法陣の周囲に立てられたロウソク、カラテチョップで破砕されたと思わしき物品の数々、奇怪な香りを放つ煙。この世ならざる異様な光景が、そこには広がっていた。

PC全員は「NRS判定:軽度(現在の精神力:EASY)」を行い、「戦闘シーケンス」に進むこと。

「また失敗か……?いや、そんなはずはない。儀式は完璧だ」男の顔に焦りと苛立ちが浮かぶ。背後からの物音に気付き、侵入者を見た。

「貴様らか。貴様らが『儀式』を乱したか」

「詫びの心臓が要る。恨みはないが、死んでもらう」

男の目は狂気に染まっている。"儀式"完遂のためなら手段を選ばない迫力があった。

◆発狂カラテマン「ミタバシ」 (種別:モータル/ボス級の敵)
カラテ    4  体力   4
ニューロン  3  精神力  3
ワザマエ   3  脚力   3
ジツ     –  万札   -

攻撃/射撃/機先/電脳/回避  4/3/3/3/4 

◇装備や特記事項
 素手:近接武器、ダメージ1
 スマッシュ:近接武器、HARD、ダメージ2(『基本回避難易度:EASY』)

※モータルは回避難易度が+1されることに注意。
 素手の回避難易度はHARD、スマッシュの回避難易度はNORMALになる。

◇戦闘シーケンス1:廃村の狂人

PC達はミタバシと戦闘になる。ミタバシは狂人であり、「儀式」を成功させるためになんでもする。命乞いや交渉を行ったとしても、一方的な謝罪を返す以外のことはしない。

ミタバシは素手による攻撃を行う。隣接しているPCがいる時は『集中状態』に入り、攻撃難易度NORMALでスマッシュを使用する。

この戦闘はミタバシの【体力】が0以下になるまで継続する。

◇戦闘シーケンス2:廃村のニンジャ

「アバーッ!」突如、ミタバシの肉体が痙攣!その目が紫に発光し、エビ反りめいて体をこわばらせる!

「……生きている」
「フフフ……なるほど、御遣いは俺自身。この力で血と贄を捧げろというのか」
ドーモ、ブラックフィエンドです。大いなる者よ……感謝を!」

◆ブラックフィエンド(種別:ニンジャ/ボス級)
カラテ    6  体力   6
ニューロン  3  精神力  3
ワザマエ   3  脚力   3/N
ジツ     2  万札   -

攻撃/射撃/機先/電脳  6/3/3/3
回避/精密/側転/発動  6/-/3/5

◇装備や特記事項
 素手:近接武器、ダメージ1
 スマッシュ:近接武器、HARD、ダメージ2(『基本回避難易度:EASY』)
  カトン・ジツLV2:隣接3x3、火炎ダメージD3(中心)、火炎ダメージ1(周囲)

ミタバシにニンジャソウル憑依現象が起こり、半神的存在となる。そのプロセスを見たPC全員は「NRS判定:中度(現在の精神力:NORMAL)」を行い、「戦闘シーケンス2」に進む。

ブラックフィエンドは【精神力】が尽きるまで『カトン・ジツLV2』を使用する。このジツによってPCが死亡した場合、残りのPC全員は「NRS判定:重度(現在の精神力:HARD)」を行う事。【精神力】が尽きた場合、接近して「素手」または「スマッシュ」を使用する。

◆特殊ルール:撮影

戦闘シーケンス2中、PC達は超自然的シチュエーションに晒される。これを撮影することで、「良い」と万札を得ることが出来る。

ターン終了時、ブラックフィエンドの周囲5マス以内にいる各PCはそれぞれ【万札】5を獲得する。これによってシナリオ中に獲得した【万札】が合計30を超えた場合、バッテリー切れと見なされそれ以上の撮影を行うことはできない。

PCはブラックフィエンドの攻撃を回避しながら、万札獲得か撤退かを選んで行動する。生存を最優先して逃走しても良いし、死ぬまで万札を手に入れても良い。NMは全力移動のルールを予め伝え、PC達が逃げ遅れてしまう状況を避けること。

●全力移動

攻撃も射撃もあきらめ、脇目も振らずに逃げ出したり、目標に向かってなりふり構わず移動する。

攻撃フェイズに「その他の行動」として使用可能。直前の「移動フェイズ」に1マス以上移動している場合のみ使用可能。直ちにD3マスの追加の通常移動(ナナメ不可)を行える。

ニンジャスレイヤーの乱入

地の文:地下道の濁った空気を裂くように、色付きの風が吹き込んだ。風は回転ジャンプを伴って着地し、決断的にアイサツした。

「ドーモ、ブラックフィエンド=サン。ニンジャスレイヤーです」

このシナリオでは『Wasshoi判定』次第で、ニンジャスレイヤーが出現する。ニンジャスレイヤーはブラックフィエンドに対して攻撃を行う(戦闘不能のPCがいる場合、そのPLがニンジャスレイヤーを操作しても良い)。

◆このシナリオにおけるDKKと『Wasshoi!判定』
・PC達に『サツバツ!』または『カトン・ジツLV2』が命中した場合、ブラックフィエンドのDKKは1D3上昇する(PCが死亡した際は1D6)。
・DKKが上昇したターン終了フェイズ、ブラックフィエンドのDKKが5以上ならば、Wasshoi!判定を行う。
・Wasshoiエントリー判定は行わず、ブラックフィエンドの周囲3マス以内のいずれかのマスに登場する(PLに決めさせること)。

◇シナリオの終了

ネオサイタマには多くのアーバン・レジェンドがある。刹那的娯楽に飢えた市民には、うってつけの存在だ。 荒唐無稽なストーリーがIRCを通して広がり、消費され、忘れ去られる。

その方が、幸せなのかもしれない。不用意に歴史の闇に触れるよりは。

マップ上にPCが1人も存在しなくなった場合、このシナリオは直ちに終了する。その場に倒れて行動不能になったPCは、マップ上に存在しないものとみなすこと。

シナリオ報酬

PC達は予備調査で得た万札と、戦闘シーケンス中に獲得した万札を報酬として得る。加えて、死線を潜り抜けたことでタフになったことを表すため、【名声】が+1される。余暇は4日である。

◆ニンジャスレイヤー乱入前にブラックフィエンドの【体力】が0以下になり、爆発四散した場合

各PCはさらに追加で【万札】10を得て、【名声】が+1される(合計+2)

NPCデータ

◆発狂カラテマン「ミタバシ」 (種別:モータル/ボス級の敵)
カラテ    4  体力   4
ニューロン  3  精神力  3
ワザマエ   3  脚力   3
ジツ     –  万札   -

攻撃/射撃/機先/電脳/回避  4/3/3/3/4 

◇装備や特記事項
 素手:近接武器、ダメージ1
 スマッシュ:近接武器、HARD、ダメージ2(『基本回避難易度:EASY』)

※モータルは回避難易度が+1されることに注意。
 素手の回避難易度はHARD、スマッシュの回避難易度はNORMALになる。
◆ブラックフィエンド(種別:ニンジャ/ボス級)
カラテ    6  体力   6
ニューロン  3  精神力  3
ワザマエ   3  脚力   3/N
ジツ     2  万札   -

攻撃/射撃/機先/電脳  6/3/3/3
回避/精密/側転/発動  6/-/3/5

◇装備や特記事項
 素手:近接武器、ダメージ1
 スマッシュ:近接武器、HARD、ダメージ2(『基本回避難易度:EASY』)
  カトン・ジツLV2:隣接3x3、火炎ダメージD3(中心)、火炎ダメージ1(周囲)

ミタバシは開発反対運動の中心人物だった男である。妻と娘を失い、精神に異常をきたした彼は、邪悪なニンジャ儀式に没頭するようになる。儀式によってニンジャを『召喚』し、メガコーポに復讐しようとしていた。

終わりに

このシナリオのリプレイなどを公開する場合、公式ルールとの混同を避けるため可能な限りこの記事を引用元として明記すること。「ダイハードテイルズ」公式以外による無断の商用利用は法的に認められた例外を除いて原則不可とします。

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