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妖刀喰らいを呼べ!
はじまりの歌
妖刀悪事働くべからず
その刃で迷惑かけるべからず
悪事をすればやってくる
妖刀喰らいがやってくる
首無し乙女の怪
江戸250年、霊力エネルギー革命に成功した栄華の時代。
夜を恐れなくなった民は、妖刀に怯えていた。
「また首無し乙女。今月で3人目だぞ」
「首を斬られたのに生きてるんだろ?気味が悪い」
「首無し乙女」。首を斬られたにもかかわらず、死ぬずにその場に倒れ伏す。夜な夜な自分の首を求めて、もがき苦しむ。
被害者は江戸の名門女学校「栄光獅子女子学園」のうら若き少女たち。多くの者が首探しに尽力したが、痕跡すら見つからず。
噂は内閣大将軍の耳にも届く。彼は一言告げた。
「妖刀喰らいを呼べ」
妖刀喰らい
夜がやってくる。人気のいない裏道には一人の男。奇怪な刀を腰には刀をぶら下げている。
瞳には紫の光、何かに操られているよう。その目が一人の少女に向けられた。刀が抜かれ、女の首へと。
届くことはない!影が割り込み、刀を弾いた!チャンバラ金属音!月光に影が照らされ、イケメンの素顔があらわに!
「妖刀《介錯》、江戸で随分やってるじゃないの」
イケメンはチャンバラ距離まで接近、《介錯》の反撃をチャンバラタイミングで避け、刀を振り抜く!切られたのは男ではなく、《介錯》の刀身!
折れた刃が地面に刺さり、男が崩れ落ちる。《介錯》は塵となり、イケメンの刀に吸われる。
『その刀……貴様が妖刀喰らいか……』
「悪事をすれば妖刀喰らいが来る。アンタも知ってるだろう」
『ああ……だが俺は……弟に会いたかった……』
妖刀の声は聞こえなくなる。切った刀を喰らい、妖刀界へ送り返す。それが妖刀喰らいの刀だ。《介錯》は本来二刀で一つ、もう一振りはどこへ。妖刀喰らいは夜の闇に紛れる。
王子様はいずこ
妖刀喰らい様。
私はあの夜、あなたに助けていただいたものです。
一目惚れでした。もう一度会いたい。
11時30分に、喫茶店「アイクチ」で待っています。
【続く】