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ニンジャスレイヤーTRPG自作シナリオ/モータルセッション:一攫千金【2部】

はじめに

このシナリオは「ニンジャスレイヤーTRPG」のプラグイン環境に対応したシナリオである。

シナリオ概要

突如、ドローンによってネオサイタマ中に手書きのチラシが配られ始めた。
そこには「300万あげます」という一文が、デフォルメされたカートゥーン万札キャラと共にかかれていた。
300万につられたもの、訝しむもの、非日常を求めるもの。様々な人間が、指定された廃マンション3Fへと向かう。

対象:
初期作成のモータル(一般市民)3~4人。
難易度:ややハード/Wasshoi!判定あり。知識スキル重要。
キャラロスト:あり
余暇:標準(4スロット)

補足:「PCキャラメイクのオプション集」を使用して作成されたばかりの一般市民モータルPC3〜4人程度のプレイを想定しています。知識スキルを要求する機会が多いため、PC達が知識スキルを取得しているかシナリオ開始前に確認してください。

ダンゴウの開始

「★★★★★:300万貰えるって聞いたので行ってみたら、本当に300万もらえました!」
「★5.0:4人で300万山分けしようと思ったら、一人ずつ300万渡してくれました!合計1200万!」
「★★★★☆:学生ローンで苦労していた私ですが、300万を貰ったことで状況が改善され、今ではお互いに理解しあえる彼氏もできました!」
「★1.0:《このレビューは削除されました》」

ドクロめいた月がネオサイタマを照らす夜、廃マンション内のエレベーターで向き合うモータル達がいた。
皆、様々な理由で300万を求めて、ここに来ている。
いずれにせよ、この不明瞭なディールを乗り切るためには、お互いにある程度素性を明かしておいたほうがいいだろう。

NMはここでPC達に自己紹介を兼ねたRPを促す。ある程度お互いの素性が共有できたと思った段階で、以下の文章と共に予備調査を行う。

「臨界です」音声不調のエレベーターが3階で止まり、扉が開く。
事の真偽はともかく、おおむね評価は高いこのチラシ。
やることは一つ、300万の正体を突き止め、あわよくばそれを手に入れることだ。

予備調査

今回の『調査判定』には【ニューロン】【ワザマエ】のどちらかを使用する。難易度はNORMALで、PCの内代表で選ばれた者1人しか判定を行うことが出来ない。

本シナリオでは、予備調査に成功することでPCの生存率が上がっていく。NMは各PCの知識スキルを活用できるか提案を促す、あるいはNM側からも提案を行うなど、積極的に判定で使用するダイスを増やしていくことが望ましい(そうすること前提のバランスになっている)。

プレイ例:ボブはモータルを作成するにあたって、『◉知識:セキュリティ』と『◉知識:オイランドロイド』を取得した。ボブはマンションを調べるにあたって、『◉知識:セキュリティ』を活かしてマンションの監視カメラから情報を得ることにした(ダイス+2)。さらにボブは『◉知識:オイランドロイド』をどう活用するか考え、「近くにあるオイランドロイド専門のショップによく通っていて、そこからこのマンションを見る機会があった」と提案した。NMはこれを受けて、『◉知識:オイランドロイド』も適した知識であると判断した。

荒唐無稽な提案でも、適した知識として判断して良い(人を不快にするものでなければ)。

マンション3階の構造に関する予備調査(ハッキング判定)

付近には監視カメラや、偵察用ドローンがある。八ッキングを用いれば、マンション3階の構造を調べることもできる。

【ニューロン】を用いた『調査判定』(ハッキング)を行うこと。難易度はNORMALで、PCの内代表で選ばれた者1人しか判定を行うことが出来ない。

この知識判定では、任意の知識スキルを最大で2個まで使用できる。

◆マンション3階の構造に関する予備調査(上限+4まで):
適した知識スキル(+2):
任意の『知識:〇〇』

成功:周辺一帯の監視カメラやドローンをハッキングし、マンション3階のおおよその情報を把握していく。廊下には、万札がパンくずめいて置かれている。拾うだけでもある程度の額になるだろう。各PCはそれぞれ【万札】3を獲得する。

【6】:スゴイ! 何か違和感を感じた。カメラ越しにもわかるほど、辺りが静寂としすぎている。全員緊急回避ダイス+1、『???』のDKK+1。

【6,6】:テンサイ!
最も奥、つきあたりの部屋、カメラの荒い映像では判別しづらいが……何かが窓にこびりついている。全員緊急回避ダイス+1、『???』のDKK+1。

『???』はこのシナリオのボスである。

判定に成功したかどうかに関わらず、NMは次に以下の情報を伝える。

マンションには「300万ロード」と書かれた4つの部屋と廊下がある。
1の部屋
2の部屋
3の部屋
4(一番奥)の部屋

1から順に部屋を探索することも、いきなり一番奥の部屋に入ることも可能。

PC達が部屋を捜索する場合、番号に応じて以下の調査判定を行う。

1の部屋に関する予備調査(ニューロン・ワザマエ判定)

この部屋にはベッドと机があり、何者かが入った痕跡がある。

【ニューロン】または【ワザマエ】を用いた『調査判定』を行うこと。難易度はNORMALで、PCの内代表で選ばれた者1人しか判定を行うことが出来ない。

この知識判定では、任意の知識スキルを最大で2個まで使用できる。

◆1の部屋に関する予備調査(上限+4まで):
適した知識スキル(+2):
任意の『知識:〇〇』

成功:ベッドと机の裏に、万札の束が張り付けられていた。「発見ボーナス!」というメモ書きが置かれている。各PCはそれぞれ【万札】3を獲得する。

【6】:スゴイ! ベッドの裏を覗いた際、床を強く引っかいた跡を発見した。誰かに無理矢理引きずられたかのように。全員緊急回避ダイス+1、『???』のDKK+1。

2の部屋に関する予備調査(ニューロン・ワザマエ判定)

この部屋にも、誰かが入った形跡がある。月明かりに照らされた床に、どことなく違和感を覚える……。

【ニューロン】または【ワザマエ】を用いた『調査判定』を行うこと。難易度はNORMALで、PCの内代表で選ばれた者1人しか判定を行うことが出来ない。

この知識判定では、任意の知識スキルを最大で2個まで使用できる。

◆2の部屋に関する予備調査(上限+4まで):
適した知識スキル(+2):
任意の『知識:〇〇』

成功:床の一部がくりぬけるようになっており、穴の中に万札の束が置かれていた。「スゴイ!カネモチだ!」というメモ書きが置かれている。各PCはそれぞれ【万札】3を獲得する。

【6】:スゴイ! 内側の壁がひび割れている。人が無理やり隠れようとしない限り、こうなることはないだろう……。全員緊急回避ダイス+1、『???』のDKK+1。

3の部屋に関する予備調査(ハッキング・ワザマエ判定)

屋の中央に、タンスがぽつんと置かれている。タンスの戸には、不似合いな最新鋭電子・物理の二重ロックがつけられている。

判定を行う代表者を二人選ぶ。

一人は【ニューロン】を用いた『調査判定』(ハッキング)を行うこと。もう一人は【ワザマエ】による判定を行うこと(調査判定ではない)。どちらも難易度はNORMALである。

この知識判定では、任意の知識スキルを最大で2個まで使用できる。

◆3の部屋に関する予備調査(上限+4まで):
適した知識スキル(+2):
任意の『知識:〇〇』

成功:ガコンプシュー!ロックが解除され、中には分厚い万札の束が置かれていた。「私が貧乏になってしまう」というメモ書きが置かれている。各PCはそれぞれ【万札】3を獲得する。

【ハッキング:6】: スゴイ! 一枚の万札の端が、赤く染まっているのを見逃さなかった。全員緊急回避ダイス+1、『???』のDKK+1。

【ワザマエ:6】: スゴイ!
一枚の万札の端が、赤く染まっているのを見逃さなかった。全員緊急回避ダイス+1、『???』のDKK+1。

【ハッキング:6、ワザマエ:6】:
暗がりで見えなかったが……次第にはっきりと確認できるようになる。血に染まったスリケンと、スリケンで壁にびっしりと刻まれた、「ニンジャ」「ニンジャ」「ニンジャ」「ニンジャ」の文字が。全員緊急回避ダイス+1、『???』のDKK+1、全員「NRS判定:軽度(現在の精神力:EASY)」を行う。

NRS判定の詳細については「PCキャラメイクのオプション集:NRS判定」を参照。

PC達が4(一番奥)の部屋に行くと決めた場合、NMはマップを公開して、シナリオ本編を開始する。

薄い橙色に塗られた場所が、初期配置マスである。シナリオが始まったら、イニシアチブの逆順にPCのコマを好きな初期配置マスに配置させること。

Google Docs マップはリンクからコピーして使用する

①:バリケード設置可能マス(赤色のマス):このマスに隣接した状態で、【ハッキング:HARD】判定を行うことが出来る成功した場合、このマスは一時的に【体力】6を持つ通行不可能な壁として扱われる。これは射線を遮る。

②:エレベーターマス(緑色のマス):このマスに移動したキャラは、脱出に成功したとみなす。NPCは侵入不能。エレベータードアマスに隣接し場合、エレベーターを起動する必要がある(判定不要)。エレベーターのドアは起動したターンの終了時に開く。

③:窓マス:3階から飛び降りれば実際死ぬ。ここから脱出する場合、『回避難易度:U-HARD』に成功しなければならない(モータルの場合難易度上昇によってUH2、アドレナリンブースト適用可)。失敗した場合、そのキャラは直ちに2D6ダメージを受ける。

④:金マス:大量の万札が入ったアタッシュケース。手番「攻撃フェイズ」に『その他の行動』を消費して万札回収が出来る。金マス隣接必須。その場合、【ワザマエ:HARD】を行い、成功数x4だけ万札を入手できる(即応ダイス使用可)。これは勝利条件・敗北条件を満たすか、ニンジャスレイヤー乱入まで行うことが出来る。

ここが最後の部屋だ。ドアを開けた瞬間、異質な臭いが鼻を衝く。
およそ300万があるとは思えないツキジめいたゴア風景が広がり、奥でモゴモゴと何かが動いている。
"それ"はゆっくりと振り返り、来客の方を見る。電灯が一瞬点滅し、メンポとニンジャ装束を浮かび上がらせた
「ドーモ、300万を求めるモータル達。私はニンジャで、クランチといいます」

「アイエ……助け……」同じく300万を求めてやってきたと思わしきサラリパンクスが、失禁しながら助けを求める
「イヤーッ!」クランチはそのサラリパンクスをカラテチョップで真っ二つに切断し、捕食し始めた!
「アイエエエエエ!!アバーッ!」

「チラシを見てやってきたのだろう!わかるぞ!」
「300万はある、ここにだ!」クランチがアタッシュケースを取り出す。中には万札の束!
「ツカミトリだ!私が君たちを喰らうのが早いか、君たちが300万を手に入れて逃げおおせるが先か!」

PC達が4の部屋に入った場合、「NRS判定:中度(現在の精神力:NORMAL)」を行い、「戦闘シーケンス」に進むこと。

◆クランチ (種別:ニンジャ、大型1x1)
カラテ    5  体力   13
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   4  脚力  4/N
ジツ     2  万札    -

攻撃/射撃/機先/電脳  7/6/2/3
回避/精密/側転/発動  3/6/-/-

非道サイバネ顎:近接攻撃、ダメージ1(固定)、【5+,5+】で『サツバツ!』発生。『ナムアミダブツ!』発生なし。

◇装備や特記事項
 生体LAN端子LV1
 『●連続側転不能』、『●大型1x1』、『●連続側転不可』
 『突撃』、『巨体の薙ぎ払い』、『ニンジャソウルの闇x2』
 
『巨体の薙ぎ払い』:
素手の戦闘スタイル。連続攻撃上限1。『痛打』『サツバツ!』発生なし。カウンター不可。
【ワザマエ:HARD】で『発動判定』。隣接している敵全員に1ダメージを与える(回避:NORMAL、モータルの場合「回避難易度+1」によって『回避:HARD』)。

◇戦闘シーケンス:万札とニンジャ

PCはクランチの攻撃を回避しながら、万札獲得か撤退かを選んで行動する。生存を最優先して逃走しても良いし、死ぬまで万札を手に入れても良い。NMは全力移動のルールを予め伝え、PC達が逃げ遅れてしまう状況を避けること。

●全力移動

攻撃も射撃もあきらめ、脇目も振らずに逃げ出したり、目標に向かってなりふり構わず移動する。

攻撃フェイズに「その他の行動」として使用可能。直前の「移動フェイズ」に1マス以上移動している場合のみ使用可能。直ちにD3マスの追加の通常移動(ナナメ不可)を行える。

クランチは『巨体の薙ぎ払い』を使用し、出来るだけ多くのPCにダメージを与える。『突撃』があるため、逃げたPCにも接近しやすい。【体力】1のPCがいる場合、非道サイバネ顎で攻撃する。『サツバツ!』が発生した攻撃でPCが死亡した場合、「NRS判定:重度(現在の精神力:HARD)」を行う事。

ニンジャスレイヤーの乱入

地の文:「Wasshoi!」突如マンション3階の天井が吹き飛び、アタッシュケースの万札が紙吹雪めいて舞い上がった。赤黒の乱入者はクランチを捕らえ、アイサツを繰り出した。

「ドーモ、クランチ=サン。ニンジャスレイヤーです」
「通りすがりだ、だが貴様は殺す」

このシナリオでは『Wasshoi判定』次第で、ニンジャスレイヤーが出現する。ニンジャスレイヤーはクランチに対して攻撃を行う(戦闘不能のPCがいる場合、そのPLがニンジャスレイヤーを操作しても良い)。

◆このシナリオにおけるDKKと『Wasshoi!判定』
・PC達にサツバツ!が命中した場合、クランチのDKKは1D3上昇する(PCが死亡した際は1D6)。
・DKKが上昇したターン終了フェイズ、クランチのDKKが5以上ならば、Wasshoi!判定を行う。
・Wasshoiエントリー判定は行わず、金マスに必ず出現する(以降、金マスは消滅し、万札を回収できなくなる)。

◇シナリオの終了

地の文:金は天下の回り物、金の切れ目が縁の切れ目。旧世代のコトワザは、マッポーの世を的確に捉えているのかもしれない。空にはドクロめいた月が浮かび、静かにネオサイタマを照らしていた。 

マップ上にPCが1人も存在しなくなった場合、このシナリオは直ちに終了する。その場に倒れて行動不能になったPCは、マップ上に存在しないものとみなすこと。

シナリオ報酬

PC達は予備調査で得た万札と、戦闘シーケンス中に獲得した万札を報酬として得る。加えて、死線を潜り抜けたことでタフになったことを表すため、【名声】が+1される。余暇は4日である。

NPCデータ

◆クランチ (種別:ニンジャ、大型1x1)
カラテ    5  体力   13
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   4  脚力  4/N
ジツ     2  万札    -

攻撃/射撃/機先/電脳  7/6/2/3
回避/精密/側転/発動  3/6/-/-

非道サイバネ顎:近接攻撃、ダメージ1(固定)、【5+,5+】で『サツバツ!』発生。『ナムアミダブツ!』発生なし。

◇装備や特記事項
 生体LAN端子LV1
 『●連続側転不能』、『●大型1x1』、『●連続側転不可』
 『突撃』、『巨体の薙ぎ払い』、『ニンジャソウルの闇x2』
 
『巨体の薙ぎ払い』:
素手の戦闘スタイル。連続攻撃上限1。『痛打』『サツバツ!』発生なし。カウンター不可。
【ワザマエ:HARD】で『発動判定』。隣接している敵全員に1ダメージを与える(回避:NORMAL、モータルの場合「回避難易度+1」によって『回避:HARD』)。

クランチは非道捕食サイバネ顎を持つ邪悪なニンジャである。「万札に群がる欲深いモータルの肉」を食べることが、カラテを得る最良の手段だと思っている。

終わりに

このシナリオのリプレイなどを公開する場合、公式ルールとの混同を避けるため可能な限りこの記事を引用元として明記すること。「ダイハードテイルズ」公式以外による無断の商用利用は法的に認められた例外を除いて原則不可とします。

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