極上のインディポップとラップで、がっちり掴まれる耳と口 「Roy Blair」 【ANTENA #6】
コロコロと変わるそのビビッドな髪色で、90年代のポップ/ミクスチャーサウンドにも通づる甘くも軽快なインディポップを聴かせてくれるのが、L.A出身のSSW、ロイ ブロイ。
彼のサウンドは、ほどなく甘いティーン・ポップに哀愁感漂うブルース、サーフロック、ベッドルームを加えて、さらに現代的なHIP-HOPのクリエイティブでコネコネしたとでもいいましょうか。
それもBROCKHAMPTON(ブロックハンプトン)の中心人物であるKevin Abstractなんかが呼応しているのがわかりやすいんだけど、彼もまたHIP-HOPグループながら、ソウルや歌をうまく利用して巧みにポップスに昇華する第一人者だからだ。
キャリアを見てみると、デビュー作の2017年『Cat Haven』はティーンポップのような「Perfume」や、気だるいギターが印象的な「Thunder」。
その他にも「Hazel」や「September」などメジャーの大作には無いベッドルームの四畳半(例え)で作られたからこそ生まれたようなミニマルなサウンドで構成された曲たちが胸を打つ。
そしてこのアルバムを聴いていると、「なんでこのアーティストまだまだなの?」と疑問に思ってしまうほど、すべての曲が口ずさまずにはいられないほどポップなんですよね。
4年前の作品ながらいや、ほんと今でも聴いてる。
2018年にリリースされたSg.「Dennis」は90年代のポップ/ミクスチャーサウンドをもっとも大きく感じさせる楽曲。
ギターとミニマルなエレクトロニカに乗せた軽快なラップソングは、90年代のミクスチャーとは正確には違うはずなんだけど、
聴いているとどうしてもサード・アイ・ブラインドやスマッシュ・マウスを思い起こしてしまうんですよね。
ミクスチャーを通過したり、Jame Tが好きな僕にとっては
彼に興味を持ったのは、こういったラップとポップを組み合わせたようなリバイバル感のある曲だったりしました。
また打って変わって、19年にリリースされた3曲入りのSg.「GRAFFITI」はポップやソウル色が強い楽曲になっていて、トレンドに合わせて自身の興味軸も大きく変わっていっているのだろう。
もともと恐ろしいほどのポップセンスを持っているだけに、このアーティストはこんな感じと伝えたいのだが、90'sフレーバーな曲もあれば現代的なインディポップもありと、もうオススメしたい欲求が止まらなくなる!!
2010年代頃から、ソロアーティストによるインディポップ界隈が個人的に非常に盛り上がっているんだけど、いかんせん日本では認知されてないのがちょっと悲しい。
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