語るように謳うニュー・オルタナ「Dry Cleaning」 【ANTENA #5】
語るような女性ヴォーカルと、その空間系ながらソリッドなギターサウンドが90年代初頭のオルタナやニュー・ウェイヴを感じさせてくれるサウスロンドンを拠点に活動する4人組。
(ちなみに歌うように話す芸術的パフォーマンスのことをスポークン・ワード(Spoken word)というらしい)
2017年のカラオケ・パーティをきっかけに結成し、19年にはEPをリリースしたことでメディアからも即注目バンドとして認知されたようだが、さらには「4AD」からリリースされた今年発売デビューアルバム『New Long Leg』はUKチャートで初登場4位を記録と、、、階段を駆け登る速度が早すぎて凄い。
ライブ映像なんかを見てみるとリズムも音源より早くてパンクバンド感が増すんだけど、ボーカルだけはかなりアート寄り。楽曲は激しいんだが、歌はアンニュイという不思議な組み合わせになっている。
メロディ表現が特出しすぎてしまうボーカルと違って、フラットなトーンで語られる口語表現は、よりバンド音を感じ取りやすい気がする。
その分、どの曲もギターとベースは大きく主張され、そのシンプルなサウンドに面白い色付けをしてくれるが、そのお陰でうまく「バンドとボーカル」が調和されてよい相互効果を出しているように思える。
ただその分、パンクのシンプルなリズムと一定の語りが退屈に感じさせる嫌いもあるっちゃある。
エモーショナルな感情や、音楽に必要な抑揚といった表現は楽器隊の方が担っているわけだが、そこに物足りなさを感じる人も一定数いるだろう。
キャッチーさがあまりないのと、このユニークさゆえ同じ方向性を保っていくのか?それともホラーズのように大きく変化していくのかは、今後が気になるところであったりする。