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Fender LEAD Seriesのブリッジ・サドル色々
Fender LEAD Seriesのブリッジは、オリジナル・現行(2020 Player LEAD)とも6WAYサドルのハードテイルタイプで、サドル幅は10.5mmとなっていますが、細かい点では異なります。ここでは、その細かい点を見てまいります。
オリジナル
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オリジナルは、ブリッジプレートの縦が約39mm、横が約73mm、厚みが約2.6mmで、材質は鉄です。サドルは(恐らく)ダイキャスト製で、サドルの固定にはバネではなく六角ナットが使われています。
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オクターブ調節用のネジは、1・2・3弦用が20.5mm、4・5・6弦用が17.7mmと長さが異なります。弦高調節用のイモネジは2・3・4・5弦用が長さ9.45mmで先端部は窪んでいますが、1・6弦用のものは長さ8.0mmで先端部は半球状です。
現行
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現行のブリッジは所謂Fender American Standard Hardtail Bridgeと言われるものです。
ブリッジプレートは縦が約39mm、横が約73mmとオリジナルのものとほぼ同一ですが、厚みが約3.5mmとやや厚く、材質はやはり鉄です。サドルも鉄製で、サドルの固定にはバネが使われており、オクターブ調整ネジの位置はサドルの中心から向かって左にオフセットされています。
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ブリッジプレート同士を比べると前述の通り縦・横ともほぼ同サイズで、ボディーに固定するためのネジ穴や弦の通る穴もほぼ同位置に見えます。ただ、弦の通る穴の径は現行の2.9mmに対しオリジナルが3.5mmとやや大きいです。
また、固定用ネジはオリジナルが長さ18.6mm太さ4.1mmに対し、現行は長さ25.7mm太さ3.5mmとなり、オリジナルの方が太くて短いです。
ブリッジの交換
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これらより、上の画像のごとく色を変更したい等の目的で、オリジナルのボディーに現行用のFender American Standard Hardtail Bridgeをブリッジプレートごと移植することは可能ですが、やはり微妙な位置のズレも無きにしもあらずで、少なくともボディーに固定するネジは、太さと長さの合ったものを採用した方が間違いないような気がします。
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オリジナルのベースプレートに問題がある場合、交換に用いるものとしては、フェンダー社のBRIDGE ASSY STRT HARDTAIL(上の画像向かって右)が適しています。
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逆に、現行においてブリッジをまるごと交換したい場合、色を変えたいのであれば、ペグでおなじみのKluson社よりKluson Replacement Hardtail Bridge For Fender American Standard Stratocasterが発売されており、これは全く問題なく搭載できます。色もニッケル、クローム、ゴールド、ブラックと各種取り揃っています(上の画像はブラック)。
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また、現行にオクターブ調整ネジがオフセットされていないサドルを採用したい場合、オリジナル用のブリッジベースは搭載可能ながらも入手がやや困難であるため、Callaham社のAm. Std. Hardtail w/ 6 Narrow Vintage Styled "CG" Saddlesなどがお勧めとなります。これにより、オクターブ調整ネジがセンターにある10.5mm幅のサドルが選択できることになります。また、Callaham社にはAm. Std. Hardtail w/ 3 Enhanced Compensated Brass Saddlesというのもあり、これを搭載すると殆どのテレキャスター用3WAYサドルが無改造で搭載できることになります。
10.5mm 6WAY サドル色々
さて、ここからは筆者の所有する10.5mm幅の6WAYサドルを見ていきたいと思います。スペックの詳細は下の表にてご確認ください。
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Callaham / Vintage Styled Strat Saddles for 2 1/16 Spaced Bridge
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Fender / Original LEAD Series 純正品
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Fender / BRIDGE ASSY STRT HARDTAIL PING Model
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Fender / Bridge Saddle for American Standard Stratocaster and Telecaster Guitars
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GOTOH ( ゴトー ) / S11 Chrome
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GOTOH ( ゴトー ) / S21 Chrome
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Graphtech / PG-8000-0C Import Strat, Brushed Stainless Steel
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K.T.S / PR-14
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K.T.S / PR-17
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Paul Reed Smith / Tremolo Bridge Saddles[ACC-4021]
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現在10.5mm幅のサドルはAmazonやサウンドハウス等で検索すればたくさん出てまいります。当然そのすべてを試しているわけではありませんが、いくつかを搭載してみた印象としては、形状(プレスタイプとブロックタイプ)と素材(鉄、ブラス、亜鉛ダイキャスト、チタン等)の違いに起因する変化というのは割とあるように感じます。ただ、その変化の良し悪しは個人の感覚によって変わるでしょうし、同一人物であっても今と昔では考え方や感じ方も変わるので、悩んだときには取り敢えず買ってみる、という愚にもつかない解決策を例示させていただきます!
3WAY サドル色々
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次に3WAYサドルです。上の画像はコスプレ道に邁進し始めた最初期のブラックガードテレキャスターコスプレです。
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ブリッジにはJoe Barden社製のものを搭載しており、ブリッジプレートのネック側にはプレートを強固に固定できるよう、左右にネジ穴が追加されています。また、プレートのエッジ1弦側は幾分カットされており、ブラス製のサドルはスラントしていてオクターブ調整が容易になっています。弦高調整用のイモネジはマイナスタイプですね。
※2021/8/13追記
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追いコスプレの結果、ブリッジプレートにはFender社の'52 Tele Telecaster 3-Saddle Guitar Bridge Plate Pat. Pend. を、サドルにはRetrotone Pickups社製1950 Steel Saddle KITを採用しました。用いられているネジ類はいずれもslot headです。
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前述のブラックガードテレキャスターコスプレはボディー自体を新規作成してもらっているため、テレキャスター用のブリッジプレート搭載を前提にしています。しかしながら、3WAYサドルをLEAD Series自体に搭載したい場合、当然ノーマルのブリッジプレートでは不可能となり、上述のCallaham社製Am. Std. Hardtail w/ 3 Enhanced Compensated Brass Saddlesを導入するのが有用です。
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上の画像は他のページで紹介済みのDuo Sonicコスプレですが、オリジナルのボディーにも何とかAm. Std. Hardtail w/ 3 Enhanced Compensated Brass Saddlesが搭載できました。現行のものであれば全く問題なく搭載できるはずです。
ただ、元々採用されているブラス製サドルではコスプレの都合上問題があるため、Fender社純正のスパイラルサドルに交換しております。オクターブ調整はしにくいのですが、スパイラルサドルでスラント等の対応をしたものは寡聞にして知らず、結局外見を優先しました。
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元のサドルはブラス製の円柱形で、弦が乗る部分ごとに頂点がずれるよう切削されていているため、オクターブ調整は容易です。
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サドル裏面は弦高調整の範囲を拡大すべく平らに切削されています。また、どの弦用のサドルかがわかるよう、切削されたサドル裏面に各弦のチューニング時の音階であるE/A・D/G・B/Eという刻印がなされています。
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ここからはLEAD Seriesからも離れてしまいますが、3WAYサドルのご紹介ということでご容赦ください。上の画像はTelecaster Thinlineですが、サドルはオリジナルのステンレス製からGOTOH社製In-Tune Tiに交換しています。
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オリジナルとIn-Tune Tiは外見的には割と似通っていますが、In-Tune Tiにおける弦の乗る溝は、オクターブ調整がしやすいよう溝の中で頂点が前後にずれており、結果としてスラントさせたのと同じ効果があります。コスプレ的には弦高調整用のイモネジが六角レンチ用なのが残念です。
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Telecasterです。
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サドルは所謂スパイラルタイプで、溝が細かいやつになります。
現在各社からパーツとして販売されているTelecaster用の3WAYサドルは、オクターブ調整がしにくいという構造上の問題を解決するためにスラントさせたり、溝の頂点をずらしたりといろいろ工夫されているものが多いです。本家フェンダー社からもブラス製の3WAYサドルでスラントされた形状のものが発売されていて、ブランド的にも見た目的にも唆られますが、乗せる必然性のある個体がないため我慢できています(笑)。
3WAYにしろ6WAYにしろ、形状や素材が変われば当然音の方にも何らかの影響が出るのでしょうけれど、それはさておきとにかく外見を重視してコスプレ道に邁進する所存です!
【了】