フェルトって何?
羊やその他動物繊維を絡めてできる毛の塊をシート状にしたものである。
手芸店に必ずといって良いほど置いてあるカラフルなシート、アップリケに使うアレを思い浮かべる人が多いかもしれない。
あれは、最近はポリエステル製が殆どだ。
しかし、さまざまなところにつかわれているフェルトは工業製品であれ同じ原理でウールから作られているものも沢山ある。
最近、日本ではニードルパンチという羊毛を絡ませるための針で小さな小物を作るのが広く知れ渡っている。それを羊毛フェルトと呼ぶ人もいるようだが、私はニードルフェルトと呼ぶべきだと思う。
私が作品制作に用いるフェルトというのは、羊毛を何層も積み重ね、石鹸水をかけ、振動や摩擦を与えて縮め固めるものである。
海外ではwet felting と言われており、日本ではウェットフェルト/水フェルト/ハンドメイドフェルトなどの呼び方がある。
以下、ここではウェットフェルトと呼ぶ事にする。
ニードルフェルトとウェットフェルトの違い
ニードルパンチ針を使うかどうかが大きな違いだが、フェルトとしての根本的な違いがある。
ニードルパンチは毛自体を絡ませ合って固める。
簡単に言えば人工的な毛玉である。
ウェットフェルトは、羊毛の表面にあるスケールといううろこ状のもの(人間の毛で言えばキューティクルのようなもの)を水分を与える事で開き、振動を与える事でそれを引っ掛け合い結合させ、縮める事で固まる。きちんとフェルト化されたものはペンチで引っ張っても千切れることはない。
その結合力は雲泥の差である。
ウェットフェルトは、最古のテキスタイルと言われ、大昔から世界中の人々によって作られてきた。
日本では正倉院にフェルトの敷物が多数収められている。
モンゴルの遊牧民の住まい、パオもウェットフェルトで作られている。
ウェットフェルトの特長は、縫わずに袋状の布を作れる事だ。
そしてウール100%のため、保温性があり、撥水性と放湿性を両立する。
毎年必ず生えてくる羊毛は体にも環境にも優しく、フェルトはサスティナブルであるといえよう。
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