人生初の劇団四季「ロボット・イン・ザ・ガーデン」
「ロボット・イン・ザ・ガーデン」とは
イギリスの作家デボラ・インストールの小説で、日本での初版は2016年。
現在は続編が3冊出ています。
2017年5月にはNHKさんのFMシアターでオーディオドラマ化されていたのですが(早い!)私はこの時まだ本作に出会ってなかったので、聴くことは出来ませんでした…アーカイブとかあったら良いのに!
実はWikipediaにも項目がないので(四季上演が決まって、四季の演目としてのページはできましたが)背景や、イギリスでの発売日などは分らず。
キャッチコピーで「イギリス版ドラえもん」と書かれてるものもありますが、タングは子供のように自由だし、特に助けてくれないし(笑)ちょっと首をかしげる部分はありますが、ちょっと欠陥があって、愛らしい。その愛情やあたたかさはドラえもんの読後感に近いものがあるかもしれません。
ざっくりのあらすじ
人型アンドロイドが当たり前に家事や雑務をしてくれる近未来。
そんな中で時が止まったように、ただ日々をやり過ごす主人公ベン。
彼の自宅の庭に、ある朝スクラップのような旧式のロボットが迷い込んでくる。
名前は「タング」。
話しかけると答えはするが、部分的に壊れているようだった。
何故か自分に懐くタング。
彼を修理しなくてはと思い、ベンはタングを連れて、ほんのわずかな手掛かりを元に旅に出る。
全体としてはベンの成長物語の部分が大きいですが、同時に絆の物語であり、再生の物語であり、家族・夫婦の物語であり…なによりも「愛する」物語だと私は思っています。(主観ですみませんw)
大好きな小説が舞台化!
大きな本屋さんをブラブラしていた時に、文庫の棚でもなく、新刊の平台でもなく「書店員さんが好きな作品を集めたんだろな♡」と思われるコーナーに、ひっそりと立てかけられていて、目立つ色合いではないのに、周りの本は全く目に入らず、真っすぐに吸い寄せられるように近付いて、迷わず手に取っていました。
あらすじも読まずにレジに行ったのは、絶対自分が好きなやつだ!という謎の確信があったから(ありますよね?そういう謎の確信w)
完全に「ジャケ買い」でした。
そして私のカンに狂いは無かったw
今好きな小説は?と聞かれたら真っ先に「ロボット・イン・ザ・ガーデン」と答えます。
あれから数年…まさか動いてるタングが観れるなんて…(涙)
というわけで初の劇団四季
昔はミュージカルが得意ではなかったこともあり、ご縁のなかった劇団四季。
でも周りの友人に何人かファンはいたので「ロボット・イン・ザ・ガーデン」が上演されれると聞いた時には慌てて連絡したし、よく小説の映画化で「えー、原作大好きだから下手にいじらないでほしい…」と思ってしまうあの感情も一切なかった。
「劇団四季なら心配ない」という、謎の信頼感だけはありました。
観たことないのに(笑)
いざ劇場へ
本日の公演は「自由劇場」コンパクトで、とても雰囲気のある素敵な劇場。
ロビーにはミニタングも展示されてました!
(毎日ポーズが違うらしい…!)
客席にいるだけで世界観の準備ができる
客席へのドアを入ると、目の前のステージ中央に、まだ命を吹き込まれる前のタングがちょこんと置かれていて、幕も下りてないので、そのステージから世界観が伝わってくる。
その景色が素敵で、いちばん後ろから全景の写真が撮りたい!と思った。
もちろん撮れませんけどw
更にステージの外枠や袖の隅々まで、抜かりなく美術の手が入っていて、座っているだけで気持ちのスイッチが切り替わる。
普段観るお芝居は、外側まで美術の手は加えてないし、加えられない。
これは専用劇場の強みだなー思った。(全然素人なんで、見当違いかもしれませんがw)
いよいよ開演!!!
原作が割と長く旅をしていて、そんなに大事件があるわけでもないし、大どんでん返しがある話でもないので、どんな構成なんだろう。脚本はどこを使ってるんだろう?とドキドキしていて、始まり方もちょっと違ったので更にドキドキしていたんですが……素晴らしかった。
「そのくだりでそんなに尺使います?」って思っても「ああ、ここを生かすための、あの尺だったのか!」とか、とにかく無駄が無くて、伝わりやすくて、脚本も演出もそれを見せてくれる演者の皆さんも、とにかくプロフェッショナルの仕事を観た…という感じでした。
ネタばれになるのであまり詳細は書けませんが、ラストシーンは「この画を完成させるための演出かー!ずるいわー!」って号泣してました。
もちろん役者さんが素晴らしいのは言うまでもなくて、素人の私が書くことは何もないですし、ひとりひとり書いてたら明日になるので(笑)割愛しますが、秋葉原のダンスシーンの時、上手端にタングがいるんですが、その後ろで野中さん(覚えたw)がノリノリで踊っていて、タング越しの野中さんというシュールな感じがめちゃめちゃ好きでした♡
タングがそこに生きていた感動
ステージで使用されるタングが、原作のカバーデザインとちょっと造形が違っていたので、そこはどうなんだろう?と思いつつ、でもこれはこれで可愛いかも。という軽い感じで観始めたのですが…開始30分くらいでもう泣いてました(笑)
だって!タングがタングでしかなくて、声なんて聞いたことないし、動いてるのなんて観たことないですけど、あれはもう純度100%で私の中のタングでした。
タングを動かすパペット担当のお二人がステージに表れて、すーっとタングに命を吹き込みます。(この日は斎藤洋一郎さん、長野千紘さん)
もうほんと一瞬で!
実は私「演者さんの姿がずーっと後ろに見えてるのって、入り込めるのかな?」という、あまりにも初心者すぎる心配をしてたのですが、いらぬ心配でした!失礼しました!
全然気にならないどころか、なんなら私の脳内では完全に三位一体だったし、たまに我に返ってお二人の表情を見ると、もうタングそのもので、素晴らしすぎて言葉にならなかったです。
細かい動きから、表情、首の角度、テンポ…すべてが愛らしくて、目が離せなかった。
センターでメインのお芝居やダンスが注目を集めている間、ちょっと休憩してればいいのに、ステージの端にいるタングはちゃんとタングらしく、よそ見をしたり、動いたり、何かいじったり、ずっとタングだったから、つい見てしまう。
お腹にガムテープ貼る前の、蓋を閉めても閉めても「びよ~ん」って空いてしまう、あのとぼけた感じ、最高に可愛かったwww
タング役のお二人は、普通にお芝居するのとはまた違って大変ですよね。
動きのすべてが可愛いんですよ、特に首の動きと表情。
目蓋がぱちぱち動くだけかと思いきや、目の枠(四角い金属)が上がったり下がったりして、とても細かい。本当に生きてるかのようで。
そのすべての操作をしながらも、お二人はずっとタングで居続けるという…私から見たらもはや神業です。
いちばんの好きポイントは、二人のユニゾン!
通常はタングの感情に合わせて交互にセリフを発するのですが、タングが大声を出すときだけ、二人のユニゾンになるんです!
あれ、めっちゃ好きでした!w
ユニゾンで響くことで、ロボットっぽさと可愛さが相まって最高でした。
少しでも興味があればぜひ劇場へ!
こんな時期だから行けない。という人もたくさんいますよね…。
でも逆に、そんな時期だからこそ、今までチケット取りづらかった四季の公演に気軽に行ける状況でもあります。
もし行ける状況だったら、観てほしい。
こんな時だから、余計にいろんな言葉が沁みますし、明日からちょっとだけ頑張ろう、って元気をもらえますよ。
観るポイントが多すぎるのでまた行きますw
四季が初めてだったこともありますし、細かいところ色々見こぼしてる感じがしてならない…観るポイント多すぎ!w
何よりもう一回タングに会いたいので、3月中にまた行きたいと思います!
当日のキャスト一覧(劇団四季公式HPより)
おまけ:ロボットと一緒に観劇というイベントも!
この企画すごいですね。
LOVOT連れてお出かけしたい人はたくさんいるだろうし(私には高級すぎてオーナーになるのは無理ですがw)LOVOTと劇場に入れる機会なんてなかなかないですよね。
愛するLOVOTと一緒に観劇したら、それこそ号泣しちゃうのではないでしょうか(´;ω;`)