なぜサロントリマーから動物病院トリマーへ転身したのか
「健康なのに避妊や去勢の手術をするなんてかわいそうだと思わない?」
「なんでフィラリアの予防薬は毎月あげなきゃいけないの?しかも蚊のいない12月まで。」
「お産をしていないと婦人科の病気になるのかしら?」
トリマーの皆さんは、飼い主様にとって“いちばん身近なプロ”として、日々いろいろな会話のやりとりをされていると思います。
毎月定期的にサロンを利用している飼い主様にとっては、全身をくまなく触り、お預かりしたワンコのちいさな異変に気付いてしまうトリマーの我々は
飼い主様にはとても身近な存在であります。
動物病院となると、白衣の先生にチクっとされる場所だから…なんだか怖いなぁと思っているワンコもいますよね。飼い主様のなかにも、ちょっぴり獣医さんの「先生」には気軽に相談しにくいのよね〜と思い込んでいらっしゃる方も多いです。
さてと。
タイトルにあるように、私自身はもともとペットサロンで働くことが夢でしたが、トリマー3年目に現在の勤務先の動物病院に職場を変えております。
それは、なぜか。
答えは冒頭のような「飼い主様から愛犬の健康についての相談をされても、ぼんやりしか答えることができなかったから」であります。
とかなんとか言っちゃって。いや、本当にそう思ったことは事実ですが。
簡単な略歴です。
ご覧のように20代前半の私は、考えているようで想像以上になにも考えずに
「嫌だったら辞める」を繰り返しています。色々ご迷惑をおかけした方々にこの場を借りて、ごめんなさい。
よく「石の上にも3年」と言いますが、この略歴の前半部分の私には3年も同じ職場で過ごすなんぞ天文学的な数字です。
ましてや1箇所目は2日で辞めています。
当然のように現職場の面接時には、院長から
「1年おきに職場変えているけど、なにか理由があるの?」と聞かれます。
それに対し「本当は長く続けられるところ見つけたいんですけどねぇ…」とか、ものすごい他力本願な発言をしました。
そんなことよりも、私の足下に院長のチワワが「部外者が来たぞ」とワンワカ・チョロチョロしているのです。そちらがとにかく気になっていました。
余談ですが…この日はたいへん暑い日で、到着したら駐車場で靴に履き替えようとサンダルを履いて車を運転して面接へ向かいました。
ところがすっとこどっこいの私は、その自分で課した大事なミッションをすっかり失念し、履歴書を握り締めてサンダルのまま病院の敷居を跨ぐのです。
サンダルといっても、こういうやつで。
そのため面接中にチワワが足下にまとわりつくたび目が泳ぎ、それを制止しようとする院長の視線が明かにサンダルにロックオンしたときに
「…終わった」と悟りました。
せっかくちゃんとした格好を意識してポロシャツ着てきたのに!!
そこからは開き直りの嵐。もう好きなこと言いたいこと言ってやろうと
「オープニングならうるさく言うお局様もいないと思って」
「自分でお店をやりたい夢はないけど、人のお金でどこまでできるか試せるいい機会だと思う」
「ちなみに1年目はクレームのオンパレードでした」
「もともと動物病院は選択肢になかったけれど、1回くらい見てみたいと思って」
とか。これ、盛ってませんからね。マジですからね。こわ。
穴があったら入りたいけれど、残念ながら手近な場所に穴がないのでこのまま書きますね。ふぅ。深呼吸しよっと。
今でもたまに院長とこの話題になりますが、一生言われ続けるやつですよ。
こんな “リクルートシューズ失念こじらせオンナ” なのに、採用されたから今も同じ職場に居るのです。
採用したんですよ、まさかのその場で。その場でですよ?
変わったお方だ…
そんなギャンブラーな院長と
「飼い主様からの健康の相談に乗れるようになりたい!!」
という大義名分のもと、
めでたく動物病院に所属するトリマーとして、
トリミング部門を立ち上げることになりました。
子供の頃から犬がいて、当時もシーズーとプードルを飼っていたので
ワクチンやフィラリアのことなどわかっているつもりでしたが、
あれれ?説明しようとするとできない!!案外難しい!
と “わかっている” と “伝えることができる” の大きな違いに当初はひたすら悶々としました。
飼い主様からの問い合わせや質問がある度
「少々お待ちください♡」といちいち院長を呼びつけ、聞き耳をたててメモをしていました。
今だに治療や薬のことなどわからないことがたくさんあるのですが、いつだって院長は嫌な顔をせず、懇々と理解するまで付き合ってくれるのです。(もちろん腹を立てることも今まであったけど ←余計な一言)