道具のストーリー④:ブラシのこと
トリミング道具好きの皆さん、こんにちは。
noteを始めたばかりですが、少しずつ記事を読んでくださる方がいること、さらにはスキ♡と反応をもらえることは嬉しいものですね。ありがとうございます。
おそらく私の記事を読んでくださるトリマーさんは「道具好き」の方なのでしょう。勝手に仲間だと認識しておりますのであしからず。
シザー、バリカンと書いてきたので、今日はブラシについてつらつらと。今回もお付き合いくださいませ。
ちなみに私自身が自費で購入した道具の数々ですが、所有個数ナンバーワンはブラシ類です。コストがさほどかからないのでポンポン購入してしまい、おそらく150本近くあるのでは?ありすぎて数を把握できていません。
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さてさて、ここまでの記事と同じようにはじめて触った道具を振り返ってみます。私の学生時代の教材のブラシ類は
◎ケイプロ ロングティースリッカー(ソフト 60サイズ)
◎ピンブラシ メイドインジャーマニーって書いてあるやつ(プリントが剥げて詳細不明)
◎グレイハウンド 両目コーム
のブラシ2種類に、1本のコームでした。
主に
シャンプー前のブラシはピンブラシ→ロングティースリッカー。
もつれがないかコームでチェックしたのち、シャンプーへ。
シャンプー後のブローでは、
シェルティやゴールデンなどのシャンプー犬はピンブラシ。
プードルなどのカット犬種のブローのときはスリッカーで毛を伸ばす、という流れだったような気がします。
何度も言うようですが、最初に触ったブラシについて深く考えることもなく、それが自分の「当たり前」になります。
そして、学校で習ったそれらが守るべきルールなのだと思い込んでいました。
当然のようにブラシひとつとっても就職したとき、学生時代との違いがありました。
先輩はひとつのスリッカーとコームだけで、すべての作業をしていました。
「ブラシを使い分けてない!?ピンブラシは?」
とポンコツ新米トリマーはオドオドと戸惑うわけです。よくよく聞いてみたら、先輩の卒業した学校ではピンブラシの教材はなく、スリッカーですべての犬種のブローに対応していたそうです。
学校によって違うのか、そうかそうか。
しかも上手な人はあれこれ使い分けなくとも、ひとつの道具ですべてに対応ができる、それが一人前なのだ。かっこいい…!!!
先輩と共有のスリッカーですべてのお仕事をすれば良いのか!と思いました。
会社の備品で用意されていたスリッカーはロングティーに比べて
・柄が短く
・ピンが埋まっているブラシ面も大きく
・もちろんピンの配列も異なりました。
これを使ってねと言われ、またしても疑いもなくそれを使うのです。
毎回記事をすべて読んで下さっている方なら、お察しいただけると思います。
そうです。もはや安定のトラブルメーカー、
スリッカー負け=擦過傷を引き起こすのです。
学生時代のロングティースリッカーは適度に毛を掴んでくれ、掴みすぎることもなく、力を入れなくとも毛を伸ばすことができる代物です。そのため現在も好きなスリッカー(イサの独断と偏見)ランキングの1位に君臨し、完全に殿堂入りしております。
しかも学生時代は完全にブラシを通したのち、厳しい先生のコームチェックをクリアしてからやっとシャンプーに入れる…といった流れでしたが、就職先の先輩はそんなことしていたら日が暮れる、ブローで毛を解きながら伸ばすんだよ、と教えてくれました。
備品のスリッカーは「抜けが良すぎる特徴」があったため、感覚が違うことにも気づかず「解きながら、毛を伸ばそう」とやみくもにスリッカーを使いました。
すると
・毛もつれや毛玉が思うように解けないため力が入る
・奥までピンを入れようとアタック力が強くなる
・毛をたくさん掴んで一気に伸ばそうとするため、横に強くスライドさせる
ほ~ら、あっという間にスリッカー負けのいっちょあがり(泣)
ワンコも当然痛いものだから嫌がります。本当にごめん。悪意はなくともこういう行為が一発でワンコにトラウマを植え付けてしまうのだと、今なら当たり前に理解できるのです。けれど当時の私は自分自身も噛まれたり引っかかれたり…もうカオス状態。
備品の一本のスリッカー…これ……先輩のように使えない……でも備品だから”これを”使わなければダメですよね?とおそるおそる先輩に質問をしてみたところ。
「え!別に使い慣れているなら自分の使っていーよ!」とカラッとした回答が。チキンな私は拍子抜け!!!
備品を使わなければいけない”ルール”はただの自分の思い込みでした。わからないことは聞いていいからね、と言われても
自分が何をわからないかわからない状態だったので、結局いつもエラーから疑問や質問があることに気付かされるの繰り返しでした。
今現在色々と行き詰っているトリマーさんがもしも
もしもいたら
新しいブラシに挑戦してほしい!
なぜかというとシザーやバリカンのように万単位の出費にならずとも、いくつか気軽に揃えられ、比較ができるようになるから。数千円・高くても1万円以下の投資で、自分の仕事の風通しがよくなるきっかけになるかもしれない。
そして
もしも、新しく迎えた道具が合わなくても落ち込まないでほしい。
なぜその道具が合わなかったのか…自分の使い方?それともたまたまその毛質や犬種に合わなかった?等をぜひとも”研究材料”にしてもらいたい。
「こんなもの使えない!」と放り出すことは誰にでも簡単にできます。
なぜ?の好奇心を持ち続けることができれば、めぐりにめぐってワンコの負担を減らすこと・後輩へのアドバイスなどに役立ち、間違いなく自分の力になります。このnoteを読んでいただいていた方には「使いやすい・使いにくい」の、その先のもっと向こう側の自己分析と言語化を絶えずしてほしい。
なんか上から目線の言い方になってしまいましたね。失礼しました。
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ブラシひとつとっても
コームひとつとっても
爪切りひとつとっても
ワンコが受け入れる道具が1頭1頭違うと感じています。これだけ散財した私が言うから信じてほしい。
確かに
”一つの道具ですべて仕上げるのがプロッフェショナルだ”という美学もわからなくもないです。
でも天才ばかりがゴロゴロ溢れているわけではないと思いませんか?
なんでもできるオールラウンダーの人は、道具すらオールラウンダーにしてしまうスキルがあるのかも知れません。
あなたは天才ですか??
私は今までの記事にも書いたとおり、天才とは程遠いコンプレックスの塊でした。ものすごい遠回りをしたとしてもそのコンプレックスを力に変えたい。
”犬を犠牲にしてしまう可能性がある”思い込みやルールならば変えていきたい。
今後も更に良い方法はないか?自問自答し、怖がらずにどんどん模索していきたいのです。
最後に、
最近マイブームのピンブラシの写真でさようなら~