シナリオ作成概論A【魔法学園RPGハーベスト】
シナリオって作るの難しいんですよね。分かります。たまに「書かなくてもアドリブでなんとかなる」みたいな人もいますが、全員が全員そうじゃありません。「そもそもシーンってどのくらいあれば良いの?」「このシーンがやりたい!でもそこまで辿り着くのが難しい!」「短時間でエモいシナリオってどうやって作るんだ……?」「会話を弾ませるにはどうすれば良いんだろう?」みたいな方にちょっとでも支えになれたら良いなと思いこの文章を作成しました。ボスデータに関しての記事は実はもうあって、そちらも参考にすればシナリオのだいたいの形は作れると思います。
↑こちらがボスデータ作成のバランスの話をされている記事です。是非ご覧下さいませ。
0.何書いてるのこれ?
この文章ではこんな段落に分けて書きます。めんどくさくなったら最後の「まとめ」だけ読んでおけばだいたいなんとかなります。あとは、この通りにしなくてもシナリオは出来るのであくまで読み物として読むとか、迷ったところだけ拾い読みで良いと思います。
1.理論編・シナリオの構成って?
2.実戦編・シナリオの骨組み
3.理論編・話を広げよう
4.実践編・シナリオ構成を作ってみよう
5.理論編・シーンを具体的に書くためには?
6.実践編・具体的なシーン内容を書こう
7.理論編・情報収集の数って?
8.実践編・情報を作ってみよう
9.理論編・クルドサックとは
10.実践編・クルドサックを作ろう
11.理論編・シナリオを仕上げよう
12.実践編・肉付けをしよう
13.シナリオで○○したい!な人向けQ&A
14.忙しい人向けまとめ
1.理論編・シナリオの構成って?
シナリオのシーンは大まかに分けて5つだと思っています。
・オープニング
・ミドル(前)
・ミドル(後)
・クライマックス
・エンディング
以下、この5つのシーン群を「フェイズ(段階)」と呼びます。
・オープニングフェイズ
いわゆるコネクションNPCとの出会いのシーン、またはシナリオにおける関わり合い方のきっかけとなるシーンの集まり。シナリオのハンドアウトをここで回収することも。
例;現実世界出身なら魔導次元に入るシーン。コネクションNPCに助けられる、または助ける、などなど。
・ミドルフェイズ(前)
シナリオのハンドアウトの回収を行ったり、あるいはNPCとのコネクションを築いていくシーンの集まり。平和な日常を挟むならここ。また、エモさを探究するならここからのシーン群の丁寧さが重要になってきます。中間戦闘もここに含めることにし、中間戦闘を終わらせた後にミドルフェイズ(後)に移行します。
例;NPCと一緒に勉強、または食事など。中間戦闘への布石を敷く場合、ここにマスターシーンなどで裏で進んでいることを並べることもあります。また、PCの合流シーンはここで扱われることが多いです。情報収集もここか、中間後に回ることが多いですがそこは好みで。
・ミドルフェイズ(後)
うって変わってシリアス、というよりは事件が進んでいるため核心に近づくシーンが増えていく印象が強い場面の集まり。ボスの正体が判明したり、そこに向かうシーンなどが多いです。また、クルドサックもここで扱われる場合が多いです。
例;ボスの暗躍シーン、集合してボスのところへと向かう、または追いかけるシーン。情報収集がこっちに来るパターンもあります。
・クライマックスフェイズ
いわゆる最終戦闘のシーンの集まり。今までの流れを踏んで一番盛り上がることが多いです。ただただゲスなボスを殴るも良し、あるいはお互いの感情をぶつけ合うも良し。色々な形があると思います。
例;最終戦闘前の会話のシーン、最終戦闘そのものなど。クルドサックを抜けた後にシーンを挟む場合もここに該当するかもしれません。
・エンディングフェイズ
ボスを撃破し、コネクション相手との会話が多い印象のシーンの集まり。大団円、あるいは後悔の自白などなど。PC全員で会話しておしまい、なんてパターンもありますし、そのあと個別エンディングをすることも。余談ですが、一番丸投げ率の高いシーンの集まりだと思います。
例;コネクションNPCとの会話、気に入ったNPCとの会話など。大魔法を使われる場合もあります。
2.実践編・シナリオの骨組み
じゃあ具体的にどう書けば良いんだ?となるわけですが、とりあえずテンプレート的な話にします。「一番短いシナリオ」は、たぶん以下のようになると思います。3人シナリオで、個別HOを想定しますと、
・シーン1~3 それぞれPC1、PC2、PC3のオープニング
・シーン4 PC達の集合シーン
・シーン5 中間戦闘
・シーン6 情報収集
・シーン7 クルドサック
・シーン8 最終戦闘
・シーン9 合同エンディング
というわけで10シーンも要らない訳です。でも「ん?」となった人はいると思います。このままだと、実は全く面白みのないシナリオになる確率が高いのです。先ほどの5つのフェイズに従って分けてみましょう。
オープニングフェイズ
シーン1~3
ミドルフェイズ(前)
シーン4,5
ミドルフェイズ(後)
シーン6,7
クライマックスフェイズ
シーン8
エンディングフェイズ
シーン9
あっさりしてるってレベルじゃ無いですね!!
これだとエモいシナリオにはならなさそうです。ただ、必要最低限な素材をまとめた骨格にはなっていると思います。逆に言えば、だいたいのシナリオには必ずこの9つのシーンは入っているということになります。まずはここを作って、そこから話を広げていくことにします。
3.理論編・話を広げよう
「じゃあエモいシナリオとは何だろう?」という話になります。エモい―即ちエモーショナルな、というのは「感情を起こされるような」という意味。PL達、PC達の感情の起伏を誘導するにはどんな材料がいるでしょうか?
・NPC達が魅力的である、またはNPC達と深い関係を築く。
・大きな出来事や困難が立ち塞がる。
・「解決するのはPC達である」という自主性を促す。
などが代表としてあると思います。では、まず一番上から掘り下げていきましょう。
NPCが魅力的である、とはいったい何でしょうか?
例えばそれは「可愛い」かもしれませんし、「格好いい」かもしれません。「あざとい」「クール」「おどおどしていて放っておけない」などなど、その魅力は様々です。では、そんな魅力を引き立てるにはどうすれば良いでしょうか?
・まず困ったら自分の性癖に忠実にキャラを作る。
自分が魅力を分かっている、それは「良さを伝えやすい」ということに繋がるからです。メインヒロインはこういうのが良い!とか、こんな格好いいキャラが自分は好き!などなど。そういったキャラを登場させることは、なにより作成者本人のモチベーション向上にも繋がります。
・関わるシーンを増やす。
シーンが増えれば関わる事が増えます。そうなれば、仲良くなったRPもしやすいことこの上なし。お互いの性格や関係、思いを深く掘り下げるきっかけとなります。また、RPのシーンを増やすことはPC達に愛着を湧かせる手段としても有効です。
出来事を大きく見せる、または困難に見せるにはどうすれば良いでしょうか?
・規模を拡張する。
被害者を増やす、または増やし続けかねない演出をします。わかりやすいのが「カース感染」。あれはクリーチャーをどうにかしない限り、拡大する一方でありながら放っておくと死人が出る恐ろしいものですから。
・ボスが強いという事が分かる演出をする。
ここでの「強い」は色んなものを指します。物理的な強さ、カリスマ、意志の強さ、などなど。全てにおいて強くある必要はありませんが、どこか一点、恐ろしいものを持っていると良いですね。カースでももちろんOKです。その意味でクリーチャーはカース感染させている時点で「ボスたりえる」のですね。
「解決するのはPC達である」という自主性を促すとは、どういうことでしょうか?
・自分が解決に行きたい、というきっかけを作る。
正直赤の他人がカース感染した!では行かなくても良いかなぁ、みたいになってしまうPCは多いです。ですが例えば、「自分の大事な親友がカースに感染した!」ならば、先ほどのケースよりはやる気が出ると思います。
・「自分が狙われている」という自覚を持たせる。
例えば被害が大きくなり、「次はお前だ」という感じで狙われてしまえば、否が応でも対応せざるを得なくなります。流石に「自分の命を守るのは面倒くさい」という人はいないでしょう。
ここで余談ですが、NPCの死はエモに直結しません。
対して関わりの無いまま死んでしまったNPCに対して感情は発生しません。「お、おう」くらいで終わってしまいます。
命は玩具では無いし、エモを引き出す便利な道具でもございません。「死んでもらっとけばエモくなるかも?」なんて安易な考えは捨ててください。
4.実践編・シナリオ構成を作ってみよう
では早速これまでの事を見ながら作っていきましょう。
先ほど使った9つのシーン、つまり「骨組み」を持ってきました。
・シーン1~3 それぞれPC1、PC2、PC3のオープニング
・シーン4 PC達の集合シーン
・シーン5 中間戦闘
・シーン6 情報収集
・シーン7 クルドサック
・シーン8 最終戦闘
・シーン9 合同エンディング
ここでシーンを挟みまくるため、一度シーン数を消します。
・PC1、PC2、PC3のオープニング
・PC達の集合シーン
・中間戦闘
・情報収集
・クルドサック
・最終戦闘
・合同エンディング
では早速入れてみましょう。ただ、ここでだいたいのストーリーを練っておかないと話にならないので、とりあえず「カース感染しちゃったヒロインを救うシナリオ」にします。また、コネクションをざっと決めておきましょう。このコネクションの決め方も後で少し話しますが、とりあえず
PC1 コネクション:メインヒロインA(アリスと呼ぶことにします)
PC2 コネクション:PC2の相棒B(ブライトと呼ぶことにします)
PC3 コネクション:公式NPCのうち誰か(便宜上イマヌエル・カント先生を選択します)
としましょう。
ではまずNPCとの関わりを深めるため、「PC1とアリスがいちゃつくシーン」及び「PC2とブライトがわいわいするシーン」、及び「PC3とカント先生との関係が分かるシーン」を追加します。そうすると、
・PC1、PC2、PC3のオープニング
・PC1とアリスがいちゃつくシーン
・PC2とブライトがわいわいするシーン
・PC3とカント先生との関係が分かるシーン
・PC達の集合シーン
・中間戦闘
・情報収集
・クルドサック
・最終戦闘
・合同エンディング
となります。また、アリスとブライトがカースに発症するシーン、個別エンディングで各NPCと話すシーンを追加すると、
・PC1、PC2、PC3のオープニング
・PC1とアリスがいちゃつくシーン
・PC2とブライトがわいわいするシーン
・PC3とカント先生との関係が分かるシーン
・アリスとブライトがカースに発症するシーン
・PC達の集合シーン
・中間戦闘
・情報収集
・クルドサック
・最終戦闘
・合同エンディング
・PC1、PC2、PC3の個別エンディング
となりました。先ほどよりはNPCとの関わりが深く、エモいシナリオになりそうですね。ですが、まだシナリオの具体性が低いためもう少し掘り下げていきましょう。
5.理論編・シーンを具体的に書くためには?
掘り下げる際のネタの出し方のコツとしては、「5W1Hを意識すること」です。全部書く必要は無いですが、WHO、WHEN、WHERE、HOWくらいははっきりしておきましょう。また、その際にキャラ性を引き立たせるようなシーンにできると良さそうです。例えば、
・活気な女の子との出会いのシーンなら女の子の方から話しかけてくる
・格好いいヒーローとの出会いのシーンなら出会いはヒーローに助けられる一幕から始まる
・依頼を引き受けるのなら最初は依頼を引き受けるところから
などですね。
では早速掘り下げて明文化していきましょう。
「PC1とアリスがいちゃつくシーン」の「いちゃつく」を明文化します。
例えば、
・一緒に食事をする
・授業についてアリスに教える、またはアリスから教わる
などですね。同様にPC2との「わいわい」もできます。
PC3の場合先生と生徒の関係なので、
・授業のことで連絡
・カース特別対策委員会としての依頼
などが良いでしょう。
「PC達の集合シーン」は何らかの授業で一緒だった、ということが多いです。座学はもちろん、運動でもいいでしょう。
また、中間戦闘・最終戦闘では「誰と戦うか」が必要になってきます。今回の場合だと、中間戦闘では「カース感染したアリスとブライト」、最終戦闘では「二人にカースを感染させたクリーチャー」でしょうか。
となると、アリスとブライトの異変に気付くシーンを入れても良いかも知れませんね。そこも含めて、シーンを増やしていくわけです。
6.実践編・具体的なシーン内容を書こう
ではアリス、ブライトにちょっと設定を足しつつシナリオのシーンに具体性を持たせていきましょう。
・PC1、PC2、PC3のオープニング
を、
PC1のオープニング→アリスとの出会いのシーン
PC2のオープニング→ブライトとの出会いのシーン
PC3のオープニング→イマヌエル・カントがPC3に依頼をするシーン
と書き崩します。
もうちょっと書き下して、以下のようにします。
・PC1のオープニング
PC1とアリスが初めて出会うシーン。
入学式のこと、君はある少女と出会う。名をアリス。その時彼女から話しかけられたことをきっかけに、彼女と知り合いになった。
WHO(誰と)→アリスと
WHEN(いつ)→入学式
WHERE(どこで)→校門前で
HOW(どのように)→(話しかけられることによって)出会う
・PC2のオープニング
ハーベスト入学前のある日、君は黒き森の内部を歩いていた。そんな中、君はクリーチャーの群れに襲われる。君には抵抗する力は無い。だがそこで―君を助ける影があった。彼はクリーチャーを蹴散らした後、君に「大丈夫か?」と問いかける。名前を聞けば、彼は「ブライトだ」と答え、君を安全な場所へと送った。
WHO(誰と)→ブライトと
WHEN(いつ)→入学前
WHERE(どこで)→黒き森で
HOW(どのように)→(助けられることによって)出会う
・PC3のオープニング
君がカース特別対策委員会に入り、活動にも慣れてきた頃。君はイマヌエル・カントに呼び出される。君が彼の部屋に行くと、彼は君に資料を渡しながら、カース特別対策委員会の一員として君に依頼を出してきた。
WHO(誰と)→イマヌエル・カントと
WHEN(いつ)→カース特別対策委員会に入り、活動にも慣れてきた頃
WHERE(どこで)→イマヌエル・カントの部屋で
WHAT(何を)→依頼を受け取る
といった具合です。ここで、この3つのシーンにそれぞれ会話文を追加すればシーンは完成します。PC1のオープニングを例に書いていきましょう。
・PC1のオープニング
PC1とアリスが初めて出会うシーン。
入学式のこと、君はある少女と出会う。彼女は君に気付くと、君に話しかけてきた。
「初めまして!君も新入生?」
「そっか!じゃあ一緒だね!」
「私はアリス。君の名前は?」
「良い名前!私、なんだか君の事気になっちゃった。君さえ良ければ、私と仲良くしてくれる?」
「わーい!正直一人だと心細くってさー……これから、よろしくねっ」
彼女は君の手を引きながら、笑顔で学校に向かっていた。
といった具合です。目安としては最低4~5台詞くらい入れておけば1シーンとして成立します。ただ、もう少し足しておくとアドリブが上手く出来なくても結構話し込める→エモいシナリオが見込める、となります。
7.理論編・情報収集の数って?
といった感じでシナリオを書き進めていき、情報収集まで辿り着くと新たな疑問が生じます。
「情報収集ってどのくらいの数があれば良いんだ……?」
これに関しては長すぎるとダレるし、短すぎるとあっけないし……となりますが、「ちょうどいい」くらいの数を導き出せる式は実はあります。
(情報の数)=(PCの数×3)÷2(端数はどちらでも構わない)
です。3人PTなら4個か5個、4人PTなら6個くらいです。多少増えても減っても良いですが、10個以上は流石にダレるのでやめておきましょう。ちなみに(×3)は「3周で情報を出し切る」、÷2は「リベラルは2回振ったら1回は成功するだろう」という意味合いを込めています。あえて4周にしたいなら×3→×4などにし、リベラルに緊張感を持たせたいなら制限時間を超えた場合のペナルティを考えておくと良いでしょう。
(例;全員がリベラルを3回振って全部の情報が出なかった場合、強制開示&TPー1)
ここからは情報に関するTipsです。
・最初は初期情報を人数個分だけ調査可能にし、残りを追加情報として開示できるようにすると良いと思います。
・各PCが調べたい!と思うような情報にすると良いでしょう。各コネクションの情報とか。
・シナリオメモには「【初期情報一覧】」などと区切っておくと、追加情報まであることを伝えてしまうという失敗をしなくて済みます。
・追加情報を調べられる条件となっている情報には、「情報○:~~が調査可能になる」など書いておくと忘れないで済みます。
8.実践編・情報を作ってみよう
では早速作っていきます。
今回は中間戦闘後、という想定にしてみます。またアリスが一次感染(クリーチャーから感染)、ブライトが二次感染(カース感染者からの感染)という形にしたいと思います。
1.アリスについて
2.ブライトについて
3.カース事件について
の3つを最初に開示し、
4.アリスがカースにかかった理由・経路について
5.クリーチャーについて
の2つを、それぞれ「情報1の開示」「情報3の開示」を条件に追加情報とします。つまり情報1を開示できたら情報4が調べられるようになり、情報2を開示できたら情報5が調べられるようになるという訳です。
そして書き終えたら、
【初期情報一覧】
1.アリスについて
2.ブライトについて
3.カース事件について
【追加情報】
4.アリスがカースにかかった理由・経路について
5.クリーチャーについて
と分けておけば良さそうです。さらに情報1の末尾には「情報4.アリスがカースにかかった理由・経路についてが調査可能になる」、情報2の末尾には「5.クリーチャーについてが調査可能になる」と書いておくと良いでしょう。
9.理論編・クルドサックとは
あとはクルドサックさえ書ければ、シナリオとしてだいたい完成しそうですね。ではクルドサックですが、"データ的には"基本的に「ペナルティ・ボーナスありきのリベラル判定」と思って良いです。そのため、基本的にはクライマックス戦闘前にあります。本来の意味と具体例なんですが、公式にも書いてあるのでそこをご覧下さい。
↑このページですね。ちなみに、別にボーナスとして「グッドステータス:興奮レベル1を付与」とかでもいいので、そこはボスの難易度に合わせて調節すると良いです。また、オペレイトスライム/エルフ/ゴブリンはまとめて「各種オペレイト系」として一括で解決手段として用いられることもあります。また、「推奨リベラルアーツ」はだいたい「クルドサックで使うリベラル魔法」の意味だと思ってよいと思います。
余談なんですけどCul-de-sacって「行き止まり」「窮地」の意味らしいです。格好いいですね。
10.実践編・クルドサックを作ろう
というわけで早速参考にしながら作って行きましょう。ボスの場所に行くまでの道ですから……「断崖絶壁」とか「闇の植物」があってもおかしくなさそうです。一方で、近くに「癒やしのベリー」とかが自生していても面白いですね。では、
1.断崖絶壁
フロート、各種オペレイト系
ペナルティ:7点のHPダメージ
2.闇の植物
ルクス
ペナルティ:3点のTPダメージ
3.癒しのベリー
フォース・ブリンガー
ボーナス:活性・浄化Lv1の付与
といった具合でしょうか。TP減少はもう少し抑えても良いかもしれませんが、多少キツくてもどうにかなる場合もあります。
11.理論編・シナリオを仕上げよう
あとはクライマックスフェイズ、エンディングフェイズも書いて完成です。途中で追加したシーンも含めて、そこまでシーン数が増えたか振り返ってみましょう。
・PC1、PC2、PC3のオープニング
・PC1とアリスがいちゃつくシーン
・PC2とブライトがわいわいするシーン
・PC3とカント先生との関係が分かるシーン
・アリスとブライトがカースに発症するシーン
・PC1がアリスの異変に気付くシーン
・PC2がブライトの異変に気付くシーン
・PC達の集合シーン
・中間戦闘(アリス&ブライト)
・情報収集
・クルドサック
・最終戦闘(クリーチャー)
・合同エンディング
・PC1、PC2、PC3の個別エンディング
となりますね。これでシーン18個、倍になりました。ここまでくると、いよいよ個性が出てくると思います。これだけでもシナリオとしては十分ですが、ここで「肉付け」がいかに上手にできるかが、エモさのポイントになるでしょう。そのポイントですが、「交流」「表明」をさせることです。
「交流」とは、NPCとPCを交流させることでかかわりを増やすこと、「表明」とはNPCの過去、または知りえない時刻の行動、あるいは心情を描写することで感情移入をさせることです。
いずれにせよ、NPCの情報を公開させ、PC達に興味を持ってもらうことがカギになってきますよ。また、ここでマスターシーンが多すぎないかだけ確認しておきましょう。PL達をあまり退屈させすぎず、情報を与えることで感情を動かせたらいいですね。
12.実践編・肉付けをしよう
では早速やってみましょう。自分だったら
・情報が出た場合にそれに応じたマスターシーンを挟んでみる(アリスがクリーチャーと接触したシーン、またはアリスの心情の吐露など)
・中間戦闘後、アリスやブライトと話すシーン(ある程度情報を隠して、彼女たちに聞くことでしかわからないことを聞きに行かせるなど)
を追加すると思います。では少し書いてみます―
シーン?? マスター
アリスは黒き森で、ゆっくりと散歩していた。
「いい日だなーっ。PC1も誘えばよかった」
そうしてらんらんと歩いていると、奥の方から向かってくるクリーチャーが見える。彼女はとっさに隠れ、息を殺して通り過ぎるのを待った。しかしクリーチャーは気付いたのか、顔のようなものをにやりとゆがませて一帯を薙ぎ払う。危険を察知した彼女はその場から逃げるようにして立ち去った。
「はっ、はっ……あ、ぅ」
息を切らして逃げ切った彼女の胸の中に、何かひっかかるものがある。それは走った疲れではなく―寂寥感。
お互いが多忙になった故、会う機会が少なくなったのだ。ほんのちょっとだけ。でもそのちょっとが、彼女の心に穴を開ける。
「……さみ、しい。さみしいよ、PC1」
もしかしたら、捨てられてしまうかもしれない。このまま、疎遠になるのかもしれない。それは嫌だ。嫌だ、嫌だ、嫌だ!
「だって、私っ……!」
彼女は走り出す、PC1の元へ。それがカースによるものだとも知らず、ただPC1への不安を募らせて。彼女はただ―PC1に、認められたかったのだ。ずっと友達で、いてほしかったのだ。
といった感じでしょうか。マスターシーンは別にこんなに長くなくても良いですが、一つのシーンとして成り立たせる描写量と言葉があれば良いと思います。
13.シナリオで○○したい!な人向けQ&A
というわけでここまで来れれば完成です。お疲れさまでした。
あとは、自分が「こんなシナリオを作りたい!」という欲求に沿って作れば良い感じになります。あとは、単純に「○○したい!」って人に向けたQ&Aを。それを書いたらあとはまとめを書いて〆にしたいと思います。
Q.このシーンやりたい!でも前後が思いつかない!
A.シーンが詰め切れていないかもしれません。連想ゲームでいいので、まずはそのシーンを克明に描いてみましょう。
例;○○が活躍するシーン!→どのように?
戦っている→守っている?攻撃している?両方とも?
授業で優秀な回答をしている→どんな授業?彼(彼女)の得意分野は?
Q.短時間でエモいシナリオってどうやって作るんだ……?
A.短時間で仲を深められるようにまずはNPCの数を絞るのがお勧めです。また、多人数だとどうしても時間が必要なので2,3人用シナリオにしておきましょう。
Q.会話を弾ませるにはどうすれば良いんだろう?
A.とりあえず困ったら「発動体」「学科」などを聞いてみて、なぜその発動体や学科を選んだか聞いてみると良いと思います。
Q.今回予告が書けない!
A.とりあえず、キーパーソンやボスの心情などを書いておくとそれっぽくなります。たとえばアリスの心情の場合なら
始まりは些細なことだった。ただ気になって触れた、それだけ。
いつのまにかその温もりは当たり前のものになっていて、離したくなくて。
だからだろうか、手を伸ばして求めていた。自分でも狂っていると思えるほどに。
私の心の底にあった、この感情の名前は何なのだろう?ねぇ、教えてよ―
みたいな。これだと思いっきり愛の重たいシナリオっぽく見えますね。あるいはシナリオをまとめた感じで、
人は一人では生きていけず、故に手を取り生きるのだ。
支えあい、しかし押し付けすぎず、ゆっくりと成長している。
では、その身を預け過ぎた者には一体何が訪れるのだろう?
―少女の叫びは、今虚空へとこだまする。
と書いても良いかと。他にもミドルフェイズの最初のシーンのセリフをオマージュするなど、結構いろいろあります。もちろん公式シナリオの
「ちょうど、シンデレラが王子様に見初められたお城のような場所。
ちょうど、シンデレラがガラスの靴を落とした時間。」
をオマージュしても良いと思いますよ。
Q.3人用にしたいんだけどPC3のコネクションが思いつかない!
A.カース関連ならイマヌエル・カント先生をコネクションにしておきましょう。カース事件の解決枠も割と人気はあります。
14.忙しい人向けまとめ
・シナリオのシーンは大まかに分けて5つくらい
・最低限のシナリオは9つシーンあればとりあえず完成する
・NPC達が魅力的である、またはNPC達と深い関係を築ければエモくなる
・大きな出来事や困難が立ち塞がり、「解決するのはPC達である」という自主性を促せると良シナリオになる傾向
・NPCの死はエモに直結しない
・掘り下げる際のネタの出し方のコツとしては、「5W1Hを意識すること」
・(情報の数)=(PCの数×3)÷2(端数はどちらでも構わない)が丁度良い
・最初は初期情報を人数個分だけ調査可能にし、残りを追加情報として開示できるようにすると良い
・各PCが調べたい!と思うような情報にすると良い
・クルドサックは公式HPを見ながら作るのも手。具体例もある
・肉付けのコツは「交流」「表明」をさせること
・楽しんで書くのが一番!
・この方法に必ず従う必要は無い!
以上です。お疲れ様でした、良きハーベストライフを!
何か質問や相談あれば是非コメントなどでお声かけください!