2024年わたくしのレコード大賞
今年もいよいよ終盤ということで、1年間を振り返り(誰にも求められていないが)2024年に発売された好んでよく聴いたアルバムを選んでみました。
音楽的に近い人のベストアルバムは、これは知らなかったから聴いてみようというトリガーになったりして重宝していますが、俺様の選んだベストアルバムいかがでしょうか?のようなきしょいブロガーみたいな大層な意味はなく、こんなことは滅多にしないのですが、自分用の記録みたいなもんかな。
一応フィジカルで購入したもののみ。
新譜のレコードはゲボ吐くほど高くなっているので、厳選して買ったから購入数はそんなになかったかな。数えていないからよくわからないけど。
ここ数年で音楽を聴く環境もガラっと変わって、家でじっくりレコードを聴く時間より、出勤途中や外出先の電車でスマホやキンタマをいじりながらサブスクで聴くことが多くなってきたけど、サブスクで聴いてよかったと思ったら「欲しいな、レコードないの?」と、すかさず検索しているところは相変わらず病気だなと。大き目の病院で強めのお薬もらってこなきゃね。
以下、一応連番は振ってるけど特に順位的なものではないです。
01. Young Scum "Lighter Blue"
USインディーバンド、スペインPretty Oliviaからの6年ぶりのアルバム。
少し話題になった(日本で5人ぐらいに)1stがとても素晴らしかったので、期待していたがそれを遥かに超えるキラキラ具合に悶絶した。泡吹いた。なんか出た。
とにかくメロディーの蒼い輝きが凄まじい。
これは聴かなきゃ損だね。ぜひフィジカルも買うべしのやつやで。
02. EggS "Crafted Achievement"
フランス、パリのバンド、UKのPrefectからのセカンドアルバム。
1stも一部では評価されてたけど、日本ではほとんど無視されてて残念。
ガレージっぽい粗っぽさと、ポップなメロディーの融合がジャングリーでアノラッキーなあの頃の音楽と地続きの音像。ラッパも入っていい感じ。
メンバーが無駄に10人ぐらいに増殖するも割と音はスカスカ(良い意味で)
03. James Sayer "Creation"
AOR、メロウソウルなフィーリング溢れるイギリスのSSW。
この並びのベストアルバムに入れるか迷ったけど、単純によく聴いたということで。
スタカンや90年代Acid Jazz世代にも刺さるのではないでしょうか?
Young Gun Silver Foxのライブサポートをしていたのも納得の演奏、ソングライティングで、80年代のどこか懐かしく美しいメロディーとワクワクするコード進行に、心の高鳴りと血圧の上昇が止まりません。
04. The Lemon Twigs "A Dream Is All We Know"
わたくしごときが紹介する必要もない、皆さん大好きなダダリオ兄弟の最新作にして最高傑作な5枚目のアルバム。
オールドロック、ソフトロックやBig Star的パワーポップな曲もあり、より多彩になってRonnieパパの音楽性にさらに近づいたと思うだね(作曲はパパの関与はずっと疑っています)
05. Aerial "Activities Of Daily Living"
00年代あのSyft Recordsから出ていた、ジャケがadobe丸出しの青春のマスターピース、あの名盤から20年(ひっそり2013年に2nd出てたけど)
以前よりポップパンクな要素は少し抑えめになっているけど、多重コーラス、サーフな疾走感、青臭、キャッチーなメロディー満載であの時のまんま。
フックの効いたパワーポップA2、ビタースイートなギターポップA3なんか一生聴ける。
06. Wishy "Triple Seven"
メンバー増加とKevin Krauterの体重増加により解散したHoopsから6年。Kevinが新たに結成したWishyのデビューアルバム。
ソロの抑え目な音のイメージと違い、重厚で広がりのあるサウンドに甘めしっかりのメロディーが乗って、1曲目から最高!って叫んでガッツポーズしたよ。夜中に。ひとりで。独身男性なので。
90年代グランジ、シューゲイズ、エモからシティポップまで繋ぐサウンド。
07. Mt.Misery "Love In Mind"
イギリスはハートルプールのインディーバンド。
1st(今では入手困難)から3年、待望の2ndアルバム。
自分の中ではすでに信頼度の高いバンドだけど、期待以上の琴線に触れるグッドメロディーと、ときめく演奏とコード進行。このジャンルど真ん中の大正解。
TFC、ベルセバ、Sarahレーベル好きはマストバイです。
一聴した瞬間にオイオイ咽び泣くことでしょう(情緒)
08. Dent May "What's For Breakfast?"
「今作はThe Strokes、Weezer、Elephant 6とか子供の頃に夢中になった昔の音楽にインスパイアされた」らしいよ?
おじさん、ストロークスとかエレ6とかめちゃくちゃ最近だと思ってた。
芯はきちんとソウルポップな人がインディーを意識した曲を作ったらこんなにもマジカルなポップソングが出来るのかと思った次第。
マジで天才メガネ。
09. Laughing "Because It's True"
カナダのモントリオールを拠点とする、Meritorioレーベルらしい先人のポップメイカー達のソングライティングを上手く昇華したパワーポップな4人組。
Velvet CrushやTeenage Fanclubを彷彿とさせ、90年代スタイルの音を鳴らすも若干土臭く、4人全員が歌えるというのもかなりポイント高し。
突き抜けた派手さはないけど円熟味のあるスルメ的アルバム。
10. Ducks Ltd. "Harm's Way"
こちらもカナダ・トロントが拠点のインディー・ポップ・デュオ。
キラキラとサビのせつない突き抜け感は初期クリエイション、Razorcutsなどを想起してしまいます。
シューゲイズほどフワフワした感じはなく、クランチーで芯のある演奏がとっても好みです。
僕はBook OffでCDは大安売りされているけどレコードはバカ高くて、女子高生がTikTokで踊らないけど、クラブでおじさんが踊っているこんな音楽が好きです。
11. Chime School "The Boy Who Ran The Paisley Hotel"
サンフランシスコ拠点のバンドの2ndアルバム、Slumberlandからのリリース。
Birdsなどのルーツミュージックに初期プライマルやクリエイション時代のFeltのような円やかなサウンドディレクションで、前作よりポップさとメランコリックな泣きメロがアップしてます。
ジャケットはとってもかわいい猫ちゃんですねぇ(なにがネコードだ)
12. Brigitte Calls Me Baby "The Future Is Our Way Out"
USシカゴでこんな音を出しているバンドがいるとは。
ポストThe Smithsのキャプションを見る度に「Northern PortraitかGeneでも聴いて勉強してこいボケナス」と思うようなバンドが多かったのですが、このバンドはモリさんの歌い方まで押さえ堂々と歌い上げ、自分の音楽に昇華していて、ロックでニューウェイビー。
何より曲が良く、ただのフォロワーで終わらせてはいない。
13. The Maureens "Everyone Smiles"
オランダのユトレヒト出身のこちらもMeritorioレーベルから4枚目のアルバム。以前からの60年代のルーツ音楽フォーキー、ウォール・オブ・サウンドやBeach Boys的なサウンドにBig StarやPosiesなどのパワーポップのチャッチーなメロディーを乗せたスタイルは健在です。
コーラスワークもバリバリで、すでに匠の領域ではないかと思うのですよ。
14. Nick Piunti & The Complicated Men. "Up and Out of It"
USデトロイド出身のベテランパワーポッパー。
ブライアン・アダムス似の渋い声に、ルーツ音楽に90年代のパワーポップ、オルタナ成分を足したキラキラしたサウンド。
ギターもよい塩梅でドライブして、なにより彼の持ち味のグッドメロディーを携えた最高なアルバムです。
今後FOWのアダムの新曲が出ないであろう世界に差す、一筋の希望ではないでしょうか(言い過ぎ?)
15. Torrey "Torrey"
USシューゲイスバンド、信頼のSlumberlandから。
ノイジーなギターを前面に出しながらもキラキラと浮遊感、インディー・ポップマナーに則った、程良い明るさとアコギやシンセの音もよいバランスで、ドリポガチ(苦手)勢の僕もしっかりと聴けるアルバムです。
ペインズなんとかとか、Lush、Alvvays、Breedersあたりが好きな人はマストバイな感じではないでしょうかね。
16. Shambolics "Dreams, Schemes & Young Teams"
スコットランドはグラスゴーのバンド。
この地名聞いただけでワクワクすっぞ。
いかにも00年代、われわれのUKロックというサウンドで、初期Mando DiaoやThe Strokesなガレージ感もあってその辺の音が好きな人もおすすめできます。
何より良メロで疾走感があり爽やか、ノリのいいポップロックを聴かせてくれます。日本語での情報があまりなく、これからのバンドとして期待大。
17. The Umbrellas "Fairweather Friend"
英国インディーの遺伝子を受け継ぐサンフランシスコの男女4人組、Slumberlandから。21年の1stは結構売れたんだね。
オープニングトラックのエドウィン・コリンズみたいな低音(またはフランク永井)を思わせるボーカルに女声が絡んでくるなんて、一発で心を掴まれちゃうよね。明るく楽しいジャングリーから、青春期の甘く切ない感覚を凝縮したハッピーサッドなバランスが抜群。
とはいえ若々しさいっぱいでもなくある程度成熟していて、王道っぽいのにどこかひねくれている感じがクセになる。
18. Pete Aster "Tall Stories & New Religions"
Loft、Weather Prophetsで初期クリエイションを支えた、ごぞんじピーターアスターによる、過去のバンドやソロ作品からのリワーク・アルバム。
ベストアルバム的趣旨はあまりなさそうで、地味な選曲で通好みではあるけど、シンプルで透明感のあるアコースティックなサウンドに、美しいメロディ。
甘く優しい「あの」歌声で歌い続けてくれるだけで良いのです。
19. Star Trip "Velocidad"
スペイン語で歌うパワーポッパーの3rd、Pretty Oliviaからのリリース。
バンド名はVelvet Crushの曲名から名付けられた?ことからもTFCやBig Starのパワーポップの影響下にあるバンドではあるけれど、ギターポップやネオアコ、ルーツミュージックのサウンドを楽曲に反映させていたり、幅広い音楽性を感じさせます。
メロディーセンスも抜群で英語詩なら大きな話題になっていたのでは?
タイトルトラックはまるでラーズのあの曲なんて言うのは野暮でしょうかね。
20. Slippers "So You Like Slippers?"
USはLAME-Oからのリリース。
Talulah Gosh~Heavenlyなガール・インディーポップやエレ6辺りのローファイ&TWEEなバンドを彷彿とさせる、新人バンドのデビューアルバム。
曲が短すぎて物足りないのなんて最高にインディーポップしている。
こういうのを聴いて「うおお最高!」ってなるインディー界隈の人を基本的に信用しています。
あと新しい音楽を聴くことをあきらめて、何年もレコードバッグの中身がほぼ変わってないインディー、ロックDJは信用してません。お前のエレファントストーンはもう聴きたくない(何かが憑依した)