【2024年ジャズ】Fly / Michael Mayo
Michael Mayo(マイケル・マヨ)はアメリカのヴォーカリスト、作曲家。両親もプロのミュージシャンで、自身も学士号を取得したあとハービー・ハンコックに師事したこともあるそう。2021年にデビューし、2024年の本作は2作目。ハービーのツアーに参加したり、本作でも共演しているネイト・スミスDr.の複数のアルバムにも参加しているとのこと。
男性ジャズヴォーカルというよりもスティーヴィー・ワンダーのような曲作りに近いという印象を受けました。優しい歌声とスキャットでヴォーカルをあたかも楽器として演奏しているスタイルからボビー・マクファーリンの影響も感じることができます。かといって懐古なわけではなく、サウンドは若いリスナーにも響くのではという斬新なアレンジがなされています。
例えば3.I Wish のように曲調やメロディはジャズなのだけれど、全体から受ける印象は柔らかなポップ性をまとっているのが彼のスタイルなのかなと思います。ヴォーカル多重録音を聴かせる6.I Didn't Know What Time It Was は見事なハーモニーでとろけます。嬉しいのはマイルス10.Four やウェイン・ショーター11.Speak No Evil のヴォーカルアレンジでとても洒落ています。全体的にジェントルで落ち着いた印象ですが、寒くなってきた秋に心をあたためてくれそうなアルバムになっています。
▼ブログ「音楽を聴くことの雑感」も書いています。