子供部屋おじさん町内会に動員される
「子供部屋おじさん」という言葉をご存じだろうか。(以下不快な表現がありましたらどうかお許しを)
実家の子供部屋に住み続ける中年未婚男性を指す、ネットスラングなんだそうだ。
それが未婚女性だと「子供部屋おばさん」になるんだそうで、略して「こどおじ」「こどおば」と言うらしい。
かくいう私や私の夫も、10数年前まではその「こどおじ」と「こどおば」だったわけだが、当時既に、殊にこどおじは田舎ではありふれていた。
嫁不足に加え持ち家率高めという地域柄、いわゆるマイルドヤンキーが婚期を逃すとほぼそのままこどおじ・こどおばになってしまうからだ。
それでも2世代同居が一般的だった平成の初め頃までは、長男が嫁を貰ったら未婚のきょうだいは家を出るものという雰囲気があった。
ところが時代の流れと共に、長男や一人娘であっても結婚後は新築マイホームを持つのが当たり前の時代に。
それに伴い、実家住みの未婚のきょうだいが独立を迫られることも減っていった。
ひと昔前は、嫁を貰った長男が家を出て新居を構えようものなら近所や一族郎党から「残念な家」と囁かれたものだが、今の親はそんなことより愚息が一度でも結婚できたことにホッと胸をなで下ろす時代だ。
独身者にプレッシャーをかける「チョ○ガー」とか「オールドミス」といった言葉は死語となり、お節介なお見合いおばさんが絶滅したせいもあるのだろう、近頃は子供が3人いて3人とも未婚なんて家も珍しくない。
そういった家庭では、子供達が世間からこどおじ・こどおばと揶揄されるだけでなく、老親までもが孫を持てない気の毒なお年寄り認定されてしまうという、田舎ならではの悲しい現実がある。
ところで最近は高齢化と人口減により、町内会の担い手不足に悩む地域が増えているという。
私が住む地区でも「夫婦とも75歳以上、または寡婦(寡夫)世帯は役員を免除」といった従来ルールでは立ち行かなくなってきた班が続出。
隣の地区に住む実家の母などは、父が存命であるばかりに(父は町内会の仕事に一切協力しないのに)80歳になってもまだ班長がまわってくると嘆く。
自分よりも若くて元気で、世話を焼かねばならない夫もおらず悠々自適な1人暮らしの寡婦は永久免除なのに・・・と。
そんな愚痴を聞かされていた矢先、実家の町内では今年度から役員決めのルールが大幅に改変されたという。
これまでは寡婦(寡夫)を除く既婚者だけでまわしていた役を、老親と同居する一定年齢以上の独身男女(こどおじ・こどおば)にもやってもらおうということになったのだ。
もしも私が独身のままだったら・・・と思うとゾッとする話である。
それだけでも結婚できて良かったと思ってしまう私だが、この新ルールは今後動員される独身者らにとってはさぞ不満なことだろう。
しかし裏を返せば、それほど親元で暮らす妙齢未婚男女が増えているということ。
俯瞰的に考えると、地域との関わりが希薄な彼らが老後に孤立しないよう、無理矢理にでも繋がりを作ってもらういい機会だとも言える。
また、個人的には二次効果も期待したいところ。
未婚男女らが町内会に参加することで、近所のおばさんにお節介を焼かれたりプレッシャーをかけられたりして、結婚したい願望にスイッチが入るかも?しれない。
あるいは町内会活動を通じ、同世代の独身異性と運命の出逢いがあったりして・・・?
などと無責任な妄想を膨らませてしまう婚活OBなのであった。
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