わたしはロランス(2012/カナダ・フランス/監督グザビエ・ドラン)
カナダのモントリオールで国語の教師をしているロランス(メルヴィル・プポー)は、ある日、恋人のフレッド(スザンヌ・クレマン)に対して女性になりたいと打ち明ける。ロランスの告白にフレッドは激高するも、一番の理解者になることを決める。迷いや戸惑い、周囲の反対を乗り越えて、社会の偏見に遭いながらも二人の人生を歩もうとする。(シネマトゥデイより)
U-NEXTにて。
10年ぶりに再鑑賞して、アップリンク Xで観たときの感動が蘇ってきました。
以下は以前書いた感想。
※オチに触れています。
始まりから終わりまで無駄がないって素晴らしい。
若干24歳が撮ったとは思えない語り口、高崎俊夫さんの”アバンギャルドにして古典派の風格”とは言い得て妙で、俗っぽさがなくて168分という尺を感じさせない展開に、まるで1989年から10年に渡る大河ドラマを見ているような感覚でした。
スザンヌ・クレマン演ずるフレッドのエモさが画面を引っ張るだけでなく、『僕を葬る』のメルヴィル・プポーがハマり役だったのが印象深い。良質なヨーロッパ映画を見たなという余韻が残ります。
原題は「LAURENCE ANYWAYS」
ロランスの「(仮に僕が女になりたがらなかったとしても)ぼくたちはうまくいってなかったと思う」の一言はぐさっときた。ヘテロだろうがなんだろうが、相手を受け入れられなければどこまでも平行線なんだっていうね。恋愛の限界とある種の覚悟がないと恋愛はきついって思わされた。
奇妙な関係を描いているようでいて、男女の普遍的な葛藤が描かれていましたね。
近年は良質なクィア映画が増えましたが、こちらも2000年代の名画の一本として観てもらえたら嬉しいですね。