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Fred Herch / In Amsterdam : Live at the Bimhuis(2006)

最近寝しなにソロピアノを聴くのが至福の時。イヤホンを低音が響くものから細部までクリアに聴こえるものに変えたせいもあるかな。

ソロライヴということもあってか、冒頭「A Lark」からすでにこの日にかけた情熱が伝わってくる。まさに全身全霊といった、この瞬間こそ全てに思えてしまうような熱情的な演奏。

ハーシュの演奏を耳にする度に熱いものがこみ上げてくるのは、彼が長いことエイズを患い戦い続けていることと無関係とはいえないでしょう。近年は元気な姿を見せていますが、この時期の録音は相当体調が悪かったのか、鬼気迫るものがあります。これ以上ない繊細さと同時に内に秘めた想い、生と音楽に対する執念を感じずにはいられない。

観客の拍手の大きさと小さな咳も拾ってしまうくらい密な雰囲気から、クラシック仕様の天井が高く音の抜けがよくソロにはうってつけな会場で、でもそう大きな会場ではないのでは。

拍手音がなければ極めてプレイベートな音世界に没頭するハーシュの練習部屋からもれる音楽を息をひそめて聴いている、そんな禁欲的な魅力をもったアルバムです。名盤。


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