ワールズ・エンド・ガールフレンド / 空気人形O.S.T(2009)
年明けは静かなものが聴きたくなって、久しぶりに流しています。
お友達のコメントの“エレクトロニカを通過した感性で紡がれた現代のチェンバー・ミュージック”が言い得て妙で、映画は受け手に波紋を残す作品でした。こちらも原作「空気人形」が生んだもうひとつの物語/名作ですね。
映像と溶け合っていたせいか、映画音楽として強く印象に残っていなかったのですが、流していると「ああこれはあの場面だな」とすぐその映像が浮かんでくる。映画と切り離しても完成された世界があり、リンクさせても広がりがある素晴らしいサントラ。
各トラックに名づけられたタイトルが楽曲の物語性を強めていて、とくに何度聴いても感動的なのは、冒頭「風と共に目覚め」から続く「誕生の日に」です。か細く淋しげな旋律に徐々に音が加わり、空気人形がゆっくりと呼吸をしながら心が宿る瞬間を迎え入れる様が、つつましくも色鮮やかに表現されています。