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ティスティングのススメ

昨年のマイブームは、ティスティングだった。ティスティングっていうと、多分一番メジャーなのはワインなんだけど、ワインは普段からティスティングっていうか、当たり前に「本気で向き合って」飲んでるんで、ここで「マイブームだった」って言ってるのはそれ以外の……

実は、調味料。
今年は調味料検定なんてものも始まるんだね。忙しいの分かってるし、検定って今、何でもアリになっちゃってて、ちょっと様子見って気分なのもあって、受験は見送ったんだけど、ネットで買おうと思った検定教科書、今日たまたま寄った喜久屋書店で見つけて、中身見たらかなりいい感じだったんで(しかもお金おろした直後だったし)買っちゃったよ。

醤油とか、塩とか、ハーブソルトとか。そんなものを小皿に並べて、ティスティングやって楽しんでました。普段ね、大体そんな調味料って家にあっても1種類~数種類までで、しかもそれ、比べてみようとかあんまり思わないじゃない?
でも、ここで公開してるスーパーコンシェルジュって小説の中にも書いてるんだけど、それって本当にそれぞれが違うのよ。違うのに……ちゃんとティスティングってやってみたことなかったなって思ったので、ちょっと反省して、シコシコやってました。

小売り業って言うのは、色んなものを提供していて、今ってどっちかって言うとモノ溢れ、情報溢れの時代じゃない? そういう中でね、小売業が「きちんとお代をいただこう」と思ったら、売ってるものの「違い」を明確にしないと、やっぱ無理だと思うのね。
私の元々(という言い方がどうか)の専門は酒、それもワインなんだけど(ワインアドバイザー資格所有)、酒って言うものの性質もあるのかもだけど、よく言われるのに「美味いか不味いかくらい、誰でも分かる」ってね(笑)

もちろん、一消費者としては全然それでいいんだよ? ただね、売る側としては、それってどうよ。酒屋とか、飲食とかの人がさ、美味い不味いだけしかわからないとしたら。

「これってどうですか?」
「あ、それ美味しいですよ~」
「こっちは?」
「それはまぁまぁ美味しいですよ」
「じゃ、こっちは?」
「うーん、あんまり美味しくないかな」
「そこのやつは?」
「すごく美味しいです」

伝わっただろうか。まったく何も伝わらないことが。

もし私がこの客の立場だったら、まず思うだろう。「ホントにこの人、味、分かってんのかな?」 そして次に思うのは「じゃぁなんで『あんまり美味しくない』のを置いてんだろう?」
思いません?

ティスティングというのは、はっきり言って、違いが分かるようになるための訓練なんである。ちなみに実感としても(そして多分論理的にも間違いないと思うのだけど)知識がないと、違いなんて分からない。だからワインの勉強をする人はティスティングだけじゃなくてワインの知識も勉強するんである。
で、ティスティングティスティングと言ってるけど、ティスティングって何さっていう話になると思うんだけど、その目的は三つ、だと思ってる。

一つ目は、違いが分かるということ。単に違う、というだけじゃなくて「どんな風に違うか」ということが分かるということ。
二つ目は「なぜその違いがあるのか」が分かるということ。
そして三つ目が「その価格が適正であるかどうかが分かる」ということ。
私はこの三つが、ティスティングの目的だと考えている。今、簡単に書いたけど、これって実はすごく難しいことで。どんな風に違うか、ということを分かろうかと思ったら、繊細な味覚や嗅覚、そして何よりそれらの「ひきだし」が要る。なぜその違いがあるのか、を分かろうと思ったら「それ」についての知識が必要。そして「価値が分かる」には市場の相場とかトレンドも含めて知っておかないといけない……

うわー、ムツカシイ、ね。でも対象に対して愛情があれば、そういう「欲」って自然に湧いてくるもんじゃないかな。知りたいって思うもんじゃないかな。ちなみに「あたまでっかち」っていうのはどういう世界にもいるもので、知識だけある人も、一度思い切って実際にティスティング(それがワインであれ、醤油であれ)をしてみることをオススメします。百聞は一見に如かず。目の前の対象に自分の知識がガツっと合致した時にこそ、心の底から「こういう知識を持っていてよかった!」と実感すること請け合いです。


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如月 ローズ
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。お役に立ちましたら幸いです。 *家飲みを、もっと美味しく簡単に*