ドキュメントツールの導入はチーム作業において必須だが、そのポテンシャルを最大限活用できているチームはそう多くないかもしれない。とりあえず議事録を貯めておくだけの箱となっていたり、蓄積された情報がほとんど参照されなかったりと、行き詰まりを感じているチームも少なくないのではないだろうか。
2024年5月、Featured Projects × Notion 共同企画として、創造性とコラボレーションをブーストさせてくれるプラットフォームとしてのNotionやドキュメント作りについて学ぶ全2回の連続イベント「Designing Documentation Culture」を開催。第1回はマイベスト Engineering Manager・佐藤 直人とFeatured Projects 共同代表・相樂 園香、第2回は株式会社LayerX バクラク事業部 事業開発・稲田 宙人と株式会社Gaudiy HR/PR・山本 花香が登壇した。
本記事では、情報設計の基本を学び、さまざまな企業・チームが実践するドキュメント活用のユースケースを深堀りしていったイベントの内容をダイジェストする。個人にとって役に立つドキュメントの活用法、そして会社のメンバー全員でドキュメントをつくり、育てる–––「ドキュメント文化」を構築する方法とは?
なぜ組織にはドキュメント文化が必要なのか?その目的と運用時のポイント
組織に会社のメンバー全員でドキュメントをつくり、育てる「ドキュメント文化」。まずはその重要性について、株式会社LayerX バクラク事業部 事業開発・稲田 宙人が語った。
稲田「ドキュメント文化があることによって、会社経営・事業成長に貢献したい全ての人が同じ議論の土俵に立てるようになります。そのためのツールとして、ドキュメントがあります」
では、「同じ議論の土俵に立てるようになる」とはどういうことか。ドキュメント文化を構築することで期待される効果を稲田は4つ挙げている。
そして、実際にドキュメントを運用する上での注意点は6つあるという。
GitLabから学ぶ、ドキュメント文化のベストプラクティス
では、ドキュメント文化を構築するためにはいかなることに気をつければいいのだろうか。
おすすめ商品比較サービスのマイベスト Engineering Manager・佐藤 直人は、「こうすれば必ずうまくいく」という「銀の弾丸」はないと念を押したうえで、ベストプラクティスとして世界最先端のフルリモート組織・GitLabの事例から得られる学びを紹介した。
さらに、ドキュメント文化の構築に向けた重要なポイントを踏まえた「はじめの一歩」として、佐藤は以下の3点を挙げた。
「繰り返し機能」や「投票機能」をフル活用:マイベストの事例
では、実際に登壇者のチームでは、どのようにドキュメントを使用しているのだろうか。本イベントでは、登壇者それぞれが、自社でどのようにドキュメントを活用しているのか事例を紹介した。
はじめにユースケースについて語ったのは、前段に引き続いて、マイベスト の佐藤。同社では主に4つの場面でドキュメントを活用しているという。
情報の書き手と受け取り手を想像する:Featured Projectsの事例
続いてユースケースを紹介したのは、Featured Projects 共同代表の相樂 園香だ。
誰でも情報にアクセスできるようにするために:LayerXの事例
次にユースケースを紹介したのは、LayerXの稲田。氏はLayerX社内でドキュメントを活用している場面と工夫について語った。
書き慣れていない人もドキュメント文化に巻き込む:Gaudiyの事例
最後に登壇したのは、株式会社Gaudiy HR/PR・山本 花香だ。Gaudiyでは、ドキュメンテーションに対する考え方として大事にしていることが4つあるという。
①きれいじゃなくてもドキュメントを残す人がえらい
②迷ったら共通データベースに放り込む
③読み手を想像して「思いやり」を持つ
④書いて終わりではなく、みんなで育てる
そのうえで、山本はGaudiyでの具体的な活用方法を語った。
それぞれの事例が紹介された後は、第1回、第2回ともに、イベントの終盤にゲストのプレゼンを元に深堀りするパネルトークも実施。「特定のメンバーしか書いていない」状況をいかに避けるか、ドキュメントをアップデートし続けるためにどのような工夫を凝らしているか……こうした話題について一層深堀りする議論が交わされた。
組織にドキュメント文化を根付かせることは容易ではない。だからこそ、ドキュメントの重要性に共感し、共に文化をつくろうと奮闘する“仲間”がいることは心強い支えになる。本イベントのような場もきっかけに、社内外にさまざまな“仲間”を増やし、ユースケースやノウハウを交換しながらドキュメント文化を構築していくことが肝要ではないか。
[企画・主催]Notion, Featured Projects
[執筆]並木里圭
[編集]小池真幸