コミュニケーションを「センス」で終わらせずトレーニングしたい|東京都児童相談所
株式会社フィアレスでは、東京都福祉人材トレーニングセンター様にて研修を実施いたしました!
どうして弊社に研修を依頼していただいたのか、どんなことを目標に、どんなことを実施したのか、などをこちらの記事でご紹介いたします。
※記事内に登場する写真に写っている方は、ファシリテーターまたはアシスタントです。児童福祉司の皆様のお顔は伏せております。
児童福祉司として必要なスキルを
「センス」で終わらせず、学べる機会を作りたい。
今回、依頼を受けたのは、東京都の児童相談所で働く児童福祉司の皆様に向けたコミュニケーション研修です。
児童福祉司の皆様が普段関わる方の中には、経済的・精神的に追い込まれている保護者さんや子どもがとても多くいるそうです。
そんな保護者さんや子どもたちと日々関わっていくには、相手との繊細なやり取りが必須です。経験を積んでいくと感覚がわかってきたり、できることも増えていくのですが、あまりにも現場で傷つきながら習得するという環境になっており、志半ばで退職してしまう方や、適切なアドバイスができず悩む先輩がおり、ここの部分をなんとかしたい、と相談をしていただきました。
そこで、下記のような目的を置いて研修を実施することになりました。
様々な観点から、関わり方を体験し振り返る
手を取りたいと思える人になっていますか?
通報があったご家庭に訪問をする時・保護対象となったお子さんに手をとってもらおうとする時・保護者の方とこれからどうしていくかを一緒に考える時。
「この人にならついていっても大丈夫かもしれない」「この人だったら信用できる」「安心してきた」と思ってもらうような、立ち方・近づき方・表情・声の掛け方はできているのかを考えてみます。
人は言葉ではなく、身体・表情・声のトーン・歩き方など、全部を使ってメッセージを発し、全てからメッセージを受け取ります。緊張していること、不安なこと、優位に立とうとしていること、興味がないこと…。受け手として、相手は無意識でも自分には「こう思っているんだろうな」と、伝わってきてしまった経験はありませんか?
切羽詰まっている状況に置かれている人ならば、相手からの情報を敏感に感じ取り、受け取ってしまうのではないでしょうか。
また、人によっては自然な笑い方が、別の人にとっては嘘っぽい笑い方に見えることなどもあります。一般的に正しいやり方は存在せず、自分の身体・表情・空気感から発されるメッセージは、相手にどんな伝わり方をしているのか理解していく必要があります。
だからこそ、自分が動き、自分がどんなメッセージを発しているのかを教えてもらうという繰り返しがとても重要になってきます。
どれくらい相手の話を聞いていますか?
お子さんが保護者さんに対して言っているその言葉に、違和感はないか。質問した内容に答える時に、抵抗を感じていないか。家が綺麗に片付いていてしっかりされてそうなお母さんが、本当は頑張りすぎて精神的に追い詰まってはいないか。様子を見に行ったご家庭でお子さんを抱く様子にぎこちなさがないか。
言葉、環境、行動を情報として処理せず、身体で発しているメッセージや裏にある意図をしっかり受け取ることについて考えてみます。
人は基本的に、相手が伝えてくれている話をそのまま受け取ることはできません。多かれ少なかれ自分の解釈が入ったり、言葉通り受け取って身体が発しているメッセージを取りきれなかったりします。
自分がどこをキャッチしてどこを逃したのか、そんなことを体験し発見するワークです。
予想外のことが起きた時、どんな反応をしていますか?
世界には色んな人がいますし、色んな感情があります。訪問したご家庭の方が突然大きな声を出してきたり、泣き出したり、むしろあっけらかんとしていたり。
そんな想定外の反応を示した時に、固まってしまうのか、狼狽えてしまうのか、はたまた焦らず対応できるのかで、その後の信頼関係も変わっていくといいます。
予想外の反応に対応できるようになるにはさまざま方法はありますが、自分が対応できる範囲、コントロールの効く範囲からはみ出てみる、という形を今回はとってみました。
予想外のことが起きた時に、目の前のことをスルーしてしまうのか、怒りが湧いてくるのか、恐怖を感じて固まってしまうのか、まずは体験すること、知ることが必要だと考えています。
固まってしまう自分を知ったら、それに対処するために深呼吸をするなどの方法を考えて試していくことができます。しかし、そもそも自分がどうなってしまうのかわからないままでは、対処のために試行錯誤することもできません。
また、自分のコントロール外を外れる経験を何度もすることで、そのこと自体に慣れて対応できるようになっていくこともあるでしょう。
予想外のことは必ず起こる前提で、どう身体を作っていくのかを考えていきます。
参加者の感想
研修は、楽しく笑いながら進んでいきます。
様々な観点を持って研修を行いましたが、研修は全体として「笑い声」が溢れる時間になることも意識して行っています。それは、「失敗すること」「うまくできないこと」を罰するような雰囲気では試行錯誤が生まれず、結局成長も阻害されるからです。
うまくいかないことも楽しみながら、研修はいろんな失敗ができるような場を提供しています。
繰り返し体験・トレーニングしていくことが大切です。
私たちが提供している研修は、「知識を提供」だけではなく「実際にできるようになること」を目指しています。何かを習得するには回数と時間が必要です。また、コミュニケーションにおいて「完全にできるようになった」ということはありません。常にアップデートが可能な分野だと思います。
そのため、定期的に研修をはじめとした練習の場を設けること、普段の業務でも振り返りを通して改善していけるような体質を作っていきます。
人に関わる職業の方のお力になりたいです。
ご相談ください。
今回は児童相談所の皆様に向けた研修をご紹介しました。
この中で、人と密に関わるお仕事をされる方(教育関係者・看護介護福祉関係の方など)にとても意義のある時間を提供できるなと感じました。
ご興味を持った方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。