
#45.幼馴染(幼馴染/俺) ※加筆
「くそっ、覚えとけよクソ野郎ッ!!」
「はっ、てめーらみたいな雑魚、いちいち覚えてらんねーな、とっとと消え失せろ、カスがっ!」
「っく!!…ず、ズラがるぞ!」
「へ、へい!」
夕方の河川敷。
ライバル校をたった1人で蹴散らした俺はサッと制服の上着を拾い上げる。
カラスの鳴き声。川の水音。
俺の痛覚の無さに毒づきながらしっぽ巻いて逃げるアイツらがダサすぎて笑える。
そして俺は強い。今日も強過ぎる。
「あーぁ、つかれた、さすがに1人で10人相手にすんのはなー、ま、余裕だったけど」
拾った上着を片手に、俺は夕日を見ながら背伸びをした。
当然だが、広角は自然と上がっている。
赤く反射する川の水面(みなも)が勝利の気分を心地よく助長してきやがった。
するとそこに、
キキーーーーーッ!!!!!
…
「ちょっと!!また喧嘩したの!?」
チャリのブレーキ音。
俺は音のする方を見上げる。
橋の上。
そこには、息を荒らげ、立ち漕ぎから降りて叫んでくる1人の影があった。
慌てて来た事が丸分かりの良く見知った“あいつ”だ。
「ぁん?」
俺は上着を肩にかける。
「さっきよろけながらアンタの悪口言ってた集団とすれ違ったの!まさかと思って」
あいつはそう言い残すとまたチャリにまたがり橋を渡り切る。
溜まる唾液をグッと飲み込み、俺を目掛けてローファーは必死にペダルを漕ぎ続けた。
「んだよ」
ダルそうに川の流れを見つめる俺。
再び鳴り響くブレーキ音。
ガシャンっとチャリのスタンドを立て、あいつは俺を真っ直ぐ見つめて走って来た。
「はぁ、はぁ、んっ、、はぁ、、はぁ、、」
ようやく辿り着いた俺の前で両膝に手を着き、あいつは肩を大きくゆっくりと上下させる。
「なにしにきた」
俺はあいつに背を向ける。
「っぐ、、はぁ、うっ、はぁ、、。あ、、アンタ、もう喧嘩はしないって!、、私との約束!」
息を切らしながら必死に訴えて来る。
「あぁ」
チラッと振り向く俺。
夕日は俺らの影を丁寧に砂利へと映し出していた。
「も、もう危険なことはしないで!…おねがい!!」
目の端で留まり切れない涙があいつの頬を伝い、顎からポロポロと砂利にシミを作る。
「んあぁ、わりぃ」
俺は殴られた所を隠す様に歩き出した。
「ちょっ!ちょっと待ってよ!怪我してるじゃない!!」
袖を強引に引っ張り、あいつは俺の前に回り込む。
「いでっ」
血のにじむ頬に触れられた。
「ほら、じっとして」
引き攣った顔に当てられるハンカチは俺の視界の殆どを埋め尽くすが、目の端には少しだけあいつの顔が見えている。
ユラユラと揺れる瞳と、これ以上悲しみが溜められない目元。
「……ばか、、」
唇をかみ締め、他にも何かを言いたそうなあいつから、スッと雫が落ちていく。
俺はハンカチをどかして下を向く。
あいつの制服の右袖には既に水の擦れた跡があった。サッと顔を拭った様な、そんな跡。
泣き虫な癖に強がる、あいつら昔からそうだった。
学校の保健室で手当したいと譲らないあいつ。
俺は根負けし、あいつと同じ歩幅、同じスピードで、同じ方に歩き出す。
引かれたチャリのカタカタという音。
隣を歩くあいつの横顔。
お節介焼きのあいつに俺は溜め息をつく。
赤信号の間にポツポツと他愛もない話をしながら、俺らはまだ何人かの部員が活動している学校に辿り着いた。
チャリ置き場、下駄箱、教室を通り過ぎ、「保健室」と書かれた札の前で足を止める俺達。
あいつは一歩出るとドアを横にスライドさせた。
「入って?」
「ん」
言われるがままに保健室に入る。
「座って?」
「ん」
あいつは手際よくコットンに消毒液を含ませると、ピンセットを俺の顔に近づけてくる。
「ん…」
じっと見つめられて俺の頬は赤らむ。
「えいっ」
耐え切れなくなって目線を外した瞬間、頬に激痛が走った。
「いっでぇ!!」
コットンが赤く染まり、俺の顔が仰け反る。
「こら、もう少しガマンしなさい?」
膨らむあいつの頬。
「、、っく、」
元の位置に戻した顔へ、再びコットンが近づいてくる。
「ぅぐ、ぐっ、、、」
俺の黒目に映るコットンが徐々に大きくなる。
「えいっ」
「うぎゃぁっ!」
激痛に飛び退く俺を見て、あいつが笑った。
「ふは!もぉー大袈裟なんだからぁ」
口元を抑え、小刻みに肩は揺らされる。
「はい、おしまい」
あいつはコットンを処理し、消毒液、ピンセットを元の位置に置いて戻ってくる。
「んで?今日はなーんで喧嘩しちゃったの?」
保健室の回る丸い椅子。
そこに脚を開いて座り、スカートから見える両太腿の間に両手を置いて改めて俺と向き直る。
首をかしげ、真っ直ぐに目を合わす。
「あの野郎共が喧嘩ふっかけてきたから」
俺は親に叱られる子供のように口を尖らせ、目線を適当に逸らした。
「私、これでも風紀委員なんだけど」
床に逃げた俺に注目してもらえるよう、あいつが前のめりになる。
「あんまり喧嘩ばっかりしてると、そのうち風紀委員の議題にあがっちゃうよ?もぅ」
あいつの片頬がぷくっと膨らむ。
「それに、私、あんたに危険なことして欲しくないんですけど?」
座る体勢を変え、あいつは腕と足を組む。
「あぁ」
適当に返す。
「前もそうやって返事して、今日もまた喧嘩して、ほんとに私の話きいてんの?」
「あぁ」
「むっ」
真面目に話そうとしない俺に少し怒った表情。
あいつが椅子に深く座り直す。
「ちょっとこっち来て!ここに乗って!」
「なっ!」
ガタッと音を立てたあいつの椅子。
不意に腕を引っ張られ、バランスを崩した俺があいつの膝に引き込まれる。
あいつのスカートと俺のズボン。
布の擦れた音が一瞬で消え、俺の視界全域はさっきまで横目で見ていた保健室の床になった。
「なっ、お、おまっ!なにすん、、、」
パァン!
言い終わる前に、俺は尻をはたかれる。
「んぐ」
驚きのあまり抵抗さえ忘れていた俺の口から声が漏れた。
「あんまり心配かけないでよもぉ」
パァンッ
パァンッ!
パァンッ!!
「ぅぐ、ちょ、おまえ、ほんとになにして、、」
パタパタと床を擦る俺の上履き。
暴れようにも、しっかりと体重の乗せられたあいつの腕を腰の背に受け、わたわたと椅子の脚を叩くことしか出来ない。
「喧嘩しないって約束!」
パァンッ、パァンッ
「っあ!いって!」
「忘れてたの?」
パァンッ!
「うぁ!」
保健室に響く破裂音と俺を叱るあいつの声。
あいつに尻を叩かれるなど思ってもみなかった俺は、突然の尻の痛みに、無意識に喘ぎ始めていた。
カチャカチャと腰骨あたりで音がする。
「なっ、何する気だてめぇ!」
片目を瞑り、あいつを見上げる。
「今日こそ絶対喧嘩しないって誓ってもらうからね?」
「やっ、やめろ!」
下半身からズボッと音がし、太ももがいきなり涼しくなる。
「お、おい!!こらっ、くそっ!」
じたばたと両脚に力を込めるが、ふくらはぎまで下ろされたズボンが脚に絡まり、暴れようにも上手く動かせない。
「観念しなさい!」
あいつが手を上げる。
「やっ、やめ、、、」
ピシャッ
俺の履いていたボクサーパンツが揺らされた。
ズボンの上とは桁違いの電流が走る。
「危ないことばっかして!」
ピシャッ、ピシャッ、っとはたかれる尻はどんどん熱くなり、一打一打の間隔がどんどん狭まっていく。
「ほんっとに!」
ピシャッ
ピシャッ、ピシャッ
「いっ!、いだっ!、、いってぇ!、、おいっ!、、マジでいてぇって、、」
俺とあいつを乗せる椅子がカタカタと揺れている。
「そうよ?痛くしてるの」
ピシャッ
「、、ああっ!!」
喧嘩の時に顔をいくら殴られても出したことの無い叫び。
それが、尻を打たれただけで自然と零れ出てしまう。
そんな情けない声が自分の口からこぼれ、あいつに聞かれていると思うと、とてつもない恥ずかしさが俺を襲ってきた。
「っく、、そ、」
ピシャッ
「、、あぁっ!」
悔しい思いはあいつの平手によってすぐにかき消される。
無言で叩き続けるあいつと、全身カチカチにして平手に耐える俺。
必死に椅子の脚にしがみつき、俺はじたばたを繰り返し続けた。
ズボンがスルスルと足首まで落ちきった頃、あいつの声が降ってくる。
「ねー、少しは懲りた?もう喧嘩しない?」
黙り込む俺。
「どうしていつも喧嘩しちゃうかなぁー?」
あいつが俺のボクサーパンツをサラサラと撫でる。
「だ、だから、あの野郎が俺を待ち構えて!」
俺は床に向かって弁明を始める。
「だ、だから、お、俺は悪くねぇ!、、離せっ!、、離せよばかっ!、」
あいつの膝の上に乗せられた腰をくねくねと動かす。
「どうして逃げるとか考えないの?」
あいつがため息をつく。
「に、逃げれる訳ねぇだろ!!、、これは男の闘いだっ!、、逃げたら負けたと同じなんだよっ、、くそっ!」
「ねーぇ、大人しくして」
揺らす腰を上から抑え込まれる。
「また喧嘩ふっかけられたら、立ち向かっちゃうの?」
あいつは俺の腰に立てた肘で頬杖をし、俺の後頭部を見下ろし続ける。
「あっ、あったりめぇだろ!!、、俺はこの街でいちばん強い男だぞ?、負ける訳にはいかな、、、」
パァン!
「あぅわっ」
俺の頭がガッと上がる。
「それじゃーなんのためにアンタのお尻叩いてるか、、意味ないじゃない」
頬を膨らます。
「だ、だったら早く下ろせよゴリラッ!、、」
あいつの眉がピクリと動く。
俺はヤケになっていた。
足首に絡むスボンを引き裂く思いで目一杯力を込める。
「ん、、もぅ、この分からずや!!」
あいつの声が大きくなった。
「おいっ、ウソだろ、、くそ、、やめろ、、おまえっ!、マジで何して!!、、」
あいつは俺のボクサーパンツを引き剥がし、一瞬で足首までズルッと下ろしきる。
ばちぃん!
「ぁぐぁ!」
俺の顔が赤くなり始める前に、既に俺の口から悲鳴が叫ばれていた。
「もぅ!、、ばかっ!、ばかっ!、ばかっ!!」
バチン、バチィン、バッチン!!
「ひゃっ!、、待てっ、待ってくれ、いでぇ、いでぇ、、くそ、いっでえ!!」
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