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#48.結婚の儀式(F/f) ※加筆


とある豪邸の一室。

世間が一際憧れるこの王家には、結婚前に必ず行わなければならないあるしきたりがあった。

コンコン

ガチャッ

メイド「奥様、“例のお方”とセイラお嬢様を連れてまいりました」

軽く頭を下げ、メイドは扉を大きく開けて2人の人物を部屋に通す。

セイラ「母上、失礼します」

??「失礼致します」

母「えぇ、お入りなさい」

屋敷の大広間。

シャンデリアと豪華な家具が丁度よく敷き詰められたその部屋は、外観に見合う、何とも目を奪われる一室であった。

母「よく来てくださいましたね」

大きな窓の外を眺めていたセイラの母が振り返る。
そしてメイドの言う、例のお方を認知するとニッコリと微笑みかけた。

セイラ「ねー母上ー。ほんとにやるのー?」

セイラはその視界を狭(せば)める様に母に近づき、その両手をぎゅっと握ると顔を赤らめながら頬を膨らます。

母「えぇ、結婚前の娘は“それ”を行うのが我が一族のしきたりですからね」

セイラ「えー、やだー」

頬は変わらず膨らめられたまま恥ずかしそうに目線を落とすセイラ。

母「ではあのお方と結婚したくないのですか?」

セイラ「結婚はしたいけどさー………」

母を上目遣いで見上げ、視線を落とし、は繰り返される。

母「さ、始めるわよ?」

セイラ「……うぅ……は……はーい……」

結婚としきたり、その2つを天秤にかけたセイラはもちろん結婚を優先する。
嫌そうに仕方なさそうに返事はされる。

セイラに包まれた両手を払った母はセイラの例のお方に近づく。

母「セイラから聞きましたか?この家の者が結婚前に行う儀式のこと」

白のスーツをまとった長身の男性を見上げ、セイラを一瞥しながら母は尋ねる。

例のお方「えぇ、何を行うかまでは教えてくれませんでしたが、私が〝それ〟を見て、認めることが出来るならば、結婚することが許される、と聞いております」

母「あら、セイラったら具体的に何をされるかは言ってなかったのね?ふふふ」

例のお方「顔を赤く染めたまま中々教えてもらえず、今に至ります。はは」

母「まぁ、確かに、顔を赤く染めることを、今から見てもらうのかもしれないわね?」

何を隠そう、例のお方とはセイラの婚約相手である。

婚約者「私は結婚を認めて頂くためなら、セイラのどんな姿を見ようと、彼女を認め続けます!」

母「ふふ、頼もしいお方ね」

婚約者「ところで、その〝結婚の儀式〟とは?私はセイラの何を見届ければ良いのですか?」

母「まぁ、見てれば分かるわよ?あのソファにでも腰かけて?」

婚約者「分かりました」

母はセイラの婚約者をソファへ誘導し、周りのメイドを集めて指示を出す。

母「さぁ、一家の一大イベントよ?我が家の一人娘、セイラの〝結婚の儀式〟を始めるわ?」

メイド達「はい!奥様!」

今まで仕えてきたセイラの生涯唯一のイベントともあり、メイド達にも一段と気合が入る。

母「この屋敷中の、今までセイラの世話に関わった全てのメイドをこの部屋に連れて来なさい」

メイド達「はい!」

メイドは指示を聞くと、一斉に部屋から出ていき、全方向に散らばり出した。

セイラ「ちょ、ちょっとぉ、母上ー!」

母「なに?セイラ」

セイラは母に近づくと、また頬を膨らめている。

セイラ「何もこの屋敷中のメイドに見せることないじゃない!もー!」

セイラは婚約者の手前、小さく足踏みで怒りを表す。

母「そういう訳にもいかないわ?我が家唯一の娘だもの、1回きりだから我慢なさい?」

セイラは冷静に諭(さと)される。

セイラ「もー!そんなこと言ったって恥ずかしいものは恥ずかしいよー!私の世話に関わったメイドなんて、この屋敷のほぼ全員じゃない!」

母「そうね」

セイラ「結婚相手に見られるだけで顔から火が出そうなのに……メイド達にも見られるなんて………」

母「仕方ないじゃない、決まりだもの。結婚を優先したなら、大人しく受けることね?」

母はセイラの抗議を軽くかわし続けた。

セイラ「はぁ…あんな恥ずかしい姿みられたら……私…お嫁にいけないよぉ……」

数分後の未来を想像したセイラは、火照った真っ赤な頬に両手を当て、わなわなと震え出す。

母「お嫁にいくために見てもらうのよ?その姿」

屋敷の決まりに抗議するセイラを宥(なだ)める間に屋敷中のメイド達がぞろぞろと部屋に入ってきた。

母「よし、じゃあ、始めるわよ?」

セイラ「………うぅ……」

母は列をなすメイド達に近づくと、また指示を出す。

母「この広間の真ん中に、私が座る木の椅子を1つ、置きなさい。婚約者の方用に、私と対面するように、もう1つ、椅子を置いて、そうしたら、セイラが均等に見えるように、その周りをメイド全員で囲みなさい」

落ち着いた口調で話す母の指示を聞いたメイド達が一斉に頷く。

メイド長「さ、皆さん、動くわよ」

メイド長の合図とともに、メイド達は部屋の中で散らばり始めた。

コトンッ

広間の真ん中に木の椅子が置かれ、母とセイラ、そしてセイラの婚約者を360度取り囲む。

婚約者「な、なんだ、これは」

母「あなたはここに座ってちょうだい?」

婚約者「は、はぁ…」

全方向から瞬時に視線を受けたセイラの婚約者は驚くものの、母に促された豪勢な椅子にゆっくりと腰をかける。

セイラ「……うぅ……ほんとにここでやるの…………」

広間の真ん中、座る結婚者と対面して置かれた木の椅子に向かって歩き出す母。

儀式への恐怖に中々一歩が踏み出せないセイラを、すでに木の椅子の位置まで進んだ母が振り返る。

母「セイラ?来なさい?」

セイラ「……うぅ…」

口を手で抑え、一歩一歩、震えながらゆっくりと近づくセイラ。
時間にして数秒でもセイラにとっては物凄く緊張した歩みだ。

婚約者、そしてメイド達が見つめる中、セイラはようやく母の元にたどり着いてしまう。

ギシッ

ギシッ

母は木の椅子に座り、1度腰を浮かせると、スカートを整えて、再度座り直す。

セイラ「……っ」

木の椅子が軋む音にビクッと反応するセイラ。

身長差の変わった母はセイラを見上げ指示を出した。

母「さぁセイラ。膝に来なさい?」

セイラ「はぅ……」

ついにその時が来た。

覚悟はしていたものの、母のその宣告に一歩、セイラは後ずさる。

婚約者「?」

結婚の儀式とは何か、これから何を見せられるのか、何も分からず対面する婚約者の首は自然もと傾(かし)げられる。

母「セイラ。膝に乗りなさい」

もたもたしているセイラへ母の声量が少し上がる。

セイラ「……うぅ。……は……、…はぃ……」

母が子を叱る様子が婚約者とメイド達の目に映る。

セイラはビクビクしながら、ゆっくりと母の藍色のスカートの端に両手をつける。

母はセイラが自身の膝にうつ伏せになれるよう、両手を浮かせて待機していた。

ズズ……

ズズズズ………ズズズズズズ………

母の膝に横付けされてセイラの両脚はゆっくりと、前方にずらされる。

セイラ「………ん…………んん……」

緊張か恐怖か羞恥か、額から汗がキラリと光る。

そんな中ようやく母の膝上までたどり着いたセイラの腰元はバランスを失う。

グラッと一気に体勢を崩すセイラ。

セイラ「………あっ!……」

ギシィィ

木の椅子が軋む音と共に、セイラの視界は絨毯でいっぱいになった。

婚約者とメイドらもその音を聞く。

その場の皆に見守られながら、セイラは母の膝にうつ伏せに乗せられた。

両脚は宙に浮き、腰だけが突き出された、なんとも恥ずかしい格好を見せる。

セイラ「……あぅぅ……」

恥ずかしさ故に顔を両手で隠すセイラ。

母「じゃあ始めるわよ?」

頭上から降ってくる母の言葉に、セイラは顔を隠したまま身をキュッと固めていた。

母「では皆さん。我が家の“結婚の儀式”を執り行います!」

婚約者、メイド達を見回し、母がそう宣言する。

セイラ「ぅうぅぅ!」

張り詰めた空気。

脚がブラブラしたまま受ける宣告。
儀式の実感が一気に襲いかかったセイラは羞恥に顔を赤くした。

好きな人と結婚したいなら受けなくてはならないこの儀式。
セイラは少し恨んでいるようにも見える。

耳まで真っ赤なセイラとこの体勢から、婚約者も薄々これから何を見せられるかを察している模様。

母「我が一族の結婚の儀式。そう、いわゆる………」

少し間が空く。

母「ふぅ」

母が呼吸を整え、息を吸って声を張った

母「いわゆる。“お尻叩き”の儀式!」

セイラ「………ひゃあああ!!!」

顔が更に赤くなるセイラをそっちのけに母は説明を始めた。

母「お尻叩きが我が家の結婚のしきたりとなっている意味。それはお相手に、いかなる時も我が子と寄り添って生きていく覚悟があるかを見定めて頂きます為です」

婚約者「は、はいっ!」

豪華な椅子に対面して座る男が背筋を伸ばし直す。

母「お尻叩き。その光景を見たあとでも、その恥ずかしい格好を認め、我が子の足りない部分や泣いている姿を許容してサポートして頂けるか否か。それを目の前で見て頂きます」

婚約者「はい!!」

1度目よりも力を込めた声を張る。

セイラ「……ゃぁ……そんなこといわないでよぉ………」

宙に浮き、高く上げた自分のお尻を母に捧げるセイラ。

もう涙声だ。

カサカサ………

ゴソ………ゴソゴソ…………

セイラ「!?」

婚約者の元気な返事にニッコリと微笑み返した母がセイラの赤い豪華なスカートをかき分けている。

セイラ「母上!な、なにを!!」

真っ赤な頬から両手が外れ、セイラの顔はキッと母に向けられた。

母「大きな声を出さないで、セイラ」

スカートの端を捕らえた母がゆっくりとスカートを捲り始める。

セイラ「……ぁん!……まっ……待って!…は……母上ぇ…っ!」

布同士が擦れ合う。

その音が静かな広間に満遍なく反響する。

ススス………

スススススス………………

布の量が多いセイラのスカート。
そのスカートがセイラの膝裏を通過する。

セイラ「……きゃぁん…」

足首同士を絡め、生脚に当たる風を感じたセイラが身を強ばらせる。

ススス…………

セイラの太ももが晒された頃には婚約者、周りのメイド達の頬も少し赤らんでいるように見える。

火照った顔をしたセイラが小さな悲鳴を上げる中、セイラが捕らえる空気は無慈悲にもどんどん上へ上へ昇っていく。

スス………

スススス………

そして。

ヒラッ!!!

婚約者「!!!」
メイド達「!!!」

セイラ「………ひゃあぁんっ!」

セイラのショーツが晒された。

皆が見つめるのは、膝の上にうつ伏せる、下着姿のお嬢様。
その綺麗なお尻を丁寧に型どった真っ白のショーツに部屋中の視線が集まった。

ショーツのゴムの縫い目が、ぴっちりお尻にくい込み、セイラの尻肉の柔らかさを物語っている。

セイラの色気漂うショーツ姿を見つめる婚約者の局部は、心做しか、大きく膨らんでいるようにも見えた。

両腰からセイラの大事なところへ集まるラインは、同性のメイド達にとっても艶(なま)めかしく映る。

1人で物事を行える様になってから入浴も着替えも手伝う必要がなくなった故、久々に見る成長したお嬢様のお体は言葉を失う程えっちだった。

セイラは赤いリボンの着いた髪留めをブンブン振り回し、恥ずかしさを存分に表している。

母だけはセイラの下着に取り乱れる事なく、淡々と赤色のスカートをセイラの腰の上で折り畳んでいた。

そして、スカートを畳み終えた母は、次に、視線をセイラのショーツの端へと移す。

スっと、ショーツと肌の間に指が入った。

セイラ「……えぇ!?…はっ!は……母上っ!?!?……」

母の爪を腰裏で捉えたセイラがビクンッと震える。

母は指をセイラのショーツに絡ませ、しっかり握っていた。

そして、セイラのか弱い嘆きも無視して、下向きに力を加えるのだった。

セイラ「……やっ…!……やだよ…母上やだ……母上ぇ……」

ショーツを下げられまいと太もも同士を擦り合わせ、セイラは少しでも無駄な抵抗を始める。

母「セイラ、大人しくしてなさい?」

面前に晒された下着姿だけでなく、最後の砦までも取り払われるセイラ。

すすり泣き始めるセイラだが、下向きに加える母の指は一向に止まらない。

セイラ「……うぅ……ひぅぅ………」

下へ引っ張られるショーツは片方の腰骨からピンッと外れ、ゆっくり、しかし確実に片方の尻肉を晒していく。

セイラ「…あぁん…」

恥ずかしい声で喘いでしまうお嬢様。

その羞恥心とセイラのお尻への注目度は完全に比例していった。

グイッ

グイッ、、グイッ、、…

ピンッ!

セイラ「あんっ!!」

もう片方の腰骨からショーツのゴムが外れた。

ズズ…

ズズズズ……

婚約者「!!!」
メイド達「!!!」

ズルズル……

遂に。

ズルリッ!

引っかかる所の無くなったショーツのゴム紐は滑らかにセイラのお尻を滑り、セイラから離れていく。

セイラ「…きゃぁん!!!」

今日1番の甲高い声が部屋中に響いた。

セイラの固める太ももの抵抗も虚しく、純白のショーツは母のたった数本の指によって、太ももまで下げられていく。

セイラのお尻には今までになく眼力の込められた視線の数が集中。

婚約者「……ゴクッ」

生唾を飲み込むセイラの結婚相手。
口に手を当て、頬をピンクに染めるメイド達。

丸みを帯び、誰もが目を見張るセイラのお尻。

そこには先程まで何とかセイラのお尻を守っていたショーツの跡が肌に美しく残っていた。

両方の腰骨からセイラの大切なところまで走るショーツのラインはセイラのお尻の柔らかさを十分に語っている。

膝にうつ伏せという恥ずかしい格好に加え、母の膝によって高く強調される裸のお尻を、好きな人、そして幼い時から世話してもらったメイド達に見せている。

顔面とは裏腹に、セイラの頭は羞恥心で真っ白だった。

母「セイラ?今からこのお尻を泣くまでぶつわ?痛いだろうけど頑張りなさい?」

婚約者「!?」
メイド達「!?」

セイラ「……えっ!?……は……母上!?……な……な………泣くまで!?!?………」

セイラはすでに涙目の顔で母を見上げる。

母「えぇ、そうよ?さっきも言ったけど、この儀式を行う理由は、セイラの恥ずかしい姿、泣いている姿、かっこ悪い姿を全部認めてくれる相手か見定めるもの。甘いお尻叩きで済ませてはいけないの」

セイラ「……そんな……そんな……」

母の言葉を聞いたセイラの瞳にブワッと水滴が集まる。

母「セイラ?たくさん泣いたらすぐに終わるから。大人しく頑張りなさい」

言っている意味がよく分からない。
母はセイラの金色の髪の毛に触れ、頭部を優しく撫でた。

セイラ「………うぅ……ぅ………」

母上も好きでお尻を叩くわけじゃない。
私が幸せになるための相手を見極めるためにお尻を叩いてくれる。

セイラは猛烈な恥ずかしさの中でも、撫でられた頭に母親の愛をしっかり感じとった。

胸の張り裂けそうなセイラがコクコクと静かに頷く。

なびく金色の長い髪と赤い髪留めが縦に揺れたことを確認した母はセイラの後頭部に笑いかけた。

そして、母の視線はセイラのお尻へ移り、手の甲をセイラのお尻に滑らせる。

セイラ「…ひっ!」

くすぐったさか、恐怖の表れか、小刻みに震えていたセイラの身体がビクンッと大きく動いた。

そしてセイラのお尻に触れていた手の甲が肌から離れ、空中へ運ばれていく。

スッ…

相手「!!」
メイド達「!!」

セイラ「……ぅ……ぐ……」

上空に挙げられるその手にセイラは母の膝をぎゅっと抱きしめている。

頭の高さまで運ばれた手のひら。
それは落下地点の尻肉をよくよく狙っていた。

母「皆さん、セイラのお尻叩きをよく見ていること!よく見て、この子の晴れ姿を一緒に祝いましょう」

メイド達全員が笑顔で頷いた。

母「セイラ、覚悟はいい?」

セイラの腰に置いた手に力を込め、自身の膝に強く押し付ける。

セイラ「……うぅ。……ひゃ……はぃ……」

出したくもないYESに耳まで真っ赤なセイラが歯を食いしばる。

無音の緊張が張りつめる中、母は重力も相まった一発目を、頭の高さから振り下ろした。

バッチィン!!!

婚約者「!?」
メイド達「!?」

セイラ「!?!?!?」

誰もが耳を疑った。
お尻を叩かれた当の本人でさえも驚くほどの破裂音が部屋に響く。

セイラ「……うぅっっ!!!」

静まり返った音の直後に遅れてやって来る重くジーンと痺れる片方のお尻。

セイラの顔が一気に引きつる。

セイラの身体が麻痺し、皆が目を見開く中、母は再び手を宙へ持っていく。

そして…

バッチィン!!!

セイラ「……っ!……あぁ!!!!」

セイラのもう片方の尻肉に母の手のひらが打ち付けられる。

波打つ尻肉。
鼓膜を強く刺激する破裂音。
落下地点に赤赤と残る手形。

セイラの身体は防御本能でカチカチに固まっていた。

スッ

バチィン!!!!

セイラ「…ひゃあぁん!!!!」

スッ

バチィン!!!!

セイラ「…ああぁん!!!!」

一打一打、食いしばる歯が解かれ、セイラは敏感に悲痛な叫びを口にする。

スッ、バチィン!

スッ、バチィン!!

スッ、バチィン!!!

セイラ「ぁん!!!きゃん!!!ひぃい!!」

連続で叩かれたお尻の破裂音と共にセイラの頭がガバッと上昇。

バチンッ!バチンッ!バチィーン!!

セイラ「ひゃあぁん!きゃんっ!あーん!!」

セイラの綺麗な金髪は振り上げられては、だらーっと床へ吸い込まれていく。

バチィン!!!
バチィン!!!!

セイラ「あぁん!!!!あぁん!!!!…」

セイラの勇姿を食い入るように見つめる者、セイラの痛々しい表情や叫びに目を背ける者、婚約者の反応を伺う者、様々な反応を示すメイド達が周りには居た。

目の前で行われているお尻叩きを、結婚相手として認めてもらうための義務、と知った白いスーツの男は頭上からつま先まで、セイラを前のめりに見つめている。

スッ、バチィン!!
スッ、バチィン!!

スッ、バチィン!!!!!

セイラ「きゃっ!!うぅ!!きゃぁん!!!」

そんな周りの視線さえ痛みで意識が向かなくなったセイラはただただ母の膝に抱きつき、赤い髪留めを振り回している。

母「セイラ!脚をバタバタさせないの!もう子供じゃないでしょ!」

セイラ「……っ!!」

自身では足を絡めて身を固めていたとばかり思っていた両脚。
だがセイラは無意識にバタつかせていた。

脚のバタつきを咎められ、子供のように叱られ、カーッと赤くなるセイラ。

バチィン!!
バチィン!!
バチィン!!

セイラ「嗚呼あんっ!!!!!」

セイラの恥ずかしさはすぐに母が痛みへと変えてくれた。

スッ、バチィン!!!

セイラ「…あんっ」

セイラの片足がピョンッと浮く。

スッ、バチィン!!!!

セイラ「…あぁんっ」

咎められるも痛くて我慢できないジタバタは止められず、今度は関節を折ってばたつかせている。

スッ

バチィン!!!!

セイラ「…ひいぃいぁん!!!!」

高い掌で何度も尻をぶたれ泣きじゃくるセイラ。

目の下に位置する絨毯はぐっしょり濡れており、限界まで来たセイラが膝の上で年甲斐もなく大暴れするのは時間の問題だった。

次の一打に備えて、セイラは歯をグッと食いしばる。

……

しかし、中々、母の手は落ちてこない。

セイラ「……?」

涙目で人様に見せられない顔を向けたセイラがは母を見上げると、母はメイドの1人に視線を向け、何かを指示していた。

メイド「はい!分かりました、奥様!」

1人のメイドが足早に部屋の隅にある棚を開ける。

そして1枚の板を取り出した。

それをセイラが認知するのは早かった。

セイラ「…っ!!?……は……母上!!!………そ、それはっ!……それだけは……!!」

セイラの反応が何故そこまで狂気じみているのか、婚約者には分からない。

メイド「奥様、こちらでございます」

母「えぇ、ありがと」

両手で板を渡したメイドは母に一礼し、また円の中に戻っていった。

セイラ「……は……母上ぇ………それ…ゃだ………それだけは……ぐすっ…それだけは……ゃです……うぅ…やめてください……」

最後の方は言葉になっていなかった。

母「痛いのはすぐに終わらせましょうセイラ」

パチッ………

パチッ………

木の板を自らの手のひらにぶつけ、強度を確かめる母上。

そのパチパチという音は、なによりも膝に乗せられたセイラにとって心を乱すものだった。

婚約者「そ、それは?…」

母の持つ木の板の存在を知らないセイラの結婚相手が問いかける。

母「あぁ、ご存知ないかしら?これはね、ふふ?」

母はセイラをチラッと見ると、今度はニッコリと婚約者に向き直り、この板の存在を教えた。

母「パドルって言って、お尻を叩く道具なの。強度は抜群、どんな悪い子もこれを使えば良い子になっちゃう優れものなのよ?」

どこか、魔女のような、悪魔のような、手のひらに打ち付け、パチッパチッと鳴らしながら不敵な笑いで説明する。

その説明にゴクッと唾を飲み込み、威圧に汗を流すのは見てるものとしては当然の事だった。

婚約者「そ…そうなんですね」

それ以上は何も言わない、と咳払いをし、再びセイラの羞恥姿を見つめる。

母「さぁ、次はパドルよ?セイラ」

母はパドルを握り直すと、ペチペチと軽くセイラのお尻に当てる。

セイラ「………うぅ…母上ゃだぁ………」

肌に優しく当てられる冷たさにビクつく。

子供のような甘えた声は母に届かず、母はパドルでセイラのお尻をしばらく撫でた。

母「いくわよ?セイラ」

セイラ「…やだ…」

今まで大人しく言う事を聞いてきたセイラでも、パドルだけは受け付けないよう。
最後の最後まで口で抵抗する。

母「じゃーやめる?結婚」

セイラ「………うっ……」

それを言われたら今まで頑張って耐えてきた恥ずかしさも痛みも水の泡。

セイラは涙目に頬を膨らます。

セイラ「……うぅ………す………する…」

母「頑張ろうね?セイラ」

セイラ「…」

スッ

母はそう言うとパドルを高く持ち上げた。

ヒュンッ!!

ばっっっちぃぃぃいぃん!!!

……

その場にいた皆の時間が止まった。

ピクピクと眉を動かし、全身で痛みを呑み込んでいるセイラ。

遅れてきた鈍い痛みに、痛烈をそのまま叫んだ。

セイラ「……いっッ!!!だぁぁあッ!!!」

手のひらの時は交互に片方ずつ上がっていたジタバタの脚。

しかし、いまのパドルの一打は両脚を勢いよく跳ね上げた。

母「セイラ、この強さでいくわよ?」

冷酷な母の一言。

セイラ「……ムリむり無理むりぃ!!!………母上ぇぇぇえええ!!!!」

セイラのお尻の耐久性は、少し休めてギリギリプラスの値から、たった一発でゼロを余裕で通り越し、いきなりマイナスになっていた。

母「セイラ、ここまで頑張って耐えてとても偉いです。でも、もっともっと、かっこ悪い姿をみてもらいますよ?」

セイラ「……ぃやです母上ぇ!!……もうやめで!!!……おじり!!!…壊れぢゃうぅ!!!!」

セイラはパドルのたった1発で完全に泣き出してしまった。

母「セイラ!!次いくわよ!!」

スッ

セイラ「……やだぁ!!!…やだッ母上っ!!!!」

ヒュンッ

ばっっっちぃぃぃいぃん!!!

セイラ「…ぎゃぁぁぁぁあぁん!!!!」

母「セイラ!!お尻が逃げてます」

痛みに耐えきれず、お尻を振り回すセイラ。

母はセイラの腰に置いた手を一度離した。

そして、腕をセイラの身体に1周回して抱え込み、身動きの取れない、完全に固定されたセイラのお尻を目がけて、強く強くパドルを振るった。

スッ、ヒュンッ!

ばっっっちぃぃぃいぃん!!!

スッ、ヒュンッ

ばっっっちぃぃぃいぃん!!!

セイラ「ぎゃあぁん゛!!!!やだやだ!!!やめで母上ぇぇぇえええ!!!やだぁぁぁああぁあぁ!!!!!!!」

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