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トマス・H・クック(1947.9.19- ) 『夜の記憶 文春文庫』村松潔訳 文藝春秋 2000年5月刊 435ページ  『心の砕ける音 文春文庫』村松潔訳 文藝春秋 2001年9月刊 398ページ  Thomas H. Cook (1947.9.19- ) Instruments of Night (1998)  Places in the Dark (2000)

トマス・H・クック(1947.9.19- )
『夜の記憶 文春文庫』
村松潔訳
文藝春秋 2000年5月刊
435ページ
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167218652
https://www.amazon.co.jp/dp/4167218658

「ミステリー作家が挑む50年前の少女殺害事件の真犯人探し。
自身の暗い過去が甦るなか、戦慄の事実が!
書評子絶賛、クックの最新作」

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784167218652
「ミステリー作家ポールは悲劇の人だった。
少年の頃、事故で両親をなくし、その直後、目の前で姉を惨殺されたのだ。
長じて彼は「恐怖」の描写を生業としたが、ある日、50年前の
少女殺害事件の謎ときを依頼される。それを機に
“身の毛もよだつ”シーンが、ポールを執拗に苛みはじめた―
人間のもっとも暗い部分が美しく描かれる。」

https://www.goodreads.com/book/show/237185.Instruments_of_Night

https://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_H._Cook

https://ja.wikipedia.org/wiki/トマス・H・クック

福岡市総合図書館蔵書
2010年1月6日読了

Thomas H. Cook (1947.9.19- )
Instruments of Night (1998)
https://www.amazon.co.jp/dp/0553578200

1998年に米国で発表された作品。

米原万里(1950.4.29-2006.5.25)
『打ちのめされるようなすごい本』
文藝春秋 2006.10
文春文庫 2009.5
に収録の書評
「打ちのめされるようなすごい小説」
で紹介されていました。

「 友人で小説家のH[姫野カオルコ 1958.8.27- ]
からメールが届いた。
「トマス・H・クック
『夜の記憶』
村松潔訳
文春文庫[2000.5]
をお読みになりましたか?
 アゴタ・クリストフの『悪童日記』以来、
これではもう私が書く意味はない、
と思ったほどすごい本でした」 

いやが上にも、そそられるではないか。
それにHが断筆したら人生の楽しみが減るので、
早速近くの本屋に注文した。
……
軽い気持ちで頁を捲るや、恐怖で身体が強ばり、
読み終えずに寝たら悪夢にうなされそうな気がして
最終頁まで突き進んだ。
……
重層的な構成といい、緻密な細部といい、
たしかにHが感心するだけのことはある。しかし
「もう書く意味はない」ほどの傑作かというと、
いや同じように現在と過去を絶え間なく往復する構造ながら、
もっと打ちのめされるようなすごい小説を、
しかも日本人作家のそれを読んだことがあるような、
それが何だったのか思い出せないもどかしさを抱えたまま、
同じトマス・H・クックの最新作
『心の砕ける音』村松潔訳 文春文庫[2001.9]
を手に取る。
……
物語が佳境にさしかかったところで、
アッと叫びそうになった。
例の日本人作家とその作品を思い出したのだ。そう、
丸谷才一の『笹まくら』(新潮文庫)
[初版は 河出書房新社 1966.7]だった。
36年も前に、最近のミステリーで斬新と讃えられる手法を
自在に駆使して書かれていることに改めて驚き、
早速Hに電話する。
「クックで書く気無くす前に
『笹まくら』で打ちのめされなさい!」
p.85
「打ちのめされるようなすごい小説」

https://note.com/fe1955/n/na2cc469b447d

丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『丸谷才一全集 第二巻』
文藝春秋 2014年4月刊
581ページ
『彼方へ』
『笹まくら』
「年の残り」
「初旅」
「だらだら坂」
https://note.com/fe1955/n/nd0d42009615f

トマス・H・クック
『夜の記憶』の
主人公は、美味しいものを食べるということを楽しめない人間
として描かれています。なぜそんな人間に育ってしまったか。
彼の恐ろしい生い立ちが彼の依頼された五十年前の事件の調査と
並行して語られて、読み始めたら止められず
一日で読み終わってしまいました。

「冷蔵庫をあけてみると、
冷肉やピクルスやオリーブをきっちりラップにくるんで並べた
大きな銀のトレイが入っていた。
ポテトサラダやコールスローの入ったプラスチック容器があり、
マスタードやケチャップやマヨネーズもそろっていた。
下の棚の長方形の容器にパン――
白いパンと全粒粉のパン、黒パンまであった――
が入っていて、ドアポケットには
白ワインのボトルのほか、
ビール、ソーダ、ミネラル・ウォーターがそろっており、
テーブルの枝編み細工のバスケットには
赤ワインが寝かされていた。
なかなか気前のいいもてなしだったが、
グレーヴスは空腹ではなかったし、
アルコールは飲まなかった。」
p.34

「グレーヴスがアパートへ戻ったのは正午近くだった。
彼はハム・サンドを作って、テラスの錬鉄製のテーブルで
それを食べた。なにを食べてもそうなのだが、
ほとんどなんの味もしなかった。
口のなかに食物繊維や肉の軟骨を感じ、
飲み物がそれを洗い流すのを感じたが、あとはただ
どろどろの粥を呑みこむのと変わりなかった。」p.86


トマス・H・クック
『心の砕ける音
 文春文庫』
村松潔訳
文藝春秋 2001年9月刊
398ページ
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167527846
https://www.amazon.co.jp/dp/4167527847

「血とバラの中で死んでいた弟、
その死にとり憑かれた兄。
兄弟の運命をかえた謎の女……。
クックが深く静かに訴えかけるせつない物語」

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784167527846
「ロマンチストの弟は「運命の女」がきっといると信じていた。
リアリストの兄はそんな女がいるはずはないと思っていた。
美しく謎めいた女が兄弟の住む小さな町に現れたとき、ふたりは
たしかに「運命の女」にめぐりあったのだったが…。
クックがミステリを超えて、またひとつ
美しくも悲しい物語を紡ぎだした。」

https://www.goodreads.com/book/show/237187.Places_in_the_Dark

福岡市総合図書館蔵書
2010年1月13日読了

Thomas H. Cook (1947.9.19- )
Places in the Dark (2000)

2000年に米国で発表された、
『夜の記憶』の次の作品、第12作です。

最初に殺人があり、主人公による捜査があり、
最後に謎解きがあって終わるので、
ミステリーといえばミステリーですが、
読んでいる時の感覚は普通の小説、
恋愛小説に近い作品でした。

殺人に至る過程(=過去)と
主人公の現在が混在した状態で
上手に描写されていて、
一気に読み通してしまいました。

「彼女はドライブウェイに立って、
ぼくの車が立ち去るのを見送っていた。
ミラーのなかで、彼女が別れのしるしに
片手を上げるのが見えた。
それがしだいに小さくなって、
小さな光の点になり、やがて消えた。
ぼくの心が骨でできていたとすれば、
それが砕ける音が聞こえたにちがいない。」
p.385

読書メーター
トマス・H・クックの本棚
登録冊数2冊
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091545

ミステリの本棚
登録冊数377冊
著者名五十音順
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091193

https://note.com/fe1955/n/n1ea410eea505

https://note.com/fe1955/n/n139bc0726409

https://note.com/fe1955/n/n92495715a51f

https://note.com/fe1955/n/n91e9e50e2cbf

https://note.com/fe1955/n/nea5848d5ab66

https://note.com/fe1955/n/n69e526b7e1f2

https://note.com/fe1955/n/n76bb25b02f96

https://note.com/fe1955/n/n0204b24b491f

https://note.com/fe1955/n/nae61ba300340

https://note.com/fe1955/n/n4bc95498af2b

https://note.com/fe1955/n/nd8ae282a85ad



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