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ディック・フランシス『横断 (ハヤカワ・ノヴェルズ)』菊池光訳 早川書房 1989.11 コナン・ドイル 『回想のシャーロック・ホームズ 新訳版 (創元推理文庫)』深町眞理子訳 東京創元社 2010.7 小池滋先生(1931.7.15- 2023.4.13) 小野二郎(1929.8.18-1982.4.26)
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Dick Francis (1920.10.31-2010.2.14)
ディック・フランシス『横断 (ハヤカワミステリ文庫)』
菊池光訳 高橋直子解説 辰巳四郎 カバーデザイン
早川書房 1994年10月刊
https://www.amazon.co.jp/dp/4150707278
「名馬、馬主、競馬ファンを満載してカナダ各地の競馬場を巡り、車内ではミステリ劇が演じられるという大陸横断競馬列車。英国ジョッキイ・クラブの保安部員ケルジイは、内偵中の馬主フィルマーを追って、この特別列車に乗り込んだ。恐喝容疑に問われながら巧みに追求を逃がれてきた競馬界の敵フィルマーの狙いは。身分を隠し俳優に扮して邪悪な陰謀に闘いを挑むケルジイ。大いなる危険に向かってサスペンスが鉄路を走る。」
1988年に英国で発表された「競馬シリーズ」第27作。
原題 The Edge
翻訳は、1989年11月にハヤカワ・ノヴェルズ
(単行本、ハードカバー 解説 小池滋)
https://www.amazon.co.jp/dp/4152076720
で刊行され、ハヤカワ・ミステリ文庫に収録されたのは1994年10月。
私は図書館から借りたハードカバーで読みました。
その後、文庫を購入して数回再読。
主人公は英国ジョッキイ・クラブ保安部員、トー・ケルジイ(二十九歳)。
舞台はカナダを東西に横断する「大陸横断ミステリ競馬列車」 p.40 です。
「私は別に競馬に血道をあげるほどのファンではないが、推理小説は大好きなので、ディック・フランシスの作品の愛読者だった。ところが、今度はフランシスがもちろん競馬には関係あるけれども、その上カナダ大陸横断列車を舞台にしたミステリを書いたというので、鉄道がメシより好きな私としては、もうじっとしてはいられない。
…
私が驚き、かつ嬉しくなったのは、カナダの鉄道についても、実によく勉強してあることだ。おそらくプロか大マニアから知恵をかりたのかもしれないが、それにしても、ミステリの大切なポイントにうまく鉄道のディテイルを利用しているあたり、さすがとうならされる。」
小池滋(1931.7.15-2023.4.13)
「カナダ鉄道物語」
『横断
Hayakawa Novels
競馬シリーズ』
早川書房 1989.11
p.409
カナダ行の航空券を上司から渡される場面で、上司が食べているソーセージ・ロールが美味しそう。
グラストンベリーでお茶 英国の食べ物と暮らし
「ソーセージロールとは、ソーセージの中身(豚のひき肉など)が具になった棒状のパイ。なかなかおいしいです。」
http://momoyamaguchi.blog.fc2.com/blog-entry-198.html
ポークパイ
「ポークパイは、他のパイと違って冷たく冷やしてたべます。」
http://ameblo.jp/cookinglish/entry-10453878665.html
「ヴィクトリア駅の隣の小さくてかなりいいスナック・バアで会うことにした。約束の時間十分前に行くと、ミリングトンはすでに褐色の液体の入ったマグを前にして、いくつかのソーセージ・ロールを食べ始めていた。ミリングトンはビールの大ジョッキにどんなパイでもいいという男で……」p.48
「「ヴィクトリアのパブで会おう。スナック・バアではないぞ、パブだ」
騒々しいバアの暗い片隅でのビールとポーク・パイの時間。ミリングトンが好んで行く店だ。
……
長距離の運転の渇きを半パイントの生ビールでいやす
……
ミリングトンがポーク・パイをかじってゆっくりと食べ、そのうちにペイストリイの屑を散らしながら言った
……
私は、お代わりのパイントを飲みながら眉を寄せて考えを集中しているミリングトンをその場に残して店を出た。」p.60
北米大陸横断鉄道食堂車の場面でも、美味しそうな料理がたくさん描写されますから、『横断』は競馬シリーズの中で私が特に好きな一冊です。
「あの良き夜に静かに入って行ってはならない、
老年は一日の終わりに燃え、叫ばなければならない
消えて行く光に怒り怒るのだ」
ハヤカワ・ノヴェルズ p.368
Dylan Thomas reads "Do Not Go Gentle Into That Good Night"
https://www.youtube.com/watch?v=1mRec3VbH3w
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Conan Doyle (1859.5.22-1930.7.7)
コナン・ドイル
『回想のシャーロック・ホームズ
新訳版
創元推理文庫』
深町眞理子訳
小池滋
「解説 ホームズと鉄道 スピードへの関心」
東京創元社 2010年7月刊
2010年11月14日読了
https://www.amazon.co.jp/dp/4488101178
英国『ストランド・マガジン』1892年12月号~1893年12月号に連載され、1893年12月にロンドンで出版された原著の、深町眞理子さんによる新訳。
『シャーロック・ホームズの冒険』に続く、短篇11作を収録した第二作品集です。
毎晩、眠る前に一篇づつ、ゆっくり楽しんで読んでいましたけど、最後の三篇は我慢できなくて一気に読んでしまいました。
四十年以上前に何度も読んだミステリの古典ですが、筋やトリックや謎解きを思い出しながら、面白く読めました。
『英国鉄道物語』晶文社 1980.11
の著者である小池滋さんによる巻末の解説が、ホームズ物語の背景である当時の英国社会の一面を鮮やかに描写していて秀逸です。
ホームズ・ファンはこの解説を読むためだけにでも、今回の新訳を手に取る価値があります。
「ホームズが登場する最初の小説は長篇『緋色の研究』で、1887年12月に発表された。ホームズ物語で最後に発表されたのは短篇「ショスコム・オールド・プレース」で、1927年3月のことである。
この間の四十年というのはイギリスの鉄道の黄金時代と言ってよい。イギリスの鉄道は世界の鉄道の最高水準を誇っていて、鉄道の斜陽化など誰も予想していなかった。現在のイギリス鉄道の実情を知る人なら驚き、そして悲しむような栄光に包まれていた。
というわけで、ホームズ物語の中で鉄道がかなり重要な役割を果たしているのも当然のことだった。
例えば、ホームズとワトスンはイギリスのあちこちに事件調査で呼ばれるが、その時の交通機関は必ず当時としては最速で、もっとも便利な鉄道だった。
そして面白いことに、列車に乗っているところは事件と関係ないのだから、省略してもいいはずなのに、かなり詳しく書かれていることがある。時には、事件とは全く無関係な発言が、はっきり記述されている。
…
ホームズがグレイト・ウェスタン鉄道に乗った時だけ時速のことを口にしたのは、現在の読者には奇妙に思えるかもしれないが、当時の一般読者にとっては別に不自然ではなかったはずだ。ある種のノスタルジアを作者と読者が共有できたわけである。」
p.456 小池滋「解説・ホームズと鉄道 スピードへの関心」
1982年1月8-10日、聖心女子大学図書館に勤務していた頃、
年次休暇を取って、
八王子大学セミナーハウス「都市と文学」に参加しました。
小池滋先生(1931.7.15-2023.4.13)が
事前に読んでくるように指定したテキストは、
『ロンドン ほんの百年前の物語』中公新書 1978
でした。
https://www.amazon.co.jp/dp/4121004957
小池滋先生(八王子・大学セミナーハウス以外の教室では、
講義を聞いたことはありませんけど、三十年以上前に、
二回ほどビールをご一緒して色々教わったことがあります)
は、ホームズの訳者でもあります!
『詳注版シャーロック・ホームズ全集 1』ちくま文庫 1997.4
https://www.amazon.co.jp/dp/4480032711
は、全作品を各事件の推定発生順に編纂したマニアックな代物です。
作品本文よりも注釈の分量の方が多い、シャーロッキアン以外の読者には、「そんなことど~でもい~」と思える些末な論証(?)満載な「全集」なので、私はほとんど歯が立ちませんでした。
八王子大学セミナーハウスでの朝食の食堂で、清水徹先生(1931.3.31- )から、
「小野も、小池も、高校[旧制第一高等学校]の同級生だったんだよ」
と伺いました。
明治大学文学部クラス担任・卒論指導担当だった
恩師・小野二郎(1929.8.18-1982.4.26)
https://ja.wikipedia.org/wiki/小野二郎
による講義を聞くために、
有給休暇をもらって、
八王子大学セミナーハウス「都市と文学」に参加したのでした。
「「ツノ出せ、オノ出せ、オサダ出せ」の晶文社を設立する前の小野二郎さん」
https://www.msz.co.jp/topics/archives/08097.html
https://www.amazon.co.jp/dp/4622080974
https://www.msz.co.jp/topics/archives/08097.html
みすず書房 トピックス(アーカイブ)
小野二郎
『ウィリアム・モリス通信』
《大人の本棚》
川端康雄編
川端康雄さん @acropotamia
https://www.youtube.com/watch?v=iPjv07N6lHM
は、明治大学文学部同級生です。
1976年以来一度も会っていませんが。
https://bookmeter.com/reviews/62572684
読書メーター
小野二郎の本棚(登録冊数19冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091265
アマゾンに書影がない本(5冊)が残念です。
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https://note.com/fe1955/n/na6b78450f7c1
ディック・フランシス
『度胸 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』菊池光訳 早川書房 1976.7
『大穴 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』菊池光訳 早川書房 1976.4
『飛越 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』菊池光訳 早川書房 1976.9
山本一生
「D・フランシスの究極のミステリー」
『書斎の競馬学 』平凡社新書 2008.12
https://note.com/fe1955/n/n704a9c240bcb
Dick Francis (1920.10.31-2010.2.14)
ディック・フランシス
第27作『横断 (ハヤカワ・ノヴェルズ)』
菊池光訳 早川書房 1989.11
Conan Doyle (1859.5.22-1930.7.7)
コナン・ドイル
『回想のシャーロック・ホームズ 新訳版(創元推理文庫)』
深町眞理子訳 東京創元社 2010.7
小池滋先生(1931.7.15- )
小野二郎(1929.8.18-1982.4.26)
https://note.com/fe1955/n/n9559f73b6968
古内一絵『キネマトグラフィカ』東京創元社 2018.4
Dick Francis (1920.10.31-2010.2.14)
ディック・フランシス
第29作『標的(ハヤカワ・ミステリ文庫)』
菊池光訳 早川書房 1996.9
コテージパイとシェパーズパイ
https://note.com/fe1955/n/n367de278ead9
デボラ・クロンビー(1952.6.6- )
『警視の謀略(講談社文庫)』
西田佳子訳
講談社 2020年6月刊 512ページ
https://note.com/fe1955/n/n290446e2d25c
デボラ・クロンビー
『警視の慟哭(講談社文庫)』
西田佳子訳
講談社 2023年3月刊 608ページ
https://note.com/fe1955/n/n12763c05d8f7
Sara Paretsky (1947.6.8- )
サラ・パレツキー
第1作 Indemnity Only (1982)
『サマータイム・ブルース(ハヤカワ・ミステリ文庫)』
山本やよい訳 早川書房 1985.6
『サマータイム・ブルース 〔新版〕(ハヤカワ・ミステリ文庫)』2010.8
第2作 Deadlock (1984)
『レイクサイド・ストーリー (ハヤカワ・ミステリ文庫)』 1986.3
第3作 Killing Orders (1985)
『センチメンタル・シカゴ (ハヤカワ・ミステリ文庫)』 1986.9
https://note.com/fe1955/n/n9a61cd5c63de
Sara Paretsky (1947.6.8- )
サラ・パレツキー
第4作『レディ・ハートブレイク (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
山本やよい訳 早川書房 1988.7
第5作『ダウンタウン・シスター (ハヤカワ・ミステリ文庫)』1989.9
第6作『バーニング・シーズン (ハヤカワ・ミステリ文庫)』1991.4
https://note.com/fe1955/n/nae30aae123d2
Sara Paretsky (1947.6.8- )
サラ・パレツキー
第7作『ガーディアン・エンジェル Hayakawa Novels』
山本やよい訳 早川書房 1992.9
第8作『バースデイ・ブルー Hayakawa Novels』1994.10
短篇集『ヴィク・ストーリーズ(ハヤカワ・ミステリ文庫)』1994.9
第9作『ハード・タイム (ハヤカワ・ノヴェルズ)』 2000.12
https://note.com/fe1955/n/n56d10804550c
Sara Paretsky (1947.6.8- )
サラ・パレツキー
第10作『ビター・メモリー Hayakawa novels』
山本やよい訳 早川書房 2002.12
第11作『ブラック・リスト(ハヤカワ・ノヴェルズ)』2004.9
第12作『ウィンディ・ストリート(ハヤカワ・ノヴェルズ)』2006.6
https://note.com/fe1955/n/nccf46a3e5ca7
Sara Paretsky (1947.6.8- )
サラ・パレツキー
第13作『ミッドナイト・ララバイ(ハヤカワ・ミステリ文庫)』
山本やよい訳 早川書房 2010.9
第14作『ウィンター・ビート(ハヤカワ・ミステリ文庫)』2011.9
第15作『ナイト・ストーム(ハヤカワ・ミステリ文庫)』2012.9
https://note.com/fe1955/n/ne796ea17f2db
Sara Paretsky (1947.6.8- ) サラ・パレツキー
『セプテンバー・ラプソディ(ハヤカワ・ミステリ文庫)』
山本やよい訳 早川書房 2015.1
『カウンター・ポイント』2016.12
『フォールアウト)』2017.12
https://note.com/fe1955/n/n7f4e64e7e5f0
Sara Paretsky (1947.6.8- )
サラ・パレツキー
第19作 Shell Game (2018)
『クロス・ボーダー 上・下(ハヤカワ・ミステリ文庫)』
山本やよい訳 早川書房 2021.9
第20作 Dead Land (2020)
『ペインフル・ピアノ 上・下(ハヤカワ・ミステリ文庫)』2022.11
https://note.com/fe1955/n/n0204b24b491f
S. J. Rozan (1950- )
S.J.ローザン
第1作『チャイナタウン (創元推理文庫)』直良和美訳 東京創元社 1997.11
第2作『ピアノ・ソナタ (創元推理文庫)』1998.12
第3作『新生の街 (創元推理文庫))』2000.4
第4作『どこよりも冷たいところ (創元推理文庫)』2002.6
https://note.com/fe1955/n/nae61ba300340
S. J. Rozan (1950- )
S.J.ローザン
第5作『苦い祝宴(創元推理文庫)』直良和美訳 東京創元社 2004.1
第6作『春を待つ谷間で(創元推理文庫)』2005.9
第7作『天を映す早瀬(創元推理文庫)』2005.8
第8作『冬そして夜(創元推理文庫)』2008.6
短篇集『夜の試写会(創元推理文庫)』2010.4
https://note.com/fe1955/n/n4bc95498af2b
S. J. Rozan (1950- )
S.J.ローザン
第9作『シャンハイ・ムーン(創元推理文庫)』
直良和美訳 東京創元社 2011.9
第10作『この声が届く先(創元推理文庫)』2012.6
『永久に刻まれて リディア&ビル短編集(創元推理文庫)』2013.8
第11作『ゴースト・ヒーロー(創元推理文庫)』2014.7
第12作『南の子供たち(創元推理文庫)』2022.5
https://note.com/fe1955/n/n60bf9583961a
Robert B. Parker (1932.9.17-2010.1.18)
ロバート・B・パーカー
第1作『ゴッドウルフの行方』菊池光訳 早川書房 1984.10
第2作『誘拐』飯島永昭訳 立風書房 1980.10
第2作『誘拐』菊池光訳 早川書房 1989.2
第3作『失投』飯島永昭訳 立風書房 1977.3
第3作『失投』菊池光訳 早川書房 1985.10
https://note.com/fe1955/n/n6ed20bab5a3b
Robert B. Parker (1932.9.17-2010.1.18)
ロバート・B・パーカー
第4作『約束の地』菊池光訳 早川書房 1978.8
第5作『ユダの山羊』菊池光訳 早川書房 1979.9
第6作『レイチェル・ウォレスを捜せ』菊池光訳 早川書房 1981.12
第7作『初秋』菊池光訳 早川書房 1982.9
https://note.com/fe1955/n/na6b78450f7c1
Dick Francis (1920.10.31-2010.2.14)
ディック・フランシス
第2作『度胸 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』菊池光訳 早川書房 1976.7
第4作『大穴 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』菊池光訳 早川書房 1976.4
第5作『飛越 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』菊池光訳 早川書房 1976.9
山本一生「D・フランシスの究極のミステリー」
『書斎の競馬学 』平凡社新書 2008.12
https://note.com/fe1955/n/n704a9c240bcb
Dick Francis (1920.10.31-2010.2.14)
ディック・フランシス
第27作『横断 (ハヤカワ・ノヴェルズ)』
菊池光訳 早川書房 1989.11
Conan Doyle (1859.5.22-1930.7.7)
コナン・ドイル
『回想のシャーロック・ホームズ 新訳版(創元推理文庫)』
深町眞理子訳 東京創元社 2010.7
小池滋先生(1931.7.15- )
小野二郎(1929.8.18-1982.4.26)
https://note.com/fe1955/n/n9559f73b6968
古内一絵『キネマトグラフィカ』東京創元社 2018.4
Dick Francis (1920.10.31-2010.2.14)
ディック・フランシス
第29作『標的(ハヤカワ・ミステリ文庫)』
菊池光訳 早川書房 1996.9
コテージパイとシェパーズパイ
https://note.com/fe1955/n/nd41726da27bb
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『快楽としてのミステリー(ちくま文庫)』 筑摩書房 2012.11
https://note.com/fe1955/n/nf236daad7399
福永武彦・中村真一郎・丸谷才一
『決定版 深夜の散歩 ミステリの愉しみ』講談社 1978.6
https://note.com/fe1955/n/n26e000989c48
福永武彦・中村真一郎・丸谷才一
『深夜の散歩 ミステリの愉しみ(創元推理文庫)』東京創元社 2019.10