心ない言葉
「あなた、FDなの。(* ̄- ̄)ふ~ん。心弱いんだな。」
これは、FDになって半年したくらいに高校の内科検診で言われた言葉だった。
学校の校医の先生にいきなりそんな一言をかけられた私は、唖然とした。
この後、その校医の先生は「あんた、今年高3でしょ。そのままじゃいけないよ。精神強くしなきゃ。」と続けたのである。
今の私なら「またか。」で終わった話だが、当時FDで精神ズタボロ状態であった私はショックが大きかった。
「大変だね。」という言葉ならまだわからなくもないが、普通追い打ちをかけるとは想像できなかったのだ。
その検診の後、授業があったので、なんともないようにしていたが、家に帰り、ドアを開けた途端に泣いてしまった。
つらいという言葉では片づけられない感情だった。
病気になった人は皆、自分なりに頑張っているのだ。
治らなくて不安なのは当人なのだ。
その不安を顏に出さないように、みんなを不安にさせないように笑顔を貼り付けて生活している人だっているのだ。
なぜ、それが分からない。
なんで、ナイフのように鋭い言葉が吐けるんだ。
多分、そんな感情が頭の中をぐるぐる駆け回っていた気がする。
医者でも、誰でも、誰かに心ない言葉をかければ、その人は傷つく。
そんなの小学生だって知っていることだ。
でも、そんなことをどんどん歳を重ねるたびに忘れて、自分がされるまで気づかなくなるのだ。
それを病気の人にしたら、どうなるのかを考えてほしいのだ。
ある人の一言が、その人を自殺に追い込むときだってあるし、その人を殺人犯にしてしまう事だってある。
言葉というのは、その一つ一つに責任が付きまとうのだ。
また、ここで覚えていてほしいのは、病気になっている人・笑顔になれない人は、生活に困っていない人より、何倍も敏感なのだ。
そういった状態に入ってしまって人は、些細な事でも致命傷を負うくらい傷つくのだ。
だからこそ、誰に発言する時も、私達は気を付けないといけないし、この校医の発言は私にとって、そういう世界であってほしいと思う出来事であった。
人によっては、「それくらいの言葉でなぜ傷つくんだ。」、「そんな状態のの精神ではやっていけないぞ。」、「もっと強くなれ。」そう思う人もいると思うし、それについては否定しない。
人は時々歯を食いしばって頑張らなければ、ならない時だってあるし、それがいい経験になる時だってある。
しかし、度を超えた発言は、ただの暴言でしかない。
そして、その発言が誹謗中傷等の言葉かどうか判断するのは、その言葉を受け止めた人物であって、言葉を発した人物ではないのだ。
自分の価値観は、相手の価値観と同じではないし、その価値観を相手に押し付けてはいけないのだ。
私と考えが必ずしも同じ人はいないと思うが、もし、この文章を読んで、少しでも共感してくれる人がいたらいいなと思った。