見出し画像

私だけの時間を生きた私へ


Song log📖✍🏻

2022年。

小さな頃から病むことを繰り返してきた
わたしの心が、人生で初めて
とても穏やかな1年だった。

昔からセンチメンタルな子どもだった。
感受性が強かった。とても。

しあわせな時、私はいつも
泣きそうだった。

今この瞬間、周りにあるもの。
一緒にいる人、天気、匂い、空気、音。
全部残らず忘れたくないのに。
それをひとつも正しく覚えておけないことに
いつも悲しんでいた。

小学3年生の終わりに学校へ行けなくなった。
それから、大人になるまで
様々な病院を転々とし、
心理カウンセリングを受けた。

私はずっと、
「ふつう」になりたかった。

自分はおかしい、と思っていた。
ひとりぼっちだと感じていた。

世の中に馴染めずにこのままでいたら、
いつかひとりぼっちになってしまう、と。
生きてきたうち、ずっと
「ふつうになりたい」と願っていた。

そのことがいちばんつらかった。

どんなに思い悩んでも、
願っても、
私が私の理想とする「ふつう」の人間に
変わることはなかった。

今考えれば、当たり前だ。

私は、わたしの心が感じていることしか
知り得ない。

わたしの中の「ふつう」とは
誰の真似もしていない「本当のわたし」だ。

「ふつうになりたい」は
「私はわたしのままでいい、と思いたい」だった。

冬を歩き、春が吹き、夏が咲き、秋をみた。

悩んで当然のことで悩み、
悲しんで当然のことで泣いた。
楽しみたいことを大いに楽しみ、
たくさんたくさん笑った。
平凡だった。とても。

わたしが過ごした
すべての時間の途中には、いつも
わたしを心配して、気にかけてくれる人がいた。

自分のことで精一杯で、気がつけなかった。

私が手を伸ばせば、
きっとその人たちはいつでも
手を握ってくれたはずだ。

ひとりではなかった。いつだって。
きっとこれからもそうなのだ、とわかった。

初めて学校に行けなくなったあの日から、
性格も気質も変わっていない。
ただ、ひとりじゃないことに気がつけば、
もう何があっても怖くない、と思うことができた。

いつだって
自分を大切にしてくれる人たちを
大事にしよう、と決めた。

わたしを好きでいてくれる誰かが
手を差し出してくれた時、
その手を掴むことができるように。

今まで頑張ってきた過去の私へ。
大丈夫。あなたはそのままで充分、
素敵だよ。

家族と過ごした。
カウンセラーの先生と話をした。
家にいてばかりはよくないから、と
母が色々な習い事やイベントに参加させてくれた。
家から同級生たちが学校へ行くのをみていた。
お菓子を作ったり、紅茶を淹れた。
楽器を弾いた。うたを歌った。
絵を描いた。
日記を書いた。
キャンドルに火を灯した。

そのすべての日々、
私は私だけの時間を生きた。

全部無駄じゃない。
大事で、必要な時間だったよ。

私がわたしとしてこの世に生まれ
たくさんの人と、ものと、
出会い、別れ、
そして生きている。

それだけで、もう十分すぎるほど立派だ。

この先も生きていればまた、
苦しい日も悲しい日もやってくる。

それでもたぶん大丈夫な気がするのだ。

だって

わたしはいつでも思い出す。

この回り道ばかりの人生に散らばる、
大切な人たちとものたち。

そして、私が私だけのために生きた
すべての「時間」のことを。

だから、もう

わたしは大丈夫です。


🎧あおい

なんて言えばいい?
きみの名前を呼ぶたびこころが遠くなる
なんて言えばいい?
夏の木漏れ日になみだが溢れて歩けない

本当はひとつだけ、
言えなかったことがあるの

ぼくらふたり
「ずっといっしょにとおくへゆこう、」
きみがあの日
うたってた、唄 うたいながら

どうしたらいい?
きみの匂いが思い出せなくて足がすくむの
「どうして忘れちゃうんだろう、」
大事なこと、全部覚えていたいのに

本当のさよならは ぼくがもらうよ
だからね、言わなくていいよ

まだまだ、きみに
話したいことがたくさんあるの
きみが、うたってた唄
「会いたくなったら、会いにくればいい」

風が吹いて
そっと立ち止まって、振り向くとき
いつものきみが、笑って待っている。

ほらね、
「ぜんぶ、大丈夫だったでしょう」


All Music & Words ayame
Filmed & Edited ayame