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樹森大介徹底研究。水戸時代の戦術は?アルビではどうする?

アルビレックス新潟の新監督に樹森大介さんが就任しました。樹森監督は、長く水戸ユースでの監督を務めており、J2かJ3での監督経験もJ1でのコーチ経験もない、超異例の抜擢になりました。そのため、情報も少ない!昨シーズンの水戸の試合と就任会見などから、樹森監督がアルビでどうするのか、考察していきます。


経歴

まずは経歴から。選手としても指導者としてもJ1経験は全くありませんが、監督はあまり経験・経歴は関係ないかなと思っています。

選手経歴

前橋商業高校
専修大学
2000-2002 湘南ベルマーレ
2003-2004 水戸ホーリーホック
2005 ザスパ草津
2006-2008 tonan前橋
J2リーグ通算:147試合出場7得点、天皇杯通算:12試合出場2得点

https://www.mito-hollyhock.net/team/staff/d-kimori/

指導者経歴

2006-2008 前橋商業高校サッカー部 コーチ(図南サッカークラブフィオーレ コーチ と兼任)
2008-2011 FCコルージャ コーチ
2012-2022 水戸ホーリーホックユース 監督(2015/7-2016/1 水戸ホーリーホック コーチ と兼任)
2023-2024 水戸ホーリーホック コーチ

https://www.mito-hollyhock.net/team/staff/d-kimori/

樹森監督のスタイル、戦術は?

水戸では?

昨シーズンの水戸の以下の試合を観てみました。1シーズン通して時期に偏りが出ないように無作為に選びました。括弧内は監督です。

1節 いわき 1-0 ○ (濱崎)
12節 藤枝 2-3 ● (濱崎)
23節 藤枝 1-3 ● (森)
34節 清水 2-2 △ (森)
38節 甲府 1-3 ● (森)

樹森コーチは主に攻撃を担当していたとのことなので攻撃に注目してみてましたが、やはり攻撃と守備は不可分なので、攻撃だけ抜き出して考えることはできません。
まず、水戸の基本的なスタイルとしては、高い位置からのプレスで、これは監督が変わっても不変でした。そのため、そもそも自陣からの運びの機会自体が少ない傾向にありました。昨シーズンの水戸がやろうとしていたことはおそらくこんな感じだと思います。

高い位置からのプレス → 敵陣で奪う → 速攻(いわゆるショートカウンター) or 速攻できなければ遅攻(敵陣で奪っているので自陣からの運びはそもそも起こらない)

とはいっても、当然、自陣からの運びの機会も皆無というわけではありません。これを踏まえて、攻撃をみていきたいと思います。

まず、自陣からの運び(ビルドアップ)の局面では、基本的には、ボールを前方に運ぶことが優先度として高い印象でした。プレスをかけられて追い込まれるような状況にしたくない、相手に下げさせられるより先に自分たちから多少確実とはいえなくても前へのプレーを繰り出す、というような意図があるような感じがしました。

運びに成功してからの攻め(チャンスクリエイト)の局面では、2-3-4-1か3-4-2-1のような形をつくります。基本布陣が4バックの場合はSBが、3バックの場合はWBが、「4」の両ワイドを担当していました。そのように、左右のワイドに必ず1人ずつ配置して幅をとっていました。ワイドでボールをもったときには、必ずそのやや内側でボールをに関われる人を用意していました。いわゆる5レーン的なやり方です。

樹森監督自身は?

ただ、以上のような水戸でみられたものは、選手の能力・適正やその他の環境と、何より濱崎・森監督の指揮下でのものであり、樹森監督自身が目指すものとは違いがありそうです。

樹森監督は就任会見で以下のように話しています。

「アルベル監督が来て、以前の強力なブラジル人を生かしたリアクション主体のスタイルから一気に変わった。そこに興味を持ち、S級ライセンスの研修先にアルビを選んだ。」
「育成年代を指導していたときには、アルビの試合をかなり見ていた。」
「アルビのスタイルは自分に合っている。だからオファーを受けた。」
「うまさで相手を外すプレー、創造性のあるパス、ドリブルなどは好き。」

https://www.youtube.com/watch?v=oGtB9SO-37I

「アルビのスタイルを継続したい。今までの育成年代の指導でも、そのようなスタイルをやってきた。ただ、2年間の水戸のトップチームコーチのときには、相手に合わせた戦い方も加えた。」

https://www.youtube.com/watch?v=oGtB9SO-37I

アルビではどうなる!?

樹森監督でどうなるかを考察してみました。樹森監督は、就任会見で、かなり具体的にアルビの課題・改善点を話していました。筆者が昨シーズンのアルビを見て思っていたこととけっこう同じで、かなり共感しました。

①ビルドアップの局面で、相手によって立ち位置を変える

「相手を見て立ち位置を変えるようなことができれば、より安全にプレーできると思う。」
「入り口(ビルドアップ)の部分は分析されてきていたが、そこを修正したい。」

https://www.youtube.com/watch?v=oGtB9SO-37I

あまり相手によってやり方を変えなかった松橋アルビでしたが、樹森監督はやはりそこを課題に感じていたようです。

②チャンスクリエイトの局面で、アタッキングサードに早く到達する

「バイタルへつけるタイミングを少し早くしたい。」
「外した後のアクションをよくしたい。」

https://www.youtube.com/watch?v=oGtB9SO-37I

後方からパスを繋いでせっかく相手を置き去りにできたのに、そこからさらに前方に到達できずにミドルサードで止まってしまう。昨シーズンのアルビはこんな場面が多かったと思います。樹森監督の「外した後」というのも、たぶんその辺のことを言いたいんじゃないかと思います。特に、左側でプレスを外して右側に持って行ったとき(逆も同じ)、SBとSHが2人ともワイドに広がっていて、攻めにくくなっていたので改善してほしいです。

③ネガティブトランジションの改善

「強度は課題であると感じた。球際、寄せ、ボールを奪う部分などは強化しなければいけない。」
「攻守の切り替えを早くしたい。」

https://www.youtube.com/watch?v=oGtB9SO-37I

樹森監督が「強度」と言ったのはトランジションの話というわけではなかったですが、たぶんその辺のことも含んでいるんじゃないかと思います。特に、相手を押し込んで、そこから奪われたときには改善の余地があると思います。特に前線の選手は交わされそうだったらファールで止めるプレーをもっと増やし、全体として簡単に後退しないようにしてほしいです。また、SBを内側に位置させるなどして、奪われたとき中央で守備できる人数を増やしてほしいです。

樹森監督がやろうとすることを予想

  • 基本的なスタイルは継続。ショートパス中心のビルドアップ+人数をかけて人とボールが動くチャンスクリエイト

  • ビルドアップでは、バックの人数を相手FW+1人になるよう、可変フォーメーションを使う

  • バックパスの頻度は減らす。特にディフェンシブサードにまで下げさせられる機会を減らす。そうなる前に、ボールロストをある程度許容していいので前方へのプレーを選択する

  • プレスを外して相手を置き去りにした後、ボールロストをある程度許容していいのでアタッキングサードへ攻め込むチャレンジを早くする

  • ネガティブトランジションで、カウンターや前進をされたりすることを減らすため、全体のフォーメーションやポジショニングについて何らかの修正をする

めちゃくちゃ期待してます

先述しましたが、特に就任会見でのアルビの課題・改善点が、筆者の意見と近しくてかなり共感しました!筆者はそこで一気に期待が大きくなりました!!戦術面の話ばかり書きましたが、監督の仕事はピープルマネジメントもとても大切です。分からないので書きませんでしたが。パーソナリティは、人との関係性やつながりを重視する人、嘘がなく飾ったりしない人という印象です☺️新潟人にも好かれそう。個人的には、実績があっていろんなとこでの監督経験があるよりも、新しい監督の方がワクワクします。樹森アルビ、楽しみです!!


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