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昇格するために、しぶとく勝つ。勝って3ポイントを積み上げていく#FC今治でプレーする 二見宏志

センターバック、サイドバックで頼もしくプレーし、チームを支えるDF二見宏志選手。その豊富な経験から、激動の夏を冷静に見つめ、FC今治が目標を達成するためのポイントを指摘します。「今治、ええ街やなあ」の思いを胸に、力を尽くすことを約束する二見選手。すべては、昇格するために!

この夏、2選手が移籍し、4選手が加入、そして監督交代と、チームには大きな変化がありました。

プロのサッカー界では起こり得ることです。決して成績が悪いわけではないにもかかわらず、監督が交代したことに驚いた方もいらっしゃるでしょう。

ですが、僕は似たような経験をこれまでにしていますし、こういう状況だからこそ、自分がやるべきことをしっかりやる。これが大事です。直さん(工藤直人監督)の求めることを理解して、しっかりプレーする。選手全員、それが問われています。

工藤監督の初陣となった第22節のFC岐阜戦で3バックの一角として先発し、9試合ぶりの出場となりました。

それまで8戦負けなしでしたが、久しぶりに試合に出てみて、決してすべてがうまく回っているわけではないと感じました。実際、岐阜戦は負けてしまったし(●1-2)。

監督が交代しても、サッカーそのものは大きく変わっていません。ですが、理己さん(髙木理己前監督、現長野パルセイロ監督)と直さんとでは、当然、やり方に違いもあります。岐阜戦では、まだ歯車がカチッとかみ合っていなかったように思います。

たとえば守備でいうと、“そこは強く行かないと!”という場面で行けなかったり、逆に“深追いしなくていい”というところで行きすぎたり。ちょっと、かみ合わないところがありました。

岐阜戦は前半のうちに2失点し、難しくなりました。先制された後の飲水タイムで、加入したばかりの阪野豊史選手と密にコミュニケーションを取っていましたね。

今治に来たばかりで知っている選手もいなくて、ガツッと言えるのが僕くらいだったからだと思います(笑)。トヨくんは二十歳くらいのときからよく知っているので。

あのとき言われたのは、「みんなのポジションが下がりすぎて後ろが重くなっているから、小まめに最終ラインを上げた方がいい」ということでした。

トヨくんはベンチスタートで、前半はピッチの横でウォーミングアップしながら試合を見ていました。ピッチの外からだから、フラットに見えていて、とても参考になりました。

二見選手もプレーしながら“重さ”を感じていましたか?

せっかくボールを取っても、なかなかつながらなかったですね。そこまで急がず、近くでフリーの味方に一つパスをつないでいい場面でも、一発のカウンターを狙ってしまう。それで相手ボールになって、また攻められる。

そうなると、なかなか最終ラインは上げられません。パスがつながらないから相手に攻められ続けて、みんな疲弊してしまいますし。

理己さんのサッカーは、縦に速く攻めるのが特徴でした。岐阜戦は、まだその名残がありました。もっとパスをつないで、相手を揺さぶっていいいと思います。

そこは岐阜戦で感じたところですね。“もっとパスをつなごうよ”というのは。ボールを奪ったら、シンプルにいい状態の味方を使ってパスをつなぐ。GKにバックパスして、逆サイドに展開してもらってもいいわけです。

ボールを失いすぎだということは、ミーティングで直さんにも言われました。ひとりひとりが、ほんの少し冷静になるだけで変わるはずです。難しいことではないし、すぐにでも改善していきたいですね。

今シーズン、なかなか試合に絡めない時期もありました。どのように向き合い、取り組んでいましたか?

いつにも増して筋トレしていました。コンディションを整える。それだけでしたね。試合に絡まない分、自分を追い込んでもいいですから。これほど長い期間、試合に出られず、メンバーにも入らなかったのは本当に久しぶりで、自分に何が足りないのかを見直す期間でした。

プロ11年目の二見選手は、ベガルタ仙台、清水エスパルス、V・ファーレン長崎を経て、今シーズン、FC今治に加入しました。今治との縁は、どのように生まれたのですか?

以前、長崎でGMだった竹元(義幸)GMが今治にいたからです。長崎まで会いに来てくれたり、ちょこちょこジャブのように連絡をくれていて、正式にオファーをいただいたときには「今治の昇格のために、フタらしくやってほしい」と言われました。

これまでJ1、J2でキャリアを重ねてきた二見選手にとって、J3でのプレーは初めてのことです。

J3であることは、まったく気になりませんでした。カテゴリーどうこうではないです。僕が今治に来ることを決めたのは、楽しく、やりがいのあるシーズンを送れそうだと感じたから。何より、求められているチームに行くことは、選手としては一番ではないでしょうか。

それに、僕は今治の街が好きなんですよ。この街の雰囲気が。来てすぐに、奥さんに『ここ、ええなあ』と言いました。

僕は奈良出身ですが、奈良ってめっちゃ田舎なんです。今治には、どこか似たフィーリングを感じます。

いやいや、奈良は田舎ではないでしょう。

そうでもないです。何が似ているかというと、奈良も今治も街が混雑していない。それがいいんです。並ぶことがなくて、暮らしやすい。

今治の街に出かけると、いろいろな方に「がんばって」と声を掛けていただきます。おじいちゃんやおばあちゃんにも応援していただいて、そんなのがんばらないわけにいかないじゃないですか。今治、ええ街やなあと思います。

混戦のJ2昇格争いを勝ち抜くために、何が必要だと感じますか?

悪いなりに、しぶとく勝つことです。長いシーズンですから、自分たちの思い通りにいかない試合も必ずある。でも昇格するためには、そういう試合をしっかり物にしていかないと。

相手からすれば、『これだけいい試合をしたのに、何で今治に負けたんだ?』という試合ですね。それを今シーズンここまで、あまり経験していないと感じます。運任せというわけではなくて、しぶとく勝つんです。

もちろん内容の濃い、いい試合をして勝ちたいですよ。でもサッカーは相手があることだし、決して甘くない。自分たちの思い通りにならないことも多々あります。

それでも勝つ。勝って3ポイントを積み上げる。昇格するために割り切ることも大事だし、そこがまだ今治には足りないかな。

“昇格のために残り全勝します”とか、大きなことは言えないです。先を見すぎて足下がおろそかになっては絶対にダメだし。目の前の勝点3をしっかり取りに行く。そのために全力を尽くします。

取材・構成/大中祐二

以下の動画は、二見選手がラジオ番組「FC今治のカナイがイカナイト」に出演した際の放送アーカイブです。ぜひご視聴ください。