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ポジティブにゴールと勝利を目指す #FC今治でプレーする アンジェロッティ

途中出場した第8節のAC長野パルセイロ戦では、CKのチャンスに左足からすばらしいボールを蹴り込んで2アシスト。特に試合終了間際、GK伊藤元太選手に合わせた場面では、スタジアムは歓喜に盛り上がりました。J1、J2でのプレーも豊富なアンジェロッティ選手は、チームの勝利に結びつけるために、すべてを捧げてプレーします。


▼プロフィール
ANGELOTTI
1998年4月27日生まれ、ブラジル出身。181㎝、79㎏。利き足は左。FW。背番号29。
レッドブル ブラジル(ブラジル)→FCリーフェリング(オーストリア)→レッドブル ブラジル(ブラジル)→イトゥアーノFC(ブラジル)→レッドブル ブラガンチーノ(ブラジル)→柏レイソル→大宮アルディージャ→柏レイソル→FC今治

■クラブが日ごとに街に浸透しているのを感じる

今シーズンのチームが始動した後の1月19日に、柏レイソルから完全移籍での加入が発表されました。FC今治のオファーがあったタイミング、シチュエーションは、どのようなものでしたか?

柏レイソルとの契約が満了となり、ちょうどフリーな状態でした。他にもブラジルや韓国、中国のチームからオファーがありましたが、今治を選んだのは自分が長く日本でプレーしてきて、どういう環境かよく知っていたからです。

婚約者が妊娠していて、まもなく出産するというのも大きな理由でした。彼女も日本での生活が長く、こどもを育てるためにも日本でプレーし続けることがいいと話し合って、今治に移籍することを決めました。

プレーするカテゴリーがJ3になることは、どのように捉えましたか?

まったく問題はありませんでした。日本のサッカーシーンでは、選手は本当にリスペクトされています。J3でも、それは変わりません。僕たち選手は、プライドとともにプレーすることができるんです。

FC今治の明確なビジョンも、とても説得力がありました。J2を目指してJ3でプレーする方が、J3に降格しないためにJ2でプレーするよりも、ポジティブにサッカーができる。それが自分の考えです。だから今、FC今治でとてもポジティブにプレーすることができています。

FC今治からのオファーはとてもポジティブなものでしたし、クラブの設備、アシックス里山スタジアム、選手のクオリティを見れば、決断に迷いはありませんでした。

昨シーズン、柏から期限付き移籍していた大宮では、厳しい残留争いの日々でした。

とても難しいシーズンでした。最終的には残留することができませんでしたし。サッカーでは個人のクオリティが求められます。ですが、個人競技ではないので、チームとしてのクオリティも重要です。たとえクリスティアーノ・ロナウドやメッシがいても、最後はチームで決まる。

昨シーズン、自分にできることは100パーセントやりました。しかし、残念ながらJ2残留を果たせませんでした。チームが真の意味で強くなければ、結果を出すことはできないのです。

FC今治はJ2、そしてJ1を目指して着実に成長しているクラブです。実際に一員となって、どう感じますか?

クラブのビジョン、目標は明確です。実行に移し、それを実現するポテンシャルもパワーもある。スタジアムや施設の充実ぶりを見れば、明らかです。

この街に来てみて、FC今治というクラブの名前、エンブレムが日に日に浸透して、アイデンティティがどんどん確立され、さらに認められる存在に成長していることを感じます。それは、1日でできるものではありません。日々の積み重ねでここまで来ているし、だからこそ今シーズン、J2に昇格したい。さらにJ1へとステップアップしていきたい。そういう思いも強まります。

■改善していることを結果として届けなければならない

アンジェロッティ選手がどういう特徴を持ったプレーヤーであるのか、その一端を示したのが第8節のAC長野パルセイロ戦(△3-3)でした。交代出場すると、CKから2アシストを決めて、引き分けに大きく貢献しました。しかも2アシスト目は試合終了間際、GK伊藤元太選手に合わせたもので、いっそう劇的でしたね。

試合の内容としては、必ずしも良いものではありませんでした。チームが苦しむ中でピッチに入って、自分の持ち味であるセットプレーのキックから2アシストできたことは本当に良かったです。

どちらも右CKで、左利きの自分からすればインスイングのキックでしたが、GKがキャッチできないコースに強くて速いボールを蹴ることを意識しました。カウンターを受けないためにも、CKのときは極力、そういうボールを心掛けています。インスイングであっても、GKが出てこられないポイントにボールを蹴る自信もありますし。

もちろん、あの2アシストで満足することなどありません。ピッチに立てば、チームのためにすべてを尽くして、自分がどのような選手であるのかをFC今治のサポーターのみなさんに証明し続けます。

FC今治の強み、特徴はどこにあると感じていますか?

プレシーズンから開幕にかけて、特によく表現できていましたが、FC今治は戦うチームです。1人1人がチームのために走って、戦っている。それプラス、足もとでもしっかりサッカーをしていくことが、昇格争いを勝ち抜くポイントだと個人的には思っています。コンビネーションや3人目の動き、トライアングルでのパス回しが良くなることでシュートチャンスが増え、得点につながっていくはずです。

昨シーズン、プレーした大宮アルディージャとの試合は、アンジェロッティ選手にとって特別な一戦でもあったと思います(第11節●1-4)。

もちろん去年、所属した大宮に愛着はあります。ですが今、僕は今治にいて、チームの勝利と目標達成のためにすべてを捧げています。だから大宮に4失点して負けてしまったことを、とても重く受け止めているんです。チームとして課題をしっかり改善して、10月にアウェイで対戦するときは、ホームで失ったポイントをきっちり取り返さなければなりません

大宮との4月の対戦では、後半、トラ選手(近藤高虎選手)が1点を返して1-2とした後、同点に追いつけそうな時間帯、流れもありました。しかし、自分たちは大宮に比べて競争心が足りず、失点を重ねてしまった。

この試合に限らないことですが、思うような結果を得られなかったといって、ただ落胆するのではなく、そこからしっかり学ぶことが重要です。少しでも良い戦いができるように改善して、今治のファン、サポーターに結果として届けなければなりません。

■アシさとは僕たちの力の源

5月は未勝利に終わり、チームは難しい時期を戦っています。どのような改善点がありますか?

個人的には、攻撃のクオリティを上げないといけないと感じています。相手陣地でボールを持つ時間を、もっともっと長くする。それが今、最も大事ではないでしょうか。そうすれば自ずとシュート数も増えるし、クロスやセットプレーからのチャンスも増えるはずです。

そして僕自身、FWですから、得点につながるようなチャンスをもっと作らないといけないし、絡んでいかないといけない。その意味でも、足もとにボールがあってサッカーをすることが重要です。

チームのチャンスメークと密接な関係がありますが、アンジェロッティ選手自身、なかなかシュートを打てない難しさを感じていると思います。

より多くの味方が関わりながら攻めていきたいですね。これは僕だけではなく、チームのアタッカーみんなが感じていることだと思います。自分自身は、まだ今治で10本もシュートを打てていないのではないかと思います。ゴールを決めるためには、シュートを打たなければならない。日々のトレーニングから課題にしっかり取り組み、チームの攻撃のクオリティアップに貢献したいです。

今治で暮らしながらサッカーをするようになって、半年が経とうとしています。どのような時間を過ごしていますか?

毎日の生活に、とても満足しています。美しい海がすぐ近くにあって、街も人が多すぎず、落ち着いています。婚約者が妊娠しているので、このような環境で生活できていることが本当にうれしい。子育ては、もう始まっていますからね。出産予定は7月なんです。男の子で、名前ももう決めています。早く息子に捧げるゴールを挙げたいです。

シーズンは中盤戦に突入しました。チームは目標であるJ3優勝とJ2昇格に向かって、ここから巻き返していかなければなりません。

自分たちに、努力が欠けているとは思いません。毎日のトレーニングから、1人1人ができることを全力でやっています。だからこそ、ファン、サポーターのみなさんには、ここから改善していくところに期待していただきたいんです。FC今治はもっと攻撃的に、もっとゴールを奪って勝利するために取り組んでいるので、引き続きのサポートを心から願っています。

ホームでもアウェイでも、すばらしい応援をしていただきながら、十分な結果を届けられず、本当に申し訳なく思っています。優勝するチームは、ホームでは絶対に負けません。ホームは力の源です。アシックス里山スタジアムでは、絶対に勝点3を積み上げる覚悟です。そして、アウェイでは相手からポイントを奪っていく。そういう戦いをしながら、目標達成に向かっていきます。

あとは、伊藤元太選手からアシストしてもらわないといけないですね。

ゲンタだけじゃないです(笑)。みんなにアシストしてもらって、しっかりゴールを奪って、FC今治の勝利に貢献します!

取材・構成/大中祐二