心豊かになる交流拠点に【後編】岡田武史 #里山スタジアム誕生へ
当社代表取締役会長の岡田武史に里山スタジアムにかける思いを聞きました(全3回)。後編の今回は、「里山スタジアム」ができることで今治市民のマインドの変化や、今治市民のみなさんと作り上げていく里山スタジアムについて話してもらいました。
Q:「里山スタジアム」ができることで、今治市民のマインドは変わると思いますか?
僕が来た当初とは違って、さらに大きく変わっていく
市民のみなさんのマインドは変わっていくと思います。昨日もある会社の社長に会いに行ってきたんですが、まあ当初はそれほどポジティブではなかった人ですよ(笑)。その人が「この今治のためだったら、里山スタジアムをサポートします」と言ってくれて。もうそんな発言していただけるなんてびっくりしましたよ。
ほかにも、私が今治に来た当初は「そんな夢みたいなこと今治では無理なんだよ」とか「どうせすぐ帰るんだろう」と言っておられた方々が、だんだんとのめり込んでくれているんです。だから、市民のみなさんのマインドは「里山スタジアム」ができることで、さらに大きく変わっていくと思っていますよ。
FC今治に尽力してくださった方々が日の目を見る場を作りたい
僕は以前、今治市内の唐子台に広い一戸建てを借りていたんですよ。そこは「岡田ハウス」と呼ばれていたんですけれど。で、監督やコーチも一緒にシェアハウスをしながら住んでいたんです。あの頃は社員が8人ぐらいだったかな? 僕が料理を作ってみんなで食べたりしてね(笑)。それで、夜な夜な「どんな会社にするんだ!?」って壁にビニールを貼ってそこにみんなで将来の会社像を書いたりしていて。まるで学生時代みたいでね、すごく楽しかったんですよ。だから、あの頃の「みんなの思い」というのが、だんだんと市民のみなさんに受け入れていただけるような形になっていったんだと思いますね。
あの頃、僕は周りの人たちからホラに近いと思われるような夢を語っていたんだけど、それが少しずつ実現してきたことで、みんなが変わりはじめてくれたんじゃないかなと思っているんです。そうじゃないと、こんなにお金集まらないですよ。考えられないですよ、だって新スタジアムの建設費に40億ですよ? 最初に今治へ来て、立ち上げたときには2億の予算を集めるのでさえ死に物狂いだったのに、今度はそれが40億(笑)。ホントに集められるのかなと言いながら実現できましたからね。ありがたい限りです。
みなさんのおかげで形が見えてきた「里山スタジアム」ですが、着工が2021年11月で、今のところ竣工は2023年1月を目指しています。竣工してからは、何かしら今治のファンのみなさんに向けてお披露目イベントのようなものができたらなと思っています。シーズン前に無事竣工を迎えられれば、たとえば親善試合のようなものができたらいいですし。出資してくださった方々、またはこのFC今治のために尽力してくださった人たちに日の目を見てもらえる場は作りたいなと思っています。
Q:竣工前から今治市民が「里山スタジアム」に関われることは、何かあるのでしょうか?
一緒になって「里山スタジアム」を作ってくれる人を大募集中!
僕は、建築という「建てること」に参加したいと思う人は、おそらくいると思うんです。そういう人たちに向けて、たとえば寄付や売り出す予定の里山プレートなどを購入いただくこともひとつです。
ここを維持していくというのはかなりのコストがかかるんですよ。芝の管理や木々の維持はもちろん、スタジアム周囲の土手のところは畑にする予定なのですが、それを耕していったりね。だからたとえばみんながここへ集ってきて、そういうことを一緒に行ってもらえる団体を作ってもいいんじゃないかなと思っているんです。
ちなみに僕はね、スタジアムの土手のところにぶどうを植えようと思っているんです。すごく傾斜の急なところなんですけれどね。それで、ゆくゆくはワインを作りたいんですよ。Iターンの若者がやっている大三島の醸造所のところに持って行って、醸造してもらってね。ほかには、下草を生えなくするようにヤギを飼ったらいいんじゃないかと言っているんですよ、スタッフからは却下されてるんだけど(笑)。でもヤギを飼ったら、子供たちがそこに集まってきて、エサやりができたら楽しいでしょう?
そういう意味では、一緒になって「里山スタジアム」を作ってくれる人は大募集中なんですよ。里山エリアは、自分たちで作るところもいくつか考えているんです。もちろん業者に頼んで建ててもらうところもあるんですが、石積みなんかはみんなで積んで、石積みの段々をバックスタンドの外に作ろうか、なんて話も出ているんですよ。そういうのを一緒になって作っていくことに参加してもらえたら嬉しいなと思っているんです。
今は基本設計が終わって実施設計をしている段階なので、「自主的に作るものがどこか」というのは、これからちゃんとした形で出てくると思うんです。それが出てきた段階で、公募という形で募集して一緒に作れたらなと思っています。みなさんのご参加、どうぞよろしくお願いします。
Q:最後に、今治市民の方に向けてメッセージをお願いします。
「ここを心の拠り所に今治を変えていこう!」と思ってくれたら嬉しい
本当に今治の方々の心の拠り所になるような場を「里山スタジアム」で作りたいと思っているんです。それは当然我々の仕事ではあるんだけれど、一番大切なことはみなさんが「諦めないこと」だと思っているんですよ。僕が今治に来た当初は「だから今治では無理なんだって」「今治にスタジアムを作るなんてありえない」と散々言われたんだけど、でも建ったんですよ、現実に。「今治にサッカー観に来る人なんておらんわい」と言われましたが、柿落としでは5,000席が満員御礼になったんです。だから、諦めないことが一番大切なんですよ。みんなが可能性を持って、夢を持ってもらえる。そういう場を作りたいと思っています。
よくたとえ話で話すのですが、熱海を変えたひとりの男がいるんですよ。この人は何をしたかというと、廃れた熱海の旅館のオーナーを全員バスに乗せて熱海ツアーをしたんです。それで熱海の良いところを巡ってみたところ、みんなが「え!? 熱海ってこんな素晴らしい場所だったんだ!」と自信と誇りを取り戻したんです。それで熱海が復活しはじめたそうなんですよ。だから、やっぱり一番大切なことは諦めないメンタルを持つことなんです。「今治では無理なんだよ」じゃなくて、一緒になって「ここを心の拠り所として、今治を変えていこう!」となっていってくれたら嬉しいですね。
取材・文/村上亜耶
前編、中編はこちらからご覧になれます。
里山スタジアムに関する想いを綴ったマガジンはこちら