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縁・情けなさ・夢|遠藤慎之介

DF #13 遠藤慎之介
東京学芸大学附属高校出身

Mr.ア式蹴球部と言って差し支えないほど、チームを体現する誠実さ、ひたむきさ。誰よりもチームを愛し、愛された男。

遠藤慎之介の最後のメッセージ。

 先日、2年の初めに部を去った見城と高校に行きました。久々の恩師は少し歳を重ねていて心配になりましたが、恩師の顔を見てグラウンドに立つとここ7年のサッカー生活を鮮明に思い出すことができました。

 僕は決してサッカーが大好きな人間じゃありませんでした。中学時代オランダというサッカー大国にいながらもそこまで努力をするわけでもなく、結果上達もしませんでした。

 高校でサッカーをするつもりはありませんでした。たまたまご縁があって学芸大附属に入ることになりましたが、進学先が早大学院でも市川高校でもサッカーはやらなかったと思います。

 そして別に高校に入ってからもサッカー部とは決めていませんでした。たまたま顧問に煽られて入部し、たまたま顧問が僕のことを評価してチャンスをくれていたから、体育の先生が走り方を教えてくれたり、キャプテンや後輩が朝練に付き合ってくれたから気持ちを切らさず続けられました。

 大学でサッカーをやるという選択肢が浮かんだのも3個上の高校及びア式の先輩である下地君、いつきくん、ちょもくんとのご縁があったからでした。むしろサッカーとは高校でおさらばだと思っていたんですけどね。その3人が高校の練習に来てくれたのも部停というア式にとっては悪い出来事があったからで、すごい偶然だと今考えても思います。

 ア式に入る決心をしたのは高3の時に東大vs一橋のリーグ戦を見たからでした。ア式は負けましたが、みんながア式のことを愛しているのが伝わってきて、見ているだけでドキドキしたのを覚えています。でも今思うと東大戦との試合だったから、そして集中応援日だったからあそこまで盛り上がっていたのかも・・・?これも偶然だったのかもしれません。

 ア式でも同期、先輩、後輩に本当に恵まれました。ずっと試合に出れなく、挙げ句の果てにアキレス腱を切る。幾度となく普通の人なら止めるだろうタイミングがありましたが、愛すべき仲間のおかげで無事に卒部を迎えることができました。

 僕が後輩に覚えておいて欲しいことは「ご縁、人を大切にすること」です。僕はサッカーに限らず周囲の人に支えられなんとかここまで辿り着けました。サッカーも、受験も、学業も、就活も、何もかも周りの支えがなければ挫折していたと思っています。だからこそ、周囲に対してリスペクトを持って、愛情を持って接することは本当に大切だと感じています。

情けなさ

 とまあこんなカッコつけたことを言いつつも、僕の4年間は本当に情けないものだったと思います。

 何度も自分の情けなさに涙を流し、だからと言って大した努力もできずに、でもプライドだけは高くて。春平とかがよく僕に言ってきたことは本当にその通りで、特に言い返すこともできずにいて。

 自分なりに足りてないけど努力をして、それでやった気になって。それで自分の実力に目を瞑って。
 自分でも何がしたいのかよくわからない日々を過ごしている時もありました。

 周りも気づいていたのに、それでもなお根気よく僕と接してくれて、僕に期待してくれたことが本当に支えになっていました。いつしか僕がア式にいるモチベーションの大半はア式への恩返し、仲間への恩返しになっていました。

 だからこそ、支えてくれたすべての方々にこの場をお借りして感謝を申し上げます。
 本当に、本当にお世話になりました。
 情けない自分を支えてくれて、寄り添ってくれてありがとうございました。

 そして、意外と、些細なことが僕の支えになっていました。

 試合でれそう?って毎回聞いてくれた東大ア式に進んだ高校時代のチームメイト、本当にありがとう。(俺が出れるわけないだろ)って毎回思いながらも、一選手としてリスペクトしてくれていたこと本当に嬉しかったです。そして東大ア式で二人が躍動している姿を見て勇気をたくさんもらいました。

 高校時代のキーパーがア式のことを追ってくれていたことも地味に嬉しかったです。本人は戸田さんを見ていただけなのかもしれないし、僕をバカにしたかっただけなのかもだけど、愛しているチームを追ってくれている人がいて、チームのことを話せる相手がいるっていうのは本当に幸せなことでした。

 そして普段仲良くしているみんな、ありがとう。大学に入りノリも付き合いも悪くなり、酒も「明日練習だから無理!」とか言って断り、挙げ句の果てに「明日練習早いから!」って言ってさっさと帰る僕を見限らず、応援してくれてありがとう。この4年間で付き合ってきた友達は一生大切にします。

 そして両親には本当に頭が上がらないです。子供の頃から誰よりも僕の運動神経の悪さを知っているのに、もがき続ける僕をあれこれ言わずに見守ってくれて本当にありがとう。

 リーグ戦で戦った仲間のような、自分の限界を超えたところで戦う、自分を何段階も成長させるような経験を僕は得られなかったのかもしれません。けれども、あれほどまでにプライドが高く、自分の情けなさを直視できなかった自分が、この7年間でやっとその情けなさを認められるようになったのはある意味で成長なのかなとも思ったりします。

 見城の話に戻りますが、見城を見ているとア式にいるのが全てではないのがよくわかります。大学生には本当に色々なことに挑戦できるチャンスがあって、その大半を捨てて我々はア式でサッカーに向き合っています。ア式以外にも刺激的で楽しい体験、挑戦はいくらでもあります。

 だからこそ、耳にタコができるほど聞いた言葉ではあると思いますが、自分がア式にいる意味は常に考え続けるべきだと思います。4年間を無駄にしないために。後悔しないために。

 この4年間は本当に最高で、ア式で4年間を過ごしたこと自体に後悔は一ミリもありません。ただ、ア式の活動の中での後悔はたくさんあります。

 僕には「ア式で成し遂げたいこと」が足りませんでした。僕はア式が本当に大好きで、ア式にいる意味は早々に「ア式が大好きだから、ア式を支え共に進みたいから」となってしまっていて、自分がどうなりたいという思いが人より薄かったと思います。リーグに出たいとはあまり思えなくて、どちらかというとAで活躍する同期と一緒にピッチに立ちたいから上手くなりたいというのが本心に近かったかもしれません。

 社会人になってからその後悔を繰り返さないよう、ここに(現時点での)社会人としての夢を書いておきます。

「日本の信頼を世界中で築きあげる」

 どういう形で達成するかもわからないし、問題意識なんて社会人になったら変わるのかもしれないけれど、今度こそこの目標に向けて一心不乱に進んでいこうと思います。

 いつか皆さんの夢や目標も聞かせてください。


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