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憧れ|長田陸

FW #10 長田陸
桐蔭学園高校出身

2022シーズン、10番を背負った男。献身性を活かしたプレスで、チームを一つ上のレベルへと引き上げた。

長田陸の最後のメッセージ。

 一橋大学ア式蹴球部4年の長田陸です。
 最近好きなMr.Childrenの曲はAnyです。最近は憧れの桜井さんの真似がもっと上手になるように努力しています。
 9月くらいにブログを書いたので、引退ブログは何をかこうか、と悩みましたが、ここで自分の競技サッカー人生は終わるということで、かなり真面目に取り組んだ大学サッカーから学んだことや想いを綴りたいと思います。周りにもこの前書いたばっかりじゃんとか言われているので、他の同期の引退ブログよりも新鮮さに非常に欠けると思いますが、読んでいる人に何か伝わればと思うので、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

 一橋大学に入学して色んな団体を見ているとき、楽しそうにしながらもみんなが本気でサッカーに取り組んでいるア式を見て、この組織の一員になりたいと思った。他の団体と迷って結局ア式を選択したのはそこにいた人が満たされ、とても輝いて見えたからである。その中でも当時の自分にとって、4年生はとても大きな存在で、カッコ良い大人に見えていたのを覚えている。当時の自分はGMの高山さんの人間力に憧れていて、ここでサッカーをしながらそんな尊敬される人になれたら良いと思っていた。
 4年間ア式蹴球部でサッカーをして自分が尊敬していた人のような存在になれたかというと分からない。しかし間違いなく言えることは自分自身も、このア式蹴球部という組織も大きく変わったということである。それは多くの価値観や考え方に触れ、多くの素晴らしい先輩や後輩、同期に会い、そういった憧れを理解したうえで少しでも近づくために日々奮闘したからだと思う。また、ア式という組織も大きな理想や憧れに向かって確かに変わっている。

アシキの価値観

 自分が特に好きだったのは、良い結果は良い関係性からという言葉である。この言葉は特に自分が1年生の時の4年生がよく言っていた。それを体現するかのように当時の4年生はとても仲が良かったのを覚えている。実際、自分が3年生、4年生になってリーグ戦に出場し、組織の結果という責任を負っていくような立場になると、この言葉の本来の意味を感じられた。自分たちがチームとして苦しいときに踏ん張れるのは、チームとして信頼関係を築き、監督を信頼し、選手やスタッフ間で話し合ったうえでそこに本気で向き合えるためだということがよくわかった。

 2年生になって戸田さんに指導者として来ていただけることとなり、フットボールの本質のようなものを教わった。戸田さんからすれば自分がやっているのはサッカーに似た運動であった。戸田さんから何度も頂いた長文ラインを今見返してみると、(あまりしたくはなかった)当時の自分が言われたらいやなこと、つまり目をそらしたくなるような弱い部分を本当にたくさん指摘してくださっていた。戸田さんの価値観からすれば自分のしている日々のトレーニングはお遊びであり、到底競技サッカーからかけ離れていた。この基準を教えてくれたのは戸田さんであり、自分にとっては殻を破りそこに行くことは苦しいことだったが、何度も指摘して下さったことにとても感謝している。今後の人生においては目指すものに対して高い基準を示し続けてくれる人がいなくても、そういった基準を目指し続けられる人になりたいと思っている。

 リーグ戦

 2.3年生の頃からリーグ戦に出場することが出来るようになったが、今振り返ると、試合中に何も出来ていなかった。初めてスタメンで出場した武蔵戦で負けてしまって、上位リーグへの希望が薄くなり、当時の4年生の山健さんや西山さんに対してとても申し訳ない気持ちになったのを鮮明に覚えている。3年生になってからもシーズン初めからあまり良いパフォーマンスが出来ず、七條さんからなにしてんねんと言われていた。この時も情けなさを感じていたが、逃げ癖があった自分はあまり状況に向き合えていなかったと思う。実際練習に入れていない日もあり、同期に「今日はすごくぽわぽわしてる」とか言われる始末だった。本当にごめんなさい。しかし、リーグ後半からはリーグの価値やチャレンジする価値、色んなことを理解して納得のいくパフォーマンスが出来たと思う。

 自分自身が4年生になって、責任を背負ってリーグ戦に出場するようになり、2.3年の自分とは全く違うメンタリティで一試合一試合に望むことが出来ていた。その結果色んな感情を多くの人と共有できるようになった。20試合を終えて、結局自分自身は10得点を挙げるというシーズン前に立てた目標を達成することはできなかった。しかし、間違いなくシーズン前の目標以上のたくさんのことを手に入れることが出来たのではないかと感じている。
ただ、やはり自分の中に悔しさは間違いなくあって、引退試合を終えた夜にしょうや色んな人に泣きついていたのが自分の本心であったと思う。そういった感情を少しでも減らすために、今組織にいる人は毎日たくさんのチャレンジをしてほしい。後輩の中にはなぜそんな熱量でやっているのかよくわかんないと思う人も多いと思うけれど、せっかくなら価値を理解してやった方が絶対に楽しいし、後悔はなくなり、個人としての成長機会も得られると思う。そうやって勝利した試合はとても気持ちいいし、その試合では自分自身と嫌でも向き合わないといけなくなるから。今のサ式、シ式、ス式にはとてもポテンシャルがあると思うので、もっともっと組織にいる色んな人を深く知ったうえで、この組織を最大限に利用して多くの素晴らしいものを手に入れてほしい。

理想の10番

 背番号とかはどうでも良いという人の方が結構多いと思う。僕自身もその一人であったけれど、いざ自分が4年生になって10番つけるのかどうかとなったとき、非常にためらいがあった。今までの先輩が大きすぎて、自分に引け目を感じた。しかし、加藤にも相談に乗ってもらい、10番をつけることで逃げ癖のある自分にプレッシャーをかけることにした。
 9月のブログで「理想の10番」に少しでも近づきたいということを書いた。たくさん点をとることは出来なかったけれど、自分なりに戦う姿勢とかを見せることで、後期リーグで少しはそこに近づけたと思う。色紙に似合ってましたとか頼りになりましたとか書いてくれてありがとうございました。ネタ要素もあるかもだけど、嘘でもすごく嬉しかったです笑。
 もっと10番を着て勝ちたかったなーとは思うけど、来シーズンの人が特別な想いをもって試合に臨んでくれていたら嬉しい。

最後に

 今シーズン現役の活動を支えてくださった方々、本当にありがとうございました。今シーズンはOB戦も開催され、支えてくださった方々ととても楽しい時間を過ごせました。最後まで本当にありがとうございました。
後輩に伝えたいこと。
 今まで綴ってきたことは僕がア式を通じて思ってたことなので覚えていてくれたら嬉しいです。ただ、ア式には大切なことがあるので残しておきます。
 これは僕の二つ上の名徳さんが引退ブログで綴っていたことだけど、自分も大切にしている言葉なのでここにもう一度残しておきます。

 『じゃんけんに勝者なんてないよ。負けた時は必ず、誰かを笑わせてるんだから。じゃんけんをやると決めた時点で、みんな笑者じゃん。』

 かっこよすぎる言葉なのでア式の人は覚えておいてください。

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