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弱さを認める|丸茂琥哲

Profile
丸茂琥哲
出身高校:函館ラ・サール学園
学部:商学部
ポジション:FW

夏休みにこのnoteを書くことが決まり、季節は移り変わりもう冬が始まろうとしています。締め切りは8月中でした。このnoteを書くにあたって、まずは夏休み中という締め切りをかなり大幅に過ぎてしまったことを謝罪するところから始めたいと思います。本当にごめんなさい。

 まだア式の中で、プレーヤーとしても部員としても未熟な僕が書けることは何だろうと3か月間ずっと考えていました。自分が大学でもサッカーを続ける理由や、先輩方に対する感謝など書けることがたくさんありますが、ポジションをコンバートしたことについて書こうと思います。

 自分はもともとウィングバックというポジションをやっていましたが、今はフォワードをやっています。ウィングバックは高校時代にサイドバックやサイドハーフをやっていたプレーヤーが集まるポジションであり、自分も小中高とサイドバックとサイドハーフでプレーしていたため、ポジションを争う仲間は多かったものの、サイドでのプレーには自信を持っており、いつか絶対にチームに不可欠なウィングバックになってやろうという思いを持って練習に励んでいました。

そんな中で中学校時代にちょろっとしかやったことがないフォワードというポジションにコンバートするという話をコーチ陣からされました。当時の自分は「ふざけているのか、おれにフォワードの適性があるわけないだろ。おれはサイドの選手だ。」と思っていました。しかしBチームで出場時間が少ないことも当時思い悩んでいたことであり、試合に出場できるならウィングバックにこだわらずにフォワードに転向するのもありなのかなと思っていました。そんな理由からコンバートを決断し、フォワード人生が始まりました。ですが、思うようにうまくはいきませんでした。ほぼ初めてやるポジションの動き方なんて分かるはずもなく、わけの分からない動きをして周りから怒られ、ゴールもなかなか決められない。自分の中でフォワードというポジションをするときは、自分が知っているサッカーではなく、今までやっていたウィングバックと求められるプレーや、やらないといけないことが違いすぎて、全く別の競技をやっている感覚でした。それでも周りからは、ウィングバックの丸茂よりもフォワードの丸茂の方が良いという評価をされていました。自信を持ってプレーしていたウィングバックでのパフォーマンスは酷評されているのに対して、全く自信もなく手ごたえも感じていないフォワードでのパフォーマンスの方が評価されていることを受けて、正直に言うと、自分のプライドはすごく傷つきました。ウィングバックで評価されたいという理想と、ウィングバックの自分はチームに必要とされていないという現実のギャップを受け入れられませんでした。フォワードをやめて自分が評価されるまでウィングバックをやりたい、フォワードの方が向いていると言ってくる周りを見返したいと思っていました。ただそれと同時に、自分のウィングバックでのパフォーマンスは、当時試合で活躍していた選手たちに遠く及ばないことは心の中で分かっていました。フォワードをやっても楽しくない、かといってウィングバックで活躍もできない。そんな弱い自分に嫌気がさしていました。でもその悔しさをバネにして努力するようなことはせず、最初はだれでもこんなもんでしょ、またウィングバックに戻れば活躍できるといったことを自分に言い聞かせていました。僕は自分の弱さを認めて努力するのではなく、その弱さから目を背けて見えないふりをして、自尊心を傷つけないように部活を淡々とこなす。そんな不毛な日々を過ごしていました。

 中途半端な気持ちでフォワードをやっていたのですが、ある出来事がきっかけで心持が変わりました。同じフォワードの志音さんはケガをし、西野さんは就活で練習にあまり参加できず万全ではない状態で迎えた9月8日の帝京戦。自分は万全の状態だったにも関わらず、ベンチメンバーにすら選ばれませんでした。そして本来フォワードではない選手がスタメンで起用されました。

自分はこんなにも無価値なのだなと思う出来事でした。試合に出るために自分のプライドを犠牲にして、評価を得やすいポジションになったにもかかわらず、ベンチメンバーにすら入れない。たしかにコンバートしてからまだ日は浅かったですが、スタメンが本来フォワードでプレーしている選手ではなかったことと、先輩の怪我によって巡りこんだチャンスすらものにできなかったことも相まってとてつもなく悔しかったです。

 自分はまだまだチームにとって無価値であり、ちっぽけで弱い存在だということを痛感しました。でも今までと違い、突き付けられた自分の現状を正面から受け止めることができました。これは別に自分が受け止められるようになったからとかではなく、全く言い訳ができない敗北だったからです。この悔しさを晴らすには、一刻も早く試合に出られる選手になり、チームの勝利に貢献できる選手になるしかなく、ウィングバックで勝負したいというプライドを優先するのではなく今最も自分が評価されているフォワードを極めることが一番の近道だと考えました。そのためには、今公式戦で活躍する選手たちよりも速いスピードで成長してゴールを決められるフォワードになるしかなく、ベンチに入れなかったといじけている暇なんてありません。まだまだ未熟な自分は、これから何度も失敗を重ね、悔しい思いをすると思います。でも前と同じようにその現実から目を背けるのではなく、正面から自分の弱さを認めて、それを克服するためにひたむきに努力し続けたいと思います。そうすればいつか、プレーでチームに貢献できるようになるのではないかと考えています。

心持が変わってからは、まだまだですが、少しはマシなフォワードになってきたのではないかなと思います。監督陣やスタメンで出る選手たちからは自分の守備をぼろくそに言われたり、チームがせっかくつないでくれたボールを前線で収められなかったりと、成長する余地はいくらでも残っていますが、前よりも仲間から褒められることや、手ごたえを感じるシーンも増えました。ただ残された時間は短く、あと2年で自分たちも引退することとなります。本気でサッカーに向き合える最後の2年、怪我しがちの自分がどのくらいプレーできるかわかりませんが、これまでのサッカー人生で1番努力した2年間だったと胸を張って引退できるように過ごしていきたいと思います。

長く拙い文章だったと思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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