にじさんじとJリーグ。
サムネ借用&書きたいことはこちらの記事から。
(ライバー名など、敬称略とさせていただきます。)
Vtuber業界屈指の大手グループであるにじさんじと、Jリーグがコラボを発表。
(色んな意味で)大人の事情から各ライバーが担当するクラブの発表配信は3/3から延期となり、順風満帆なスタートとは言えなかったものの、無事3/31に延期していた発表配信が行われた。
この配信では組み合わせの他に、コラボグッズの発売も発表された(ちなみにVtuberにとって「新規イラスト(立ち絵)が描かれる」というのは、かなり大きい事である)。
個人的にはサッカーもVも好きなので、とても嬉しいコラボ(贔屓クラブがJ2どころかJ3なのは見ないものとする)で、ついにVtuberとサッカーが大舞台で交わる時が来たかと思った。
と思っていたのだが、考えていたよりも組み合わせ発表配信からの動きが少ない。特にJクラブ側。
こちらのnoteによれば、4/1(発表配信翌日)にライバーとのアクションをとったクラブは3つのみ。4/1はエイプリルフールということもあり、何より公式戦がすぐに控えるという時であることを鑑みて、再び4/4にクラブのSNSをチェックすると、アクションを起こしていたのは8クラブ(引用noteには7と記載されているが、加えて清水も反応していた)。
このコラボをSNSで知らせたクラブは、全クラブの半分もないのである。
ただ木曜の発表配信から公式戦を挟んで月曜日。コラボグッズ発売は4月下旬。しかも元々の予定から「にじさんじ側の都合」で延期になったことを加味すれば、この段階で動きが少ないと言うのは少し厳しいのかもしれない。コラボのツイートぐらいすれば良いのでは?とも思うが、Twitterは少しのことで火事になる可能性もあるから軽率には動かないという立場も分かるような気がする。
しかしこれはどうなのだろう。
札幌の担当になった雪城眞尋は、早速発表翌々日の浦和戦で、札幌のツイートを引用RTした。ゴールを決めた時も引用RTしていることから、多少なりとも試合の動向は追っていたと思われる。
しかし札幌のTwitterは、発表配信の3/31から試合前後を含めて一切このコラボへの言及をしていない。
試合の引用RTへ、多忙極める試合当日に反応出来なくても致し方ない。だが試合翌日に「応援ありがとうございました!」ぐらいの反応はあってもいいのではないか。「公にコラボしている」Vtuberなのである。それもコラボ発表がされてから初めての公式戦である。返答するのは礼儀なのでは?
(もし反応していたら申し訳ありません。少なくとも執筆段階では見つからず。)
他にもC大阪担当の周央サンゴやG大阪担当の樋口楓、川崎担当の社築...。というか、コラボに触れていない10クラブはこのパターンである。ライバー側の触れ方にも大小はあるが、少なくとも「〇〇の担当になりました!」とツイートをするライバー側に対して、クラブ側はそもそも0なのである。お話にならない。
コラボに触れないJクラブを擁護するのであれば、「どう接したらいいか分からない」というのが、対応の難しさにあると考える。にじさんじ側はいわゆる「コラボ」へのノウハウはもはや有り余っているレベルな一方、J側の経験は比較的少ない。しかもクラブ側にとって、コラボ相手はスポーツとは無関係、さらにはバーチャル世界の存在。「現実世界」で完結するスポーツチームのJリーグにとっては全く未知の世界とも言っていいかもしれない。実際のファン層を考えてもVなんて全く知らないサポーターも多いだろうし、逆もまた然りである。そのような存在に、コラボ経験が比較的少ないクラブ側が戸惑うのも無理はない。Vのファンは全く知らない界隈とのコラボにも慣れているので、ただコラボするよと発表すれば後は勝手にファンが調べて勉強してくれるという風習が底にあるが、サッカー界隈で、一切知らないサポに対して、『「そもそもVtuberって何?」「にじさんじとは?」「配信とは?」という所から説明しなきゃならんのか?』とクラブ側はなるのかもしれない。
それでもコラボはすでに決定して発表されているのである。相手都合で一度延期されたとはいえ、コラボに一切反応しないのは果たしてどうなのか。立場を逆にとれば、「クラブがライバーを応援大使に任命して発表したのに、ライバーは一切触れない」事態と書くことができそうである。こう書けば事の重大さがより伝わるだろうか。
Jリーグ側はこのままコラボをお開きにするつもりなのか。それはあまりにも勿体なさすぎる。
なにせ、インターネット上での影響力が桁違いなのである。鹿島担当の葛葉のチャンネル登録者数は脅威の124万人。Twitterのフォロワーも約100万人。ちなみに鹿島のTwitterフォロワー数は44万人である。
影響力がまさしく桁違いなのが伝わるだろうか。
それに前述した通り、それぞれのファン層はある程度独立していると言える。もちろん筆者のように両方へ興味がある人もいるが(そのような人たちが主にこのコラボをファンから盛り上げている)、Vtuberのファンで、今までサッカーは日本代表ぐらいしか知らない人、または全く知らない人はかなりの数にのぼると推測できる。
このコラボが大局的に見て何に繋がるか。
そう、新規ファンの獲得に繋がるのである。
新規ファンの獲得は、様々なジャンルにコンテンツがある現代にとって、とても重要であり、とても難しいことである。
それがこのコラボでは出来るのである。
しかも、Vのファンはとりあえずコラボ企画が発表されると、それを盛り上げようとする。何故かというと、そうすることで「コラボが盛り上がった」→「コラボが成功した」→「このライバーとコラボすると盛り上がる」→「またコラボしよう」と、企業側に認知してもらいやすくなる=応援するライバーのメリットになるからである。(もちろんこんな不粋な考えはあくまで世間に汚れきった筆者の偏見である。多くのファンは単純にコラボを楽しんでいるはずである。)
今回のJリーグコラボも、Vのファンがライバー側のツイートや行動に合わせてリプをしていたり、試合をDAZNで見てみたり、実際にスタジアムまで足を運んでみたりという盛り上がりが起きている。
もちろん日が経つに連れて、この盛り上がりは手を打たない限り下火になる。トレンドの移り変わりが激しいインターネット上ならなおさら。だが、このコラボをきっかけにしてサッカー、Jリーグにハマる人は確実に出てくるはずである。これを新規層開拓の成功と言わずして何と呼ぶのか。
その重要なチャンスをJクラブは簡単に逃していいのだろうか。
ここまで散々書いたけれど、多分、本格的にコラボが始まるのは各ライバーのユニフォーム姿イラストが公開されてからだと思う。イラスト公開後は今よりかは確実に紹介もしやすくなるだろうし(可愛いアイドルの商販写真よりも贔屓のユニ姿写真のほうが、サポーターは(^ω^)ってなるでしょ?なりませんか?)、グッズをスタジアムで販売したり、ライバーイラストのパネルを展示するとなったら、恐らく大挙してファンが押し寄せる(はず)である。
幸いにも(?)、グッズ展開はまだ先。それまでに各クラブはこのチャンスを大局的メリットに繋げるために、様々な策を練っておくべきである。例えばグッズ(&タオマフorユニ)付きチケットなり、試合の見どころ紹介を配信で行い、そこにライバーを呼んでみたり(Vは配信のプロなので、より見どころ紹介配信も面白くなるであろう)、試合の告知に使用したり。流石に冠試合は難しいか。
1つ言えるのは、スタジアムに足を運んでくれるVファンは、サッカー観戦初心者が大多数なので、「楽しい」「見に来てよかった」と思ってもらえるような施策が重要ということ。スポーツ観戦は、実は一見さんにはハードルが高い。まず会場に向かうためにどのサイトを見たらいいのか、スタジアムでは何が必要なのか、マナーはあるのか、試合は何が注目ポイントなのか‥。
幸い、Vファンもライブ等で「興行」には慣れている。いま一度「サッカー観戦初心者」の頃の自分にたち返ってみて、「初めての観戦時、まず何が知りたいか」を考えてみる事が大事だと考える。
双方にとって良いコラボにするために、まずはクラブ側が積極的に関わってみて欲しい。Jリーグ兼Vtuberファンとして、そしてこのコラボを楽しみにしていた1ファンとして、盛り上がりを見せることを願っています。
---- ここから公開後追記の独り言 ----
やはり何度考えても、「にじさんじ様とのコラボで、〇〇さんが我がクラブを応援してくれます!」的なツイートだけでもしない理由が分からない。別に、「明日試合がありますよ!一緒に見てくれますよね!?!?(チラチラ」みたいな押しをしろとはいわないし、この場合下手すればインターネット消防車のお世話になる可能性もある。
クラブ側の反応が「無い」のは、何か理由があるのだろうか。言ってしまえば社交辞令である。実際ライバー側にもその意識でツイートしている人はいるはずである。
J1クラブならばこういった社交辞令、コラボのノリに合わせたツイートはしてほしい。というかしなければダメだとすら思う。唯一浦和レッズだけはクラブ文化的に許されるくらいである。もちろんV側視点からしたら、その文化に遭遇している三枝くん(しかも大人の事情で交代したライバー)はどうなるの?という話ではあるが。
勢いで書いてから時間たって、少し思案した。今こうして長い駄文をインターネットの海に放流したけれども、自分はどうか?
にじさんじは知ってるからこうして色々出来る。じゃあ自分は知らない人とコラボするってなった時、どうしているだろうか。AKBとかSKEといったアイドルは一切分からない。もしその人達とのコラボが発表された時、自分はきっと、へぇそうなんだで終えると思った。上では偉そうにつらつらと言葉を並べながらとんでもない最低野郎だと自分の事を思ったが、現実はそういうものなのかもしれない。興味のあるコンテンツの時だけしゃしゃり出る人間はきっとやる偽善に当たる気がする。