キャプチャ11

弟の夫

原作マンガは未読。ストーリーもほぼ知らないままNHKBSプレミアムでみました。把瑠都って元相撲取りよね…演技できるの?と半信半疑で鑑賞。全3回と短いので、全部録画して一気見です。いろいろツッコミしつつみていた。


あらすじ:小学生の娘を男手ひとつで育てる折口弥一(佐藤隆太)の元に、突然、髭もじゃの外国人・マイク(把瑠都)が訪ねて来る。弥一には双子の弟・涼二がいたが、随分前にカナダへ移住し、絶縁状態となっていた。その弟が亡くなったという。そしてマイクは弟の“夫”、つまり同性婚の相手だった。しばらく弥一の家に滞在することになったマイクだが、弥一はゲイに対する偏見がぬぐえず、どう接していいか戸惑い、いらだってしまう…。 「弟の夫」 NHKプレミアムドラマより



第1話からパンチがすごい。

「マイクとリョージ、どっちが奥さんなの?」

「奥さんはいません。どっちもハズバンド

(泣きそうで言葉にならない私)


ありがとう!ありがとう!この回答100点満点ですよ!!


これね、よく聞かれる質問。試験に出ますよ!(出ちゃダメだってば)どっちが男役?女役?みたいな。男役は大黒柱じゃないといけないの?女役は家事炊事するの?のっかるほうがえらいの?女役は奉仕されるべきなの? >>>そんなんカンケーないでしょ!!男女役割がしみついてるアジアならではの反応なんだろうけど、ベッドの話なんて、初対面でしないだろう。意外と失礼な質問なのにへーきで聞いてくる人多いです。ホントにやめてほしい。同性セックスに興味があるなら、そう言ってくれ。場所変えて話すからさ…(*´艸`*)


さて、冒頭の回想シーン。中学生くらいの双子がサッカーしながら「おれ彼女できたんだー」「へー。おれはゲイ」って言いあうところにびっくり( ゜Д゜)主人公・弥一の年齢で(35歳くらい?)たぶん20年くらい前の子供たちがゲイなんて言葉しらないんじゃ…

と、思ったのですが。実際私は中学2年くらいでLGBTの存在知っていた。Boys LoveとかGirls Loveなんてはやる前だったけれど、保健体育の授業で「男女カップル」ばかりとりあげられてることに不満はもっていた。同性同士ってつきあえないの?なんでダメなの?と不思議に思い図書館へ。性教育とか精神論のあたりに数冊会った本をこそこそ読み込んでました。ゲイやレズビアン、異性装者トランスベスタイト/クロスドレッサーは性的倒錯者と扱われ昔は「病気」とされていたけど21世紀も近くなりWHOも認めていると。ふーん。そっかー。いけるんだ。以来私の壁はとっぱらわれました。


主人公・弥一はなんと無職。両親の遺産である不動産を貸して日々の生活費を稼いでいる。いわゆるサラリーマンではないし、離婚後はシングルファーザー。日々ゆったりした生活のなか、ひとり娘の夏菜を育てている。双子の弟、涼二はカナダへ留学、のちにマイクと出会い同性婚をする。ドラマの冒頭で涼二は死んでいるので、実質弥一はひとりぼっちだ。

マイクが日本にやってきて、弥一はいままでなかった価値観にふれる。まだ中学生?の男の子がマイクを頼ってやってきたり、娘の同級生のママに悪影響だからあのお家へいっちゃだめ、と言われたり、夏菜が成長して女性と付き合ったら?なんて想像をしたり…

特に第2話の一哉くん。「同級生がアイドル誰が好きって話してても、僕がいいなと思うのは男のひとで…」はじめて大人のひとに打ち明けることができて泣いちゃう一哉くん。わかる…私も誰かに言えたらってずっと思ったもん(´;ω;`)ウゥゥ


夏樹と弥一、夏菜 はちゃめちゃな結婚生活を諦めて離婚したふたり。いま円満でひとり娘の夏菜も交えて定期的に会っている。気が向けばセックスもするし、お互い「恋人できた?」とフランクに話せる距離。夏樹は強い。「普通なんてくそくらえよ」とほほ笑む。4人で温泉旅行にいったとき周りにどんな関係にみえるかな、という弥一に「家族でいいんじゃない」とはっきりいう。いいね。


夏菜とマイク 無邪気におじさんとしてなついてるのがいい。シーユーアゲインの練習シーンとかめっちゃいやされる。


マイクとリョージ 第3話で結婚式の写真でてきたとき涙ボロボロだった( ノД`)シクシク…


夏菜と学校 「ほかの家庭とすこし違う」がゆえに夏菜が浮いてしまうといらぬ心配をする先生。ここではじめて弥一は「マイクは弟の夫です」という。もし夏菜がひとと違うことで、いじめられたら、それを正すのが先生の役目でしょう、とも。


弥一と涼二 ゲイの弟をどっかで(変態だ)(異質なものだ)(見下してた)そんな兄の居心地の悪さを、死んだ涼二は感じていたはず。マイクがもってる写真の中の涼二はほんと無邪気な笑顔でたまらない。弥一とは違うやんちゃさがある。うっすらヒゲがまたリアルでさ…お墓参りで涼二に話しかける弥一、それを察して夏菜をつれていくマイク。もう優しさしかない。


マイクと弥一 カナダへ帰っていったマイク。初対面では「こっちくんな」オーラ全開だった弥一が、「さよならのハグしていいかな」と見送るまでに。マイクがつかっていたマグカップを洗い、丁寧にふいて食器棚へしまうシーン。夏菜とマイクを思い出しながら散歩する夕方。離れていたって家族だから。


食卓のごはんがいちいち美味しそう。ハンバーグとかあんかけ焼きそばとか、弥一の料理は世界一!と元奥様の夏樹がいうのもわかる。へんにメニュー凝ってないんだよね。家族の味。



キャスティング 完成度の高さに驚きました。把瑠都、元相撲取りにはみえないほんわかさ。ギャップがたまらないです。後半、温泉宿でマイクがゲットしたでかい熊のぬいぐるみを夏菜は大事にしてるんです。「マイク」って名付けて一緒に寝てる笑。最高じゃないですか。佐藤隆太は「The 3名様」とか「木更津キャッツアイ」でよくみてたけど、こんな素敵なお父さん役やれるようになったんだなぁ、と。


「夏菜がだれかを傷つけないように育てる」 そう心に決めた弥一は逞しい。でもそれって親として、保護者として当然のことだよね。もちろんそう思える環境も大事で。マイクとの出会いを通して、弥一がもういない家族への愛にふれるっていうエンディング、まとめかたがうまかった。いやーみてよかった。LGBTだけの話じゃなかったな…NHK good job。


参考リンク

同性婚を描くNHKドラマ『弟の夫』は朗らかに問う。「普通なんてくそくらえ」

『弟の夫』ドラマ化が大反響、マイク役に把瑠都を起用したことも好評


以上です!



いいなと思ったら応援しよう!

移動祝祭日
いただいたサポート費用はnoteのお供のコーヒー、noteコンテンツのネタ、映画に投資します!こんなこと書いてほしい、なリクエストもお待ちしております。