髪型を変えたら、心も変わった
すらっとしたスタイルに高いヒール。気品溢れて颯爽と街の空気を切っていく。大ぶりのピアスがお似合いの女性。
ロングヘアをゆるく巻いてふんわりとしたスカートを揺らす。小首をかしげる仕草がとってもキュートな女性。
ヘルシーなショートヘアにバンダナを巻いて、自然体なのに丁寧な暮らしが滲み出てる。おうちの中を見てみたい女性。
なりたかった
なりたかった
なりたかった
...なれなかった。
ああ、うらやましい。
全部わたしがなりたかった女性像だ。
どれにも当てはまれなくて、女の子たちがみんなキラキラして見えて、ずっとコンプレックスだった。
そんないいないいな症候群だったのだけど、最近ちょっぴり変わった。
髪をバッサリ切ったことがきっかけだ。
わたしの髪型はずっとロングだった。
わたしの髪はサラサラとはほど遠い硬い髪だ。しかも量も多い。
乾かすのも時間かかるし、不器用なので扱いきれない。
なんとかダサいイメージを変えたくてパーマなんてものをかけてみたが、余計に扱いづらくなっただけだった。
こんなに髪が長いことに固執したのも理由がある。
「ショート似合わないよ。長い方が良かったのに。」
元彼からの言葉だ。ロングからバッサリショートにしたときに言われたのだった。たしかに気にいってはいたけれど、お洒落なショートではなかった。
というか、顔がお洒落ではないから、ショートの種類によっては小学生みたいに見えてしまうのだった。
それ以降ショートは金輪際やめようと胸に決めたのだった。
そんな元彼と別れて、扱いきれない野暮ったい髪質と、なかなか乾かない焦ったさが相まってショートにしようとふと決めた。
インスタグラムというものはすごい。#ショートヘア や #似合わせカット で素敵なスタイリストさんがたくさん出てくる。
とっても素敵なショートヘアな女の子の話を聞きつつ美容院を決めた。
何から何までお洒落すぎて緊張しかしない。
やっぱり一流の美容院は、スタイリストさんはすごいのだ。サクサク野暮ったい髪型が変わっていく。
まさしく魔法にかけられた。
見た目だけじゃなくて中身も変わった。
ショートヘアなんて男の子受けしない、と思っていたけどそもそも気にしなくなった。
わたし、自分のショートヘアが大好きだ。
ふと古着屋さんで一目惚れしたマーチンを買った。
恥ずかしがってかぶれなかったベレー帽がトレードマークになった。
なかなか着られなかった渋い色味のお洋服を着るようになった。
ある日、久しぶりに親友に会った。
「垢抜けたね、一瞬誰だかわからなかった。」
と言ってもらえた。
わたしは甘いものが大好きだ。
体型も細いわけじゃない。
目も一重で結構気にしてる。
丸顔だし、気になる部分はいくらでも出てくるみたい。
でも、ショートにして以来、いいないいな症候群は減った。
その代わり、こんなお洋服着たいな〜が増えた。
性格もちょっと変わった。
自分が思っていることを素直に言えることが増えた。
人に甘えられるようになった。
無邪気になりすぎて「小2なの?」と笑われた。
今まで大人っぽいお姉さんの役割になることが多かったからびっくりした。
でも、ずっとずっとわたしらしくて、ずっとずっと楽だ。
やっぱり他人を見ると、自分にないものを探してしまうことは多い。
だけれども、自分にあるものを探して磨くほうが、自分自身を好きになれる道に繋がるのだと思う。
わたしの好きを纏って、今日も他の誰でもなくわたしを生きよう。