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主要構造部とは?建築基準法第2条第一項第五号

建築基準法で定める「主要構造部」について、完璧に理解していますか?

fcamです。
この記事を読んでくださり、ありがとうございます。

まだこの記事を読まれていない方は、先にこちらを読んでいただけると幸いです。

さて、今回は「主要構造部」についてです。

「主要な構造部」と読めるため、建築物の構造に対し特に重要な部分という印象が持たれやすい用語です。

ですがそれでは不十分。

一般的によく「構造耐力上主要な部分」と知識が混ざりやすいこの主要構造部の定義を明確に把握しておく必要があります。

例えば、地上3階地下1階の建築物を想定します。

・地下1階の床は主要構造部ではないが、1〜3階の床は主要構造部。
・内壁でも主要構造部とそうでないものが存在する。
・梁の中でも小梁は主要構造部に含まれない。

これらがスムーズに理解できますでしょうか。

また、
・そもそも主要構造部ってなんだっけ・・・。
・主要構造部の種類がうろ覚え・・・。
・構造耐力上主要な部分と違いがよくわからない・・・。

この疑問を解消していきます。

今回は主に、建築基準法第2条(用語の定義)の「主要構造部」について解説していきます。

順序立てて説明していきますので、順を追って読み進めてください。

・主要構造部の定義について知識が曖昧。
・該当する主要構造部の種類がうろ覚え。
・主要構造部と構造耐力上主要な部分の違いが曖昧。

こんな状態から
・主要構造部の定義を理解する。
・主要構造部をどのように見分けるかを理解する。
・具体的に主要構造部、構造耐力上主要な部分の違いについて理解する。

ここまでできるように、この記事で勉強しきってください。

それでは本題へどうぞ。

※この記事は「建築法規学習者」向けの記事です。
※6分程度を目安に時間を頂戴します。

4.章跨ぎ

1.法文と要約

建築基準法第2条第一項第五号より

壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

まずは、法文から主要構造部に該当するものとしないものを比較します。

主要構造部に該当する建築物の部分
壁、柱、床、はり、屋根、階段
主要構造部に該当しない建築物の部分
建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分

次に、「火災時に建物が倒壊しないため、また避難経路がなくならないために特に耐久性を高く担保する必要がある部分」=主要構造部

と念頭においてから、再度上記二つを比較してください。

防火上・耐火上「特に」失ってしまうと他の部材損傷に影響を及ぼすほど重要な部分であることが見て取れるはずです。

「壁、柱、床、はり、屋根、階段」

火災時に建築物内に人がいる時これらが著しく損傷すると、建築物が損傷し避難が難しくなりますよね。

つまり主要構造部とは、「火災に対する安全性を確保するため」に定義付けられる主要な建築物の部分のことです。

4.章跨ぎ

2.ポイント

主要構造部と構造耐力上主要な部分の2つは、一般的に意味が混同されやすいです。

建築基準法施工令第1条第1項第三号「構造耐力上主要な部分」

基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。

建物の「構造」というと、建築物の自重に加え、地震や風圧などに耐える部分というイメージを持つ人も少なくありません。

「構造」という言葉をこの一般的意味合いで使用される定義はこの「構造耐力上主要な部分」であり、主要構造部が意味する「構造」とは意味合いが異なります。

壁、柱、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)

これらは主要構造部と一部重複する部分もあるため、混合される意味もわかりますね。

主要構造部火災時に建物が倒壊しないため、また避難経路がなくならないために特に耐久性を高く担保する必要がある部分。

構造耐力上主要な部分:建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるもの。

全く別の視点から見た定義であることを理解してください。

4.章跨ぎ

3.具体例

頭の体操程度に主要構造部かどうかを判断していきましょう。

・基礎
・構造耐力上主要な柱
・大梁
・火打材
・最下階より1階上の床
・屋内階段
・構造上重要な間仕切壁
・間柱

この中で主要構造部に該当するものはどれでしょう。



〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜
正解は

・構造耐力上主要な柱
・大梁
・最下階より1階上の床
・屋内階段
・構造上重要な間仕切壁

でした。

主要構造部:火災時に建物が倒壊しないため、また避難経路がなくならないために特に耐久性を高く担保する必要がある部分。

構造耐力上主要な部分:建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるもの。

これで「主要構造部」と「構造耐力上主要な部分」の見分け方がわかりましたね。

4.章跨ぎ

4.関係法文

代表的なものとして「耐火建築物、準耐火建築物」の条件の一つとして、主要構造部を耐火構造・準耐火構造とするという法文が規定されています。

建築基準法第2条第一項九の二「耐火建築物」

耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。
イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
(1) 耐火構造であること。
(2) 次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。
(i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
(ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。第二十七条第一項において同じ。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。

建築基準法第2条第一項九の三「準耐火建築物」

耐火建築物以外の建築物で、イ又はロのいずれかに該当し、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に前号ロに規定する防火設備を有するものをいう。
イ 主要構造部を準耐火構造としたもの
ロ イに掲げる建築物以外の建築物であつて、イに掲げるものと同等の準耐火性能を有するものとして主要構造部の防火の措置その他の事項について政令で定める技術的基準に適合するもの

耐火についてはまた別途記事にて解説する予定です。

主要構造部に関する法文は、一度「e-Gov」で確認することを推奨します。

4.章跨ぎ

おわりに

お疲れ様でした。

・主要構造部の定義について知識が曖昧。
・該当する主要構造部の種類がうろ覚え。
・主要構造部と構造耐力上主要な部分の違いが曖昧。

こんな状態から

「1.法文と要約」
主要構造部とは、「火災に対する安全性を確保するため」に定義付けられる主要な建築物の部分のことと理解する。

「2.ポイント」
構造耐力上主要な部分との定義の違いを理解する。

「3.具体例」
主要構造部の見分け方について、実例を用いて確認する。

「4.関係法令」
主要構造部になると該当する関係法令の調べ方を知る。

この工程を踏み、目的である
・主要構造部の定義を理解する。
・主要構造部をどのように見分けるかを理解する。
・具体的に主要構造部、構造耐力上主要な部分の違いについて理解する。

ここまでできるようにまとめさせていただきました。

全て理解できましたでしょうか。

読者の皆様が、この記事を役立てていただけると嬉しく思います。

人間の記憶は曖昧なものです。

どんなに初歩的なことでも、時間が経てば忘れてしまいます。

もし忘れてしまった場合、再度確認しにこの記事を役立ててください。

忘れてしまったことを開き直り、不足した知識を補っていきましょう。

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