サッカーの競技性
1、サッカーとはどのようなスポーツか
まず指導者としてそもそもの大前提であるサッカーの定義を言語化しなければなりません。
この部分が抜けてしまうと理想のサッカー、ゲームモデル、プレー原則、戦術、技術とは何かを考える際に逆算して考えることができなくなってしまいます。
この定義に絶対解は存在せず、自分の中の納得解を求めていきましょう。
では、サッカーとはどのような事実で構成されているでしょうか?
・1つのボールを使うこと
・相対するチームが存在すること
・相対するゴールが存在すること
・そのゴールに相手より多く決めること
・コートの制限があること
・人数の制限があること
・ルールが設けられていること
1つのボールを使い、相対するチーム・ゴールが存在し、ゴール数を競い合うということは「戦い」、
さらにコートの制限があるということはスペースが生まれ、「スペースを取り合う」と解釈できます。
しかし、捉え方を変えると「戦い」は「遊び」、「スペースを取り合う」は「スペースを譲り合う」とも解釈できます。
これらの事柄からわかるようにサッカーの定義はその捉え方によって人それぞれ違うということです。
よってサッカーの定義は何が正解で不正解ではなく、自分なりの納得解が大切です。
納得解はブラッシュアップしていくものです。
では、自分なりのサッカーの定義をしていきましょう!!!
2、サッカーの特性とは
サッカーは最もルールが少ないスポーツであり、全部で第17条で構成されています。
しかし、最もミスの多いスポーツとも言われます。
なぜでしょうか?
・「ボールを扱うのが主に手よりはるかに不器用な足であるから」
確かに初心者と経験者の差が一目瞭然なスポーツだと思います。
・「さまざまな情報をキャッチし、瞬時に判断を下さなければならないから」
ボール・ゴール・味方・相手・スペースのそれぞれとの位置関係、相手のシステム・戦術、味方のプレースタイル、その時の心理状況など
さらに天候などの予測不可能な情報も考慮し、無数の選択肢の中から絶対解のない判断を主体的に下す必要があります。
その判断を助けるため・選択肢を減らしてあげるためににゲームモデル・プレー原則・戦術が存在しています。
では、これらの特性から子どもは何を学び、どのようにしてこれからの社会を生き抜くために必要な人間力を養っていくのか考えてみましょう!!!
3、サッカーから学べるこれからの社会を生き抜くために必要な能力とは
そもそもこれからの社会とはどのようなものなのかについて考える必要があります。
インターネットの発達により情報社会となり、さらに10〜20年後にはAIの発達で何もかもが大きく変化し、これまでの常識が通用しない不確実な時代に突入します。そして、人々が求めるものや価値観は多様化し、複雑化します。
では、次にそのために必要な人間力を考えてみましょう。
多くの情報が飛び交う情報社会では何が正しく、何が正しくないかを取捨選択し、多くの人々を納得させるれる納得解を導きだす『考え抜く力』、目的の達成のためにその納得解から信用を得る『コミュニケーション能力』、さらに新しいものを創造していくために必要な行動→修正を何度も何度も繰り返す『チャレンジする力』が必要になるでしょう。
今回のテーマであるサッカーからどのように学べるかについて説明していきます。
上記のサッカーの特性で記した通り、サッカーは多くの情報をキャッチし、判断を下さなければなりません。さらにサッカーにおいても絶対的な正解は存在しません。
これはこれからの社会ととても似たような状況だと解釈でき、『考え抜く力』を養うには適していると考えられると思います。
さらに11人の味方とともに勝利という目的に向かうには『コミュニケーション能力』は必要であり、最もミスの多いスポーツであるサッカーは『チャレンジする力』をつけるにはもってこいのスポーツであると断言できます。
これら以外にも強いチームになるために一人一人が自律する『リーダーシップ』やサッカーの試合はさまざまな人が協力し成り立つものであることを当たり前ではないと考えることで『感謝の心』を育むことができます。
指導者はサッカーを通じてこれらの人間力が身につくことを理解した上で、将来的に社会で活躍する人材を輩出していくことを使命として日々接していく必要があると思います。