齋藤崇史短編②
若手弁護士の佐藤翔は、都内の小さな法律事務所に勤務していた。ある日、彼のもとに一件の事件が舞い込んできた。依頼人は田中健一という名の青年で、強盗と傷害の容疑で逮捕されていた。
「どうして私が選ばれたんですか?」と翔は尋ねた。依頼人の母親である田中美智子は、涙ながらに答えた。
「翔先生、あなたが無実の人を救うために全力を尽くすと聞いたからです。息子は無実です。どうか、信じてください。」
翔は美智子の訴えを受け、早速調査を始めた。
田中健一が逮捕されたのは、被害者が彼を犯人と指名したためだった。しかし、翔は現場の防犯カメラの映像を確認し、疑念を抱いた。映像には犯人の姿が映っていたが、その背格好や動きは健一とは明らかに異なっていた。
さらに、事件当日の健一のアリバイを証明する証拠も見つかった。彼は友人と一緒にバーにいたという証言と、それを裏付ける防犯カメラの映像があったのだ。
翔はこれらの証拠をもとに、健一の無実を証明するために奔走した。
翔はさらに調査を進める中で、被害者が実は違法な取引に関与していたことを突き止めた。その取引が原因で、被害者は他の人物から狙われていた可能性が高かった。そして、その人物こそが真犯人である可能性が浮上した。
翔は証拠を集め、真犯人の居場所を突き止めた。彼は警察と連携し、真犯人を逮捕することに成功した。取り調べの結果、真犯人は犯行を自白し、健一の無実が証明された。
裁判の日、翔は確信を持って弁護に立ち、健一の無実を証明する証拠を提出した。判事は全ての証拠を慎重に検討し、最終的に健一に対する全ての容疑を晴らす判決を下した。
健一と美智子は涙ながらに翔に感謝の言葉を伝えた。
「翔先生、本当にありがとうございました。あなたのおかげで息子は自由になれました。」
翔は微笑みながら答えた。
「これが私の仕事です。そして、正義が勝つことを信じています。」