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TRPGの話:小鴨知歌~コンセプト編~

前回の記事は読まなくても読めます。

話のおさらい
・DoAでデスゲームをやります
・小鴨チカというやつです
・すごいセッションでした
・こんな話……って説明してたら長くなりすぎて前回の記事が終わりました

今回は、小鴨チカという人間がどのような流れで生まれたかを話します。
脳内でふわっとしてたことを言語化しておきたいというのがある。特に今回は初の多人数参加型PvPという特殊な状況ならではの気を使った点などがあるっぽい。無知の自分へ語り掛ける知の自分ふうな口調で話が進んでいくので、全体的に若干えらそうな文体になる。たぶん書きながら痒くなってくるので「ガンバレー」「エライネー」「ダイジョブダヨー」「イイコイイコ」「セノビシテルネー」などと声をかけながら読み進めてあげてほしい。

決まっていること、決まっていないこと

やりたいことを固めた結果、

・噛ませを先にやってから殺す
・その穴埋めに補充される人員

ということまでは決まっていた。そう、ヨハン様の代わりになる奴です。
ちなみにこの時点ではヨハンマキナはまだ生まれていない。
じゃあ巻き込まれた感じのざこな振る舞いしたいな!と言う私。
観客として招かれ、そのまま招待状が変化する→ステージに立たされる!という流れは水面さんご提案。
そう、あのヨハン様が死んで観客が現れるまでのくだり、外側の演出は全部みなもさんです。私は観客席でシルエットでガヤいれるモブを事前にちょっと入れたいなと言っただけ!みなもさんはダミーの質問票まで用意してくれたんだぜ!

調子こいてイキり散らしてサイコロステーキ先輩にされる見せしめ担当!
その時、それを見ていた観客の招待状に変化が!
「いやだーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」

あっ、だいたい性格も決まったね、決まりました!
「ただのモブだったが突如指名され救世主となった」だと「異世界人=救世主」の法則からの抜け穴が思いつかないから無しかな。たぶん救世主として観戦していたことになりますよね。とはいえある程度ナメた態度、低い情報解像度、物見遊山気分、みたいなイメージはあると楽しそう。
…となると呼ばれたばかりのへっぽこ救世主、まだこの世界のことをほとんど知らない、殺したこともない、というかここに来たばっか?的な。

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この時点では髪の毛がちょっとモフモフしている。
ともあれイメージラフ誕生。あとはライブ感で突っ走るだけ!

ノリで決まって後は流れ、ロールは手癖でいくぜ!という感じ。
適当に決めた感満載で、ラフな雰囲気を前面に出していきました。

……とはいえ一応、もうちょっと考えてはいたんですよ!!!
以後、水面下のバタ足の話をします。
今の話をスローモーションで、もう一度巻き戻すよ。

そもそも、どうなのよ。

色々などうなのよがあります。

・今の話で現代舞台にする必然性は?
・設定浅くねえ?
・ノリで突っ走った事への言い訳をしてみろよ
・ザコロールは趣味?
・事前にどこまで想定してた?

説明します。
現代舞台と設定の浅さ、ライブ感はすべて意図的なものでした。
ウッソだぁ~。
ホントホント。一応話だけでも聞いてって。

人は、他人の設定に興味がない

小鴨チカのコンセプトの一番太い根っこはこれ。今回に限らず、だいたいいつもこれです。
今回の顔ぶれ的にはそうでもない人の集いな予感はしてはいるんですが、とはいえせつこは「あらゆる他人の設定に興味を持てる聖人」の実在に懐疑的。そのうえ初対面率がかなり高く、参加者の半数とは事前の接点ほぼなし。なのでこの前提から動くようにしています。
定期更新ゲームだと、自分に興味ある人が自分のアレを追いかけるだけなので、わりと好き放題に自分のワールドが展開できる。ところがPvPのTRPG、しかも相手の心を見ながらそれをつっつくゲームの場合、設定を凝ると同卓に学習を強いることになってしまう。興味がないと苦行だ。そのうえ主人公は16人いる。それぞれが自分の設定にしか興味がなく相手を把握できないとこれはもうセッションが成り立たないのだけど、とはいえこの状況で実際に相手を把握するのは実はかなり高カロリーな作業なので、自分は相手の設定になるべく合わせつつ、相手はこちらに興味がなくてもなるべく成り立つようにする、という歩み寄りのバランスを取りたかった。

セッションにおける設定の展開方法はざっくり分けると

①本編に関わる情報として展開する
②知る必要のない情報にする

の2つ。

どちらにせよマジの無設定で挑むとやけどをするので、②はどんなキャラでも仕込むことになる。家族構成だとか、趣味だとか、身長体重だとか、好きなタイプだとか。
それとは別に①。おもにハンドアウトが存在するセッションで必要なもの。
本編のシナリオを活かすためにPLがあれこれ工夫して設定を合わせる部分。GMやPLに拾う義務が生じてくる類の情報。

今回は16人全員が主人公。全員を覚えなければならない。設定は自由型。周囲はきっと設定を練ってくる。ワールド型のコンテンツはもちろん見たいので、それと共存しやすいキャラクターでいこう。
なら①は極めて簡潔だと読み手に親切なはず。元々のキャラコンセプトをモブに寄せているので、なるべく常識的に、なるべくリアクション寄りに、なるべく他を引き立てる形に。

・出身:現代の日本
・素性:一般人(人格形成に影響を与えるような特殊な過去は持たない)
・目的:巻き込まれたので帰りたい

この上なくシンプル。あらすじを読む必要もなし。
デスゲームを引き立てるのは群像劇。ならば個性を出すのは世界ではなく振る舞いの方。事前に参加を嫌がるキャラクターが被っていないことを確認し、この設定を投下。デスゲームにおける振る舞い方は「デスゲームに巻き込まれたことに動揺しながらも参加する、デスゲームの勝手を分かっていない弱い一般人」の枠。

そこから先の展望は、あえて薄めに。何が起こるかはわからないけど、確実に何かは起こるので、あまりレールをかっちり引かずに、起こったことに柔軟なリアクションが取れるキャラクターにしよう。
キャンペーンにおいて老成しているキャラクターはシナリオの影響を受けにくいので難しい。一人ぐらいは居た方がいいのだが、こちらはリアクション担当なので素直に未熟な者をチョイス。
勝ち進んだときのことも考えておきたい。ギミックは噛ませ役(後のヨハン)が死ぬとネタ切れになる。
未熟な者が勝ち進めば必然的に成長の物語になるだろう。
悪堕ちして救世主の心に染まり切ってしまうのか。それとも相方と親しくなるかな。あるいは他の救世主の影響を受けるだろうか。思いついた順、一番上が悪堕ちなのが不穏。だって勝ち抜いたら覚悟ガンギマリになりそうじゃないですか……。

目標も極力シンプルに。生存という極めて共感しやすい目標をメインに据えることで、心が読みやすいキャラクターにしよう。いっそ心を隠さずに内心を描いてしまってもいい。極論、一人称視点でもいいぐらいだ。(この極論は後に完全に勢いで採用されることになる)
目的のノイズは極力減らす。優勝して生き残ること自体が目的なので、願いすらふわっとさせておく。たぶん帰還を願うだろう。途中で何かしらの影響を受ければ、違うことを願うかもしれない。それぐらいの塩梅でいい。あとはコントロールだ。
生存を願う程度には人生が満たされていて、帰還を願う程度には元の世界に愛着がある。その目的を曲げてもいいと思うような事が起こるとしたら、それは余程の事だ。

改めて、このデスゲームへの向き合い方を考える。デスゲームそのものにも反応が必要だ。参加を嫌がるキャラクターが他に居ないのなら、自分は思いっきり世界観に対してアンチの立ち位置を貫こう。人を殺して願いを叶えようとする参加者たちの行為は常識的に考えてイカレているので、他の参加者の狂気を客観的に浮き彫りにする立ち位置だ。同時に自分も同じ立場にいるという葛藤を味わうこともできる。

……とはいえ、これを素直にやるとひどく湿っぽい。じめじめとしたロールをずっと続けているのは嫌なので、なるべくコミカルなキャラクターにしてサクサクと話を進めていきたい。それでもたぶん湿っぽくはなっちゃうので、それぐらいがきっとちょうどいいだろう。

うん、だいたいの動かし方は決まった気がする!
キャラを動かしつつ、勝手に動きすぎないように手綱を握る。
あとはこの名もなきモブ少年を調教するだけ!

あとは設定を作りこむ

さっき設定薄めにしたって言ってませんでした?
いや言いましたけど、違うんですよ。狂ってない視点をやるとしても、世界観的に、必ず狂わなきゃいけないんですよ。
さっきはああ言ったけど、むしろ他人の設定ほじりはこのゲームの醍醐味なんです。設定を軽量化するまではいいけど、空白にしてしまうと、このゲームにおける必要事項である「心の疵」という弱点が存在しなくなってしまう。
なので、設定を作りこみます。ワールドではなく、ペルソナの方を。
名もなきモブ少年に空気感を持たせるために、もうちょっと人間性を掘り下げていく。

・一般人少年
・現代の都会っ子
・オタク
・気が弱い、体も弱い
・見た目もガリガリのチビで、見るからに弱そう
・若干性格に問題がある(心の疵)
・チュートリアルで猟奇やりたいな。相方は愛だし才覚にするか

ふんわりと方向性を定めていく。
もうちょっと解像度が欲しいですね。

・17歳、高校生男子。偏差値は中程度
・時期は現代、つまり2020年冬
・生まれも育ちも東京
・父は上場企業の重役で、経済的には恵まれている
・家族仲は険悪ではないが、放任主義の家庭に育てられ、寂しさを常に抱えている。もはやその寂しさの発散を求める先は家族にはない
・子供のころは書道の習い事をしていたので字が上手い。ヴァイオリンとダンスもやっていた。
・オタク。分野はゲーム、アニメ、漫画。
 コスプレに興味はあるが明るくない。
 ツイッターでイラスト、自撮り、ゲーム、歌配信などをやる。
・エロコンテンツ大好き。
 自室にAVとエロゲーとアダルトグッズの山がある。
・ゲームは元々好きだけど、本格的にオタクへ目覚めるキッカケとなったのは小学校中学年ごろに偶然拾ったエロマンガ。精通。
・一人でこっそり全年齢漫画のエロコラを量産したり、インターネットの海で日夜エロコンテンツを漁ったりする。
・同時並行で、女の子に告白して振られたり、女の子を追っかけまわして問題になったり、女の子に恥ずかしいポエム送ったりする。女子からはブラックリスト認定。
・このあたりで無害ぶることを覚える。
・中学生になり、生産をすると承認欲求が満たされることに気付く。絵を初めて、知り合ったオタ友の女子にV系ライブに誘われる。ビビリつつ、ついていってハマる。ファッションとロックに目覚める。ピアスを開けたり髪染めたりし始めて、仲良くなる。告白したら彼氏持ちだったと判明。
・髪型や髪色を冒険してみたり、穴をあけてみたり、高いブランドの服を買ったりと、ファッションにどんどんハマっていく。
同年代男子と比べても明らかに詳しい自分、一般人らしい趣味で人より一歩リードできたことに優越感を覚える。同時に、着飾っていると少しだけ強くなれたように錯覚できた。
・学校では黒髪のウィッグをつけて、耳元を隠してメガネをかけている。
・承認欲求と性欲が膨らんでいく。モテたい。もっとモテたい。自撮り裏垢を展開してフォロワーを稼いで両方の欲求を同時に満たす。
・全てが食えるわけではない。男子は対象外だったり、ゴアは苦手だったりする。グロモチーフ自体は好きなのですごく複雑。
・好きなのは、自分のM欲、とくにみっともないところや無力感を浮き彫りにされること。言葉責めや寝取られ、逆レイプ、射精管理など。自分が弱い人生で、振り回される経験が多かったことから自然とそうなった。
・弱くて人畜無害そうで、リアクションが得意。いじられ体質として進化していった。
・Mっけを満たすため、どんどん自分の恥をさらしていく。世界には気付けば尊厳の負債が積み上げられていった。
・喧嘩はひどく苦手。デスゲームどころか、取っ組み合いすらもできない。
・ゲームは得意。攻略ガチ勢。

こんなもんか。心の疵は「恐怖心」そして「女性恐怖症」。
おそらく他の救世主と比べると、かなりインパクトに欠けるはず。
異常というほどの異常ではない。初戦で負ければただのモブ。
もし勝ち進めば……ようやくそこから、この異常が、あるいは別の異常が育まれていくんだと思われる。
才覚型ではあるけど、あまり賢いわけではない。勉強は苦手だし、知識は一般人。理論武装は好むけど、だからって達観してるわけでもない。人の心にはむしろ疎い方。相手が狂人ならなおさらだ。かわりに、興味あるものには集中力を発揮する。相方に興味を持てば、きっと相方には鋭くなるだろう。

最後まで勝ち進んで強キャラの振る舞いをしないのは逆に敗退者に失礼なので、強くする要素を積んでおく。影響を受けやすい性格と、ゲーム攻略ガチ勢という小さな小さな強み。

負けたら勝者に、あるいはこのトーナメントに呪詛を残して死んでいく。
アンチ世界だ。まあさすがに優勝することはないだろうし!

そのあとの組み立てはもう本当にライブ感だ。
話は頑張ってまとめるぞ。頑張れ、未来の自分。

余談

ザコのクソガキやるとき、口を笑わしてしまう癖がある。

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ヰル:Will-o'-the-Witch (IkkiFantasy)

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正木沙生:Sunao Masaki (KILLDEATH BUSINESS)

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イルヴィア・ダーヤニ:Illvia Dayani (Pathfinder : Carrion Hill)

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切花鎌花:Renka Kiribana (SHINOBIGAMI : 紅い桜)

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ルオ・シェンティン:Luo Shaen-Tin (言の葉の樹の下で)

みんな笑ってる……
極度の緊張とかでフヘヘ……ってなっちゃうアレだ。

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まるがりーた・こうさくだいすき:Margarita Lovecraft (ソレナリの冒険録)

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刻晶霊無:Renata Florescu (Kamigakari : 終末クロックワイズ)

ならないやつは珍しいので、あんまり笑わせないようにした。
すごい気弱そうな顔になったので、かわりに口を悪くした。

その後

こんなはずじゃ…………。

反省点は、視点が小さくまとまりすぎたため、エンディングで願いを叶えるところまで行ったときにチカマキだけの話で終わってしまいかねなかったところ。
トイティモが強い流れで物語に引きずり込んでくれて事なきを得た。真実感謝。

人生には色んな「こんなはずじゃ……」があります。
きっと8号室以外も自分の部屋で、それぞれ思い思いの「こんなはずじゃ……」があったはず。

さあ、みんなで叫ぼう!

こんなはずじゃなかった~~~~~!!!!!!!!!!!




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