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去り行くストロングスタイルのフェリー

まあフェリーOtaku歴浅い人間が言うても説得力は低いんですよな


フェリーはカジュアルクルーズの時代

 最近フェリーOtakuになってから、歴史やら含めて様々調べている。コストでのLCCとの拮抗や、個の空間を求める時代の流れなど、フェリーを取り巻く環境の中で、しっかりと生き残りを図っている会社はカジュアルクルーズ路線を取っていることはある程度理解しているつもりである。

 2024年問題もあって、フェリーに対してはある程度追い風の面も言われているが、RoRo船を含めても新規航路が劇的に増えているわけではない。これは船を運行する人の問題もあるのだろうが、まあ複合的な色々な要因よねって。そもそもいきなり航路を増やすなんてのは簡単ではない。

 そんなこんなが色々と渦巻く中で、新たに就航するのがさんふらわあ太平洋航路の深夜便、さんふらわあ かむい  さんふらわあ ぴりか、の2隻だ。

 そして、新規に就航する船があるということは、退役する船もある。それがさんふらわあ しれとこ さんふらわあ だいせつである。そしてさんふらわあだいせつが、まず2025年1月19日発の苫小牧発大洗行で退役となる。

フェリー再編の時代を経験した船

 さんふらわあ しれとこ さんふらわあ だいせつ、両方とも元の船名は異なる。ニューれいんぼうべるとニューれいんぼうらぶだ。九越フェリー、東日本フェリーでの名前であり、2000年代前半のフェリー会社淘汰の時代を経て現在所属会社、船名に至っている。

 古い時代の船ということであり、カジュアルクルーズの時代にはアンマッチな船内であることは、船室紹介からも容易に想像ができる。ということで、乗れるうちに乗っておこうと行動を起こすとした。

さんふらわあ深夜便に乗る

 船に乗ったのは2024年の11月である。引退直前は混むことを想定していたので、行動は早くしようという判断である。また、基本は4人部屋なので、混む前だったら4人部屋を独占で使えるかな?って魂胆もあった。

したから!
3連フェリー
とまチョップの由来を知る
深夜便の時間はターミナルも混んでいない

 深夜便はAM1時半発だが、集合は22時半。公共交通機関での移動を考えれば、22時半でも何の問題も無い。

深夜の静寂なターミナル
受付のさんふらわあ
苫小牧名物とも言えるフェリーの出発案内

 乗船時間となり、船へ向かう。早く乗る分、船で過ごす時間が多いとも言えるので、船が目的の人には旅を楽しむという点では有りかもしれない。

クラシカルな船内へのアプローチ
深夜の船はかっこいい

クラシカルな船内のよさ

 乗ってから出航まで、かなりの時間がある。その間に船内観光(?)やら宴会だ。

クラシカルな通路
クラシカルな4人部屋
クラシカルなベッド

 お別れ乗船ラッシュ前に4人部屋独占!を魂胆として24年11月に乗船したが、この日は最終的に4つのベッドは全部埋まった。皆同じ魂胆だったようだ。仕方ないね♂。でも最後に多くの人が船を楽しめたのならそれはそれでOK!ってやつでしょう。

 パブリックスペースも、クラシカルな感じがとてもよい。コンパクトさも感じ、大型船だが人の空間はある程度限られているこのバランスがなんとも良さを感じる。

元食堂のフリースペース
年季の入り方がよい
くつろぎの場としては十分な広さ

 このフリースペースで早速宴会。北海道発なので、酒もつまみもセコマで調達である。ちなみにさんふらわあはセコマの物流も支えており、セコマとさんふらわあの相性は抜群なのである。

セコマ尽くしの夜

 そんなこんなでいざ出航。結構呑んじゃったから、起きているのが大変だったね。

GoToオーシャン

深夜便とは、昼行便である

 翌朝、起きてから延々と洋上の時間が続いていく。深夜便という名前であれど、実態は昼行便なのである。昼の太平洋を満喫できるこの感じ、まさに東京九州フェリーにも近いと言える。

Bluesky
大海原をいく
だいせつとのすれ違い

 実質昼行便であることから、昼間の船内を思い思いに皆過ごすのがこの船の楽しみ方だ。

船首のラウンジは常に人がいた
フリースペースのさんふらわあ
雄大な海を楽しむ
デッキの椅子は、夏用?
怖い!

 途中、太平洋フェリーとも並走する。太平洋航路の醍醐味だろうか。

かすかに見える、太平洋フェリーきそ

 実質昼行便であることを利用した、バードウォッチングツアーなども開催されることがあるようだ、中々考えた施策である。

うまいこと考えられたツアー

 そんなこんなで、あっという間に夜の時間へ。昼の海を最大限楽しめるのが、深夜便の良さだ。そして何も娯楽がないことが、自分の時間へと集中させてくれる。

夕暮れの海
ガルパンくん!が船内にも

旅の終わりに思う、何が旅情を生むか

 日もすっかり暮れた後、船は定刻通りに大洗へ。流石のガルパンシティ。また、深夜便は旅客をあまり想定していないのか、到着後にタクシーを求める人が多数いた。これは船が引退間際故の旅客の多さからなのかもしれない。

しれとこよ、あれが大洗の灯だ
運休日だったため、夕方便が休んでいた
ガルパンシティくん!
ターミナル

 一緒に降りてきた人の中には、フェリーOTAKUだけでなく、夕方便のカジュアルクルーズをイメージして乗ったと思しき人たちもいた。この内装、この快適設備だと、夕方便との落差が大きいだろうから、時間だけ見て深夜便に乗ってしまった人は少々空振りの感覚があったのかもしれない。

 他方、「旅情」という点では、絶対に夕方便では味わえないものがあった。それは「さびれた感じ」が、旅情を感じさせてくれたのかもしれない。また、ふんだんにある時間に対して、インプットされる刺激が自然の厳しさが中心だったからかもしれない。そもそもこの「旅情」も主観であり、夕方便の賑わいのほうが旅情があるという人も多数であろう。

 旅行に何を求め、それにマッチした経験ができるか、が旅情なのだろうな、とは感じる。また古き船にこそ旅情を感じる人も多いだろうが、他方新たに就航するかむい・ぴりかだからこそもたらされる旅情もあり、夕方便とのレベル感の差を考えれば、さんふらわあというブランドから深夜便にも求められる旅情は間違いなく後者だろうかな、などと思いつつ、大洗駅への帰路を歩きながらガルパンを眺めて旅を締めくくるのであった。

ガルパン駅
申し訳程度の船要素
車内もガルパン
ひたちの車内もガルパンだった


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