帰国子女が海外大学至上主義に物申す
こんにちは!
最近アルバイトをしている家庭教師の会社から、
「日本在住のIBプログラムがある高校に在籍中の高校生。海外大進学を目指しているのでSATの指導をお願いしたい。」
「親の駐在で海外在住の高校生。そのまま現地の大学に進学を希望するため、志望理由書の添削を依頼したい。」
などの依頼を受けることが増えてきました。
確かに、この先日本は衰退していくばかりで、なるべく早く海外に脱出した方が良いと言われていますし、英語力と経済力がある人にとって海外大への進学は今まで以上に魅力的ですよね。
海外大学に進学すべきか、特に帰国子女や海外在住の日本人学生は大変頭を悩ますポイントだと思います。答えはないのですが、今回はアメリカに8年間滞在したのち日本の国立大学に進学した筆者が考えていることを書いてみます。
ちなみに筆者の自己紹介ですが、
アメリカに8年間住んでいた海外かぶれ女子です。
高校卒業時は日本語よりも英語の方が得意で、日本に帰りたいという意志はゼロでした。
そんな筆者ですが、
現地の国籍や永住権、もしくは相当な経済力がない限り、むやみに海外大学に進学することはおすすめできません。
その理由を説明しますね。
その前に前提として、今回はアメリカの大学の考えています。また、筆者は日本の大学に進学したのですが、アメリカの大学に出願した経験や、アメリカの大学に進学した日本人の友達から聞いた話を参考にしています。
1.アジア人として名門大学に入学することは鬼門
ご存じの方も多いと思いますが、アメリカの大学ではAffirmative Actionと言って、今まで人種差別を受けてきた黒人やヒスパニックの学生、「First Generation Student(家族の中で初めて大学に行く学生)」を優遇する傾向があります。また、ダイバーシティを確保するために、学年の何%をアジア人の学生にするかあらかじめ決めている場合が多いです。したがって、日本人の学生は、恵まれた環境で育ち最高峰の教育を受けてきた優秀なアジア人の学生と「アジア人枠」を取り合うことになるのです。筆者もSAT(大学進学テスト)で1530/1600点を取得し、全米上位1%の成績を残したのですが、このような点数はアジア人学生の間では一般的で、Ivy Leagueのような名門校には手が届きませんでした。
2.授業料と寮費の高さが異常
アメリカ国籍か永住権を持っていない場合、アメリカの大学の授業料と寮費は合わせると州立大学でも1年間で500万円、私立大学だと1000万円近くかかります。「アメリカの大学では返済不要の奨学金をもらいやすいんでしょ」という人が多いですが、基本的にアメリカ国籍/永住権を保持していない場合はもらえません。例外として小さい私立の大学だったりすると、優秀な学生はCitizenshipステータスに関係なく奨学金がもらえたりします。しかしそのような大学はかなりレベルが低かったり、アメリカ国内でも無名だったりするので、必ずしもおすすめはできません。
3.入学後も現地の学生との格差が激しい
永住権を持っていない日本人の学生はInternational Studentとしての扱いを受けるので、基本的にアルバイトやインターンシップには参加できません。一応大学校内の最低時給以下のアルバイトを行うことや給料手渡しの日本料理屋で働くことはできます。しかしアメリカの就職活動では、インターンシップから直接雇用されることがほとんどなので、インターンシップに参加できないことは就職活動に支障が出ます。
4. 現地就職は難しいため、結局日本で就職する人が多い
基本的に永住権を持っていない日本人学生がアメリカで現地就職をすることは難しいです。理由は二つあります。一つ目の理由はビザをスポンサーしてくれる企業がほとんどないことです。ビサの手続きは企業にとっても負担であるため、現地の学生よりもずば抜けて優秀でない限り、わざわざ日本人の学生を雇用しません。二つ目の理由は、アメリカでの就職活動に不可欠になるコネクションを日本人の学生は持っていないことが多いことです。アメリカでは日本のように一斉に就職活動が始まるのではなく、インターンシップでのつながりや親のコネで選考が進むことが多いです。実際にアメリカに住む私の友人も父親の会社の取引先に就職したり、夏休み中にインターンをした企業に就職したりしています。コネがない日本人の学生にとって現地就職のハードルはさらに上がり、結局ボストン・キャリア・フォーラムなどで日本勤務のポジションで採用される人が多いです。
大学進学を考えるときは長期的な目線で
今回はあまり語られることのない海外大学進学のネガティブな側面について書きましたが、それでも「海外大進学を諦められない」、「日本に帰国するのが嫌だ」という方もいますよね。筆者も日本が当時は日本の教育が嫌いすぎて相当もがきました笑
しかし今となっては日本の大学を選んで良かったと思います。ビザやお金の心配をせずに、のびのびと学生生活を過ごせました。
日本の大学にも英語プログラムやダブルディグリープログラムなどが設置されていますし、日本の大学に進学してもグローバルな環境に身を置く機会はたくさんあると思います。
この記事が、読者の皆さんにとって最適な進路は何か考えるきっかけになれば嬉しいです。May good luck be with you whichever path you choose :)