【参加レポート】Customer Success Cafe ~SaaS事業の成長を支える「サクセス・イネーブルメント」~
こんにちは、favyのしげさんです。
先週はインサイドセールスのカンファレンスでしたが、今日はカスタマーサクセスのセミナーに来ています。
色んな情報インプットして40代の頭はパンクしそうですが頑張ります(笑)
テーマは「サクセス・イネーブルメント」。
「セールスイネーブルメント」から引用し、カスタマーサクセスのための仕組み作りを考えよう、という内容でした。
4社の方々が登壇し、その後はパネルディスカッションという形式のセミナーです。
Sansanでオンボーディングの都市伝説を検証してみたよ
Sansan株式会社:山田 ひさのりさん
タイトルもキャッチーでしたが、内容も本当に面白かったです。
個人的にも一番興味深い内容でしたので、レポも一番長くなっちゃいました。
タイトルにあった都市伝説とは【オンボーディングの失敗はチャーンレートに直結する】というもの。
Sansanの検証結果はこうでした。
【オンボーディング成功した顧客のチャーンレートは8%・失敗した顧客のチャーンレートは10%】
この2ポイントの差を小さいと捉えるか大きいと捉えるかは各社の実績によるとは思いますが、山田さんとしては「小さい」と捉えたようです。
では、オンボーディングの失敗とヘルススコアは相関関係があるのか?
Sansanではヘルススコアを「Deployment」「Engagement」「Adoption」「ROI」の4つで見ていて、その中にそれぞれ2〜4つの要素に分けているそうです。
その中からタッチモデルなどに影響を受けない5要素のスコアを、オンボーディングの結果と照らし合わせた結果が以下の通りだったとの事。
ちょっと写真が荒くてみにくいですが、約2倍近い差があったそうです。
つまり、【オンボーディングの失敗はヘルススコアには影響する】という事がデータからわかりました。
では、チャーンに直結する要因は何なのか?
【利用年数(LTVではなく)×ヘルススコア×チャーンレート】で分析した結果がこちらです。
・継続でもチャーンでも利用年数に応じてヘルススコアは上がる傾向
・平均的にチャーン案件のヘルススコアは継続案件よりも低い
・中でも「名刺消化率」はチャーン案件のスコアが著しく低い
→つまりこの項目がチャーンに影響してる!
<結論>
・オンボーディング失敗してもすぐにチャーンにはならないけどヘルススコアは低い
・ヘルススコアが低いまま数年経つと「名刺消化率」のスコアが低下してチャーンになる
つまり、どの要素がチャーンに影響するかを見極めることが大事。
<まとめ>
以前別のセミナーで他の企業の人は「オンボーディング結果によってチャーンは倍ぐらい違う」と言ってたので、プロダクト特性にもよるんだとは思いますし、それも一つの答えだと思います。
とは言え、「自社のプロダクトのチャーン要因がどこにあるのか?」を見極めて、そこに対して効果的な対策をするというのはすごく面白い考えだと感じました。
SaaSの顧客エンゲージメント
株式会社マネーフォワード:今井 義人さん
当社もお世話になってるマネーフォワードの取り組みについてのお話です。
一番興味深かったのは「プロダクトの特性上チャーンにはならないが不満はあるんじゃないか?」という観点です。
意思決定者と実際に使う人が異なり、使い道もそれぞれ違うのであれば、レイヤーによってエンゲージメントやロイヤリティは異なるはずなので、そのパターンによってどのレイヤーに対するアプローチをすべきか分けているという事でした。
これはサービスの販売側はもちろんですが、サービスの導入意思決定をする側の人も持っておくべき視点だなと。
せっかく導入したサービスが社内でちゃんと使われるように考えておく必要があるなと感じました。
導入時の目的別オンボーディングで顧客努力を軽減していきたい!
株式会社スマートドライブ:島 友美さん
目指すCS像の1つ目に挙げられていた「顧客努力を軽減する」を果たすため、導入目的のニーズを一覧化しているとの事でした。
そのニーズによってオンボーディング時に知りたい情報や知りたい順番が異なる一方で、ニーズが同じであればそれらはパターン化できるので、オンボーディングメールをこんな感じで設計しているそうです。
「欲しい情報を欲しい順番で(欲しいタイミングで)届ける」って、正にカスタマーサクセスの考え方の根幹ですよね。
このステップメールの考え方はfavyでも真似できそうだなと思いました。今はハイタッチメインでスタートしてますが、ステップメールも活用しないといけないフェーズが来ると思うので。
atama plusのCustomer Success:サービスの代替ではなく、ビジネスの変革を支援する
atama plus株式会社 共同創業者/取締役 中下 真さん
恥ずかしながら初めて聞くサービスだったのですが、すごく面白い事をやってらっしゃると思いました。
簡単に言うと、塾などでの授業のスタイルを【AIがteaching・人がcoaching】にするためのBtoBtoCプロダクトです。
販売先は学習塾ですが、直接的にサクセスするのはその向こうの生徒さんという、ステークホルダーが多いビジネスモデル。
これを導入することで、生徒の成績は上げやすくなるものの、「学習塾」という事業の様々な構造が変わってしまう事が2年近く模索して見えてきたそうです。
塾という形態でありながらAIが個別学習的な事もしてくれるので、授業のオペレーションはもちろん、学費の設定やカリキュラム、生徒募集方法なども大幅に見直す必要があり、話を聞いているとCSがやっていることはほぼコンサルでした。
「使い方を伝える」→「活用するためには事業の変革が必要」→「経営層を巻き込んで事業の形成をする」という、どんどん大きくなる話の規模にワクワクしました。
まとめ
今日のみなさんのお話を聞いて強く思ったのは「唯一絶対の正解はない」ということです。
プロダクトによってオンボーディングの成否がチャーンに影響するものもあれば、特定のヘルススコア項目が影響するものもある。
そもそもチャーンが発生しにくいようなプロダクトもある。
Sansanがたまたまオンボーディング成否とチャーンが直結しないタイプのプロダクトであったというだけで、favy含め他の会社が「オンボーディングとチャーンは関係ないんだ!」と思っちゃうのは違うよなと。
おそらく山田さんは何かのきっかけで「他の会社はオンボーディングがチャーンに影響するって言っているけど、ウチはどうやら違うっぽいよな」と気付いたから分析したんだろうと思います。
先日インサイドセールスのカンファレンスで色んな人が言っていた、「THE MODELは万能ではなく、自社に合ったやり方を見つけるべき」とも共通する部分があると感じました。
favyのカスタマーサクセスはまだ始まったばかり(そして私はまだ直接関わってない…)ですが、仮説と検証を繰り返しながら、顧客の成功にコミットできるチームになっていきたいと思います。
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