靴を勝手に洗うな@ベトナム&カンボジア
初めて友達と海外旅行に行ったのがベトナムとカンボジアだった。
2012年3月。
まずカンボジア(シェムリアップ)から入ってベトナム(ハノイ)に行くプラン。
当時はカンボジアへの直行便はなかったので、ハノイ乗り継ぎでシェムリアップへ。
シェムリアップの空港は小さくて、飛行機から直接降りて地面を歩くスタイルだったのだけど、それが初めてでびっくりした記憶がある。
当時は大学生でお金も持っていなかったので、小さなゲストハウスに泊まった。
トップの写真はゲストハウスにいたかわいいわんちゃん。このわんこはやる気がないときはモップのように地面に伏せていて、たまに本当にモップかと思ってしまうくらい。本能のままに生きている様子がとてもかわいかった。
旅のメイン、アンコールワットは本当に感動した。
言葉にするとうそっぽいけれど、なんというか人間が生きている根源?というか、神様が人間に生きていいんだよと言ってくれているような、なんとも言い難い不思議な感情を覚えて、15分ぐらいずーっとアンコールワットを見つめていた。
大体の観光客がアンコールワットに朝日が昇るところを見て、各種遺跡群をまわるツアーに参加していて、私たちも例に漏れずツアーガイドさんについてもらっていろいろな説明をしてもらった。
ガイドさんがいると、説明を聞けるのはもちろん、良い感じに写真を撮ってくれるのがありがたかった。(当時はiPhoneが広がり出したぐらいで、デジカメとiPhone半分ずつぐらいで写真を撮っていた。自撮りの概念もなかった…と思う)
そんなこんなで、遺跡群をみたり、ダンスショーを観ながら夜ご飯を食べたり、市場で値切りながら買い物をしたり、トゥクトゥクに乗ったり(世間知らずのわたしはiPhoneを後ろのポケットに入れたままトゥクトゥクに乗り、運転手のおじさんに本当に盗まれなくてよかったね…と呆れながら言われたりしていたが)旅はなかなか良い感じに進んでいた。
そして旅の後半はベトナム、ハノイ。
ハノイでも日本人のおじさんおばさんに混じってハロン湾クルーズに参加して、現地の人が売りつけてくる魚をおじさんたちに奢ってもらったり、木彫りの名前入りハンコをつくってもらったり、名前もわからないベトナム料理を食べたり、充実した日々を過ごした。
そして旅の最終日、謎の悲劇(?)が起きた。
ハノイの街中を散策していたところ、公園があったので写真を撮りながらふらふら散歩をしていた。
日中で人もまあまあいたので何の危機感もなく観光客感丸出しの日本人女子2人。
すると、ワゴンを引いたおじさんが声をかけてきた。なにを言っているかわからなかったけど、肩を脱いでみてということを言っているようだった。
もう最終日ということもあり、んん?と思いながらも靴を脱ぐわたし。忘れもしない、このときはミネトンカのモカシンを履いていた。友達はベルト付きのサンダルを履いていたので一旦様子見。
すると、おじさんは慣れた手つきで靴をブラシでこすって洗い始めた。
え?と思いながら、なんとも言えない空気が流れた。洗剤までつけてゴシゴシ洗っているので今無理矢理靴を返してもらっても困るな…ていうかモカシンってこんなに洗ってよかったんだっけ…私はぼんやりおじさんを見つめていた。
全て洗い流されて、綺麗になった左足の靴。
当たり前のようにおじさんはお金を請求してくる…が、わたしはこのおじさんに対して謎の対抗心が芽生え、絶対にお金は払わないという決意をしていた。
最初は意味不明な英語で、今日日本に帰るからもう現金を持っていないということを言い張ってみた。
当たり前だけどおじさんは引き下がらない。
5分ぐらい話して嫌になってきた私たちは日本語で相談しあって、走って逃げることにした。
広い公園の出口まで全速力で走る。
おじさんは結構なおじさんだったし、ワゴンがあったのでいくら女子とはいえ20歳の全速力には追いつけないだろうと思っていたけれど、それでも本気の本気を出して走って逃げた。
そのあとすぐに近くのカフェに入って、身を隠した。このとき、もしおじさんが拳銃でも持ってたら?周りの仲間に伝達して捕まったら?私たちはどうなるの?と走りながらもいろいろと考え、冷や汗をかいたけれどなんとかおじさんを振り切ったようだった。
おじさんにはこれを機に突然靴を洗い出すのはやめてほしいし、私も謎の人の言うことを素直に聞くのはやめようと心に誓った。
びっくりしたハプニングだったけれど、帰りの飛行機では意味不明な達成感をおぼえ、疲労でぐっすり眠ることができた。
終わりよければすべてよし!
これ以来東南アジアに行っていないので、今度はタイかシンガポールあたりに行ってみたいなあ。