VRChatで、複数人でダンスを撮影する方法
はじめに
オンラインゲームであるVRChatには、遅延がどうしても発生します。
2人以上で、同時に同じ動きをしようとすると、動き・音にズレが生じ、ダンスの価値が下がってしまいます。
現在のVRChatの環境では、ダンスを複数人で行うことに高いハードルがあります。
これをなんとかしてやろう!という記事です。
フレンドさんとダンスの動画を撮ってyoutube・TikTok等SNSにアップロードしたり、ダンスのイベントが増えたり、ダンスを教えるムーブメントまで生まれるきっかけになればいいなと思います。
概要
この記事では、
1.VRChat動画プレイヤーのオフセット機能を用いる方法
2.SYNCROOMを使用する方法
を紹介します。
実際にやってみた
①の方法を用いて作成されたVRダンス動画
②の方法を用いて作成されたVRダンス動画(ライブ配信アーカイブ)
方法① VRChat動画プレイヤーのオフセット機能を用いる方法
VRChatワールドに設置されている、動画プレイヤー内蔵のオフセット機能を用いて、出演者全員の動きのタイミングを前後にずらす事によって同時に動いているように見せる方法をご紹介します。
必要なもの
iwasync3 など、オフセット機能の実装されている動画プレイヤーの実装されているVRChatワールド
撮影手順
動画を撮影するには、撮影者と演者の二つの役割があります。
撮影者は動画を撮影しながらダンスを踊る人、演者は撮影は行わずダンスを踊ります。
1. 適当な動画を再生する
タイミング調整に使う音楽を再生します。撮影に使用する曲や、リズムがはっきりしている、ゆっくりとした音楽が最適です。
2. Extra Settingsパネルを開く
撮影者は、iwasync3プレイヤーの歯車パネルをクリックし、Extra Settingsパネルを表示します。
3. 演者の動きのタイミングを調整する
撮影者と演者は、音楽に合わせて手拍子をします。
撮影者は演者の手拍子のタイミングと音楽のリズムを合わせるために、iwasync3のOffsetを調整します。
目安は、撮影者:+0.6 演者:±0.0 です。
Uptown Funkの場合、前奏から大きなクラップが鳴っています。撮影者と演者は、この音に合わせて手を叩く動きをします。撮影者に聞こえるUptown Funkのクラップに、演者のクラップのタイミングを合わせます。全員の調整が完了すると、撮影者から見て全員の動きが音楽と一致するようになります。
4. ダンスを撮影する
音楽を再生し、踊りましょう!
撮影者はVRChatをキャプチャします。
全員、ワールドの音声を聞いて踊ります。しかし、動きは撮影者とも他の演者とも一致しないため、リズムをよく聞き、振り付け等を覚えて踊る必要があります。
これで、全員の動きと音楽がマッチした動画を撮影することができます。
注意
撮影時のping・FPS値等、環境によってオフセットの適切な値は変化します。
都度設定してください。
方法② SYNCROOMを用いて撮影する
SYNCROOM(シンクルーム)とはヤマハが提供している、リアルタイムに音楽セッションができる無料アプリです。
本来は楽器のオンラインセッション等に使用するサービスですが、低遅延な音声の受け渡しが可能なためVRChatでのダンスにも有効に機能します。
必要なもの
SYNCROOM
音声再生担当のユーザー(非ダンサーさんでも可)
撮影手順
1. SYNCROOMをインストールする
SYNCROOMを導入します。
公式サイトからインストーラーをダウンロードし、指示に従ってインストールを行ってください。
2. ルームを作成する/ルームに参加する
音声再生担当のユーザー(以下、音源)がルームを作成し、
演者のダンサーはルームに参加してください。
(音源に聞こえる音楽より、演者に聞こえる音楽のほうが遅れて聞こえるため)
3. 音楽を再生する
音源さんは、画面左中央のオーディオプレイヤータブから音楽ファイルを再生するか、仮想オーディオインタフェースをマイクとして認識させるなどして音楽を再生します。
音楽が聞こえるか、遅延はどの程度発生しているかを全員で確認しましょう。
数ミリ秒のズレが発生している場合、設定ウィンドウのバッファサイズ項目を変更することで改善される場合があります。
4. ダンスを撮影する
音源さんが画面キャプチャをすることが望ましいです!(音楽も録音できるとなおよし)
音源さんからみて、演者の動きが全員遅れて見える場合があるため、後ほど動画編集ソフトでズレを修正する必要があることがあります。
以上が、SYNCROOMを用いたVRダンス撮影の手順となります。
各方法のメリット・デメリット
1のメリット👍
ソフトウェアのインストールが不要
複雑な操作が不要
踊る人のみで撮影が完結する
1のデメリット👎
動画プレイヤーがあるワールドでの撮影が必須
リズム感・振付けの理解 等のダンススキルが必要
2のメリット👍
どんなワールドでも撮影が可能
ダンサー間の音声遅延が少なくなるため、リズム感等ダンススキルは要求されない
2のデメリット👎
ソフトウェアインストールを含む環境の構築が必要
操作が少し複雑
踊る人以外に、追加で音源再生担当を一人呼ぶ必要がある
おわりに
13さん、のりおさん、CROWKのWisKさん・CROTCHETさん
動作確認に協力してくださった方々のおかげで、この記事や技術を作成することができました。この場を借りて、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。