トランプ氏は台湾の国防費をGDPの10%まで引き上げるよう求めていますが、それは可能でしょうか?
9月30日、ワシントン・ポストのコラムニスト、マーク・ティーセン氏は「トランプ氏が抑止力と(本当の)合法移民を再び偉大にしたいと考えている」というタイトルの記事を発表しました。その中で、2024年の米大統領選共和党候補である前大統領ドナルド・トランプ氏がインタビューで、彼が大統領であれば中国が台湾に侵攻することは許さないと述べたことに触れています。しかし、トランプ氏は中国政府が最終的には台湾に対して武力行使をするだろうと考えています。
インタビューでトランプ氏は、「台湾の状況は非常に困難だ。アメリカから9,000マイルも離れていることを忘れるな。一方、台湾は中国からわずか100マイルしか離れていない」と述べました。彼は台湾の指導者に、今後4年間で国防投資を大幅に増やすことを望んでいます。私は台湾が現在GDPの2.6%を国防に費やしており、これはNATO加盟国のほとんどを上回っていることを指摘しました。しかしトランプ氏は、台湾の国防費はGDPの10%にするべきだと主張しました。
しかし、それは現実的に可能でしょうか? まず、過去5年間の台湾の国防費の推移を見てみましょう。2020年、国防予算は3,512億台湾ドルで、GDPの約2.3%に相当します。2021年には3,617億台湾ドルで、GDPの約2.1%。2022年には3,676億台湾ドル、GDPの約2.1%。2023年には4,151億台湾ドルで、GDPの約2.4%に増加しました。そして2024年には、国防予算は4,674億台湾ドルに達し、GDPの約2.5%になります。全体的に見て、2020年から2022年までの国防費の増加は緩やかで、年間の増加率は1〜3%にとどまっていました。しかし、2023年には前年度比で約12.9%の大幅な増加が見られ、これは主に中国の軍事活動の活発化や無人機などの新型兵器システムへの投資の増加に対応するためでした。2024年の国防予算も2023年から約12.6%の大幅な増加が見込まれています。また、2025年には国防費をさらに6,470億台湾ドルまで引き上げ、GDP比で約2.45%に達する予定です。
さて、トランプ氏は台湾に対して国防費をGDPの10%まで引き上げるよう求めていますが、世界でそれを実現している国はあるのでしょうか? CIAのThe World Factbookの最新データによると、世界で唯一、軍事費がGDPの10%に達している国は、東アフリカのエリトリアだけです(2019年推計)。他にも軍事費が10%に近い国はありますが、その基準に達している国はありません。例えば、アルジェリアは約9%(2023年推計)、サウジアラビアは約7%(2023年推計)です。
現在戦争中の国、イスラエルですら軍事費はGDPの4.5%に過ぎず、ウクライナもGDPの4%を軍事費に充てています。トランプ氏に問いたいのは、台湾の国防費をGDPの10%まで引き上げるよう求める根拠は一体どこにあるのでしょうか? トランプ氏は、世界で唯一軍事費がGDPの10%に達しているエリトリアが、1993年の独立以来、イサイアス・アフェウェルキ大統領の独裁体制下にあり、2001年以降、強制的な国家奉仕制度を導入し、エリトリアを高度に軍事化された社会に変えたことを理解しているのでしょうか。この制度は、軍事奉仕と民間奉仕に分かれ、奉仕期間は無期限で、広く国民の不満を招いています。
トランプ氏の論理に従うならば、台湾をエリトリアのような恐怖の国にすることを目指しているのでしょうか?