バカエモ旅降臨の日
先日、友人に誘われ謎の学生団体のプレゼンに参加してきた。
自分としてはその時間は人生でトップ5に入るくらいには意義のない時間であった。そして肝心の友人はプレゼンテータ―に謎のルサンチマンを爆発させ、瀕死の重傷というありさまであった。
何故往復1000円以上の交通費をかけて、こんな苦行を実行してしまったのかを考えることは生涯の課題としたいところである。
そんなこともあり反省会として大学近くの行きつけ?のバーに滑り込んだ。そこで自分と友人はピザをつまみに反省会(という名の愚痴の言いあい)を始めた。ピザも自分たちを憐れんでか、いつもと違う生地だった。うまい。
そんなこんなで話をしている中で話題は「夏休みどうするか?」という話に変わった。
あいにく自分も友人も「彼女」という未知との遭遇を果たしていない。また多くの友人たちは研究室か社会での強制労働を義務づけられている。
就活終了浪人文系の自分と友人は予定のない夏休みに脅えていたのであった。
「青春18の旅をしてみてえな~」などと夏休みのことを話しているうちに自分はあることを思い出した。「ルーツ辿りの旅」である。自分はかなり珍しい名字である。初見でその名字を正しく読んでもらったことがなく、親戚以外で同じ名字にあったことがないほどの名字である。そして祖父母が鹿児島出身であるからルーツが鹿児島にあることが分かっている。またあまりにも数が少ないので鹿児島のどの地域がルーツなのかも一目瞭然であった。
自分としては社会に出る前に是非とも一度その故地を訪れ、遠縁でもそうでなくても親戚以外の「〇〇」さんと会ってみたいと考えていたのである。
という話を友人にしたところ、その友人はこんなことを言い出した。
「そんなんもうドキュメンタリーやん。」
一瞬何を言っているか分からなかったが、このルーツを辿る旅はジャーナリズム溢れる友人の琴線に触れたらしい。そしてこんなことも言い出した。
「僕もついていくわ。」
そして「ルーツを辿る旅with友人」が決定した。
「こいつアホなんか?」と思ったが、正直な話をすると一人で鹿児島まで行くのは寂しかったのでありがたかった。
持つべきは良き友人である。
というわけで謎の旅が決まったわけだが、問題が一つ浮上した。
「鹿児島まで行って、それで終わりにするのか?」という問題であった。
鹿児島までに行って、「はい終わり帰宅」というのも実に寂しい旅である。
といっても鹿児島どころか九州すら一回しか上陸したことのない(しかも大分~長崎)自分は適当な観光地を思いつくわけもなく「熊本とか行くか~」と言っていた。
そんな中、友人が世迷言という名の素晴らしい案を出した。
「高千穂行こうや」
は?
「天孫降臨を感じに行こうや」
こうして天孫降臨を感じることになった。
九州の観光地の中でわざわざ天孫降臨の地をチョイスするセンスがすごい。しかしながらこれは元ネトウヨの自分の琴線にバッチリ触れ、無事天孫降臨ツアーは決行されることになった。(ちなみ友人も元ネトウヨである)
というわけでルーツ辿り⇒天孫降臨ツアーとなった旅だが、またもや一つ問題?が出てきた。
「高千穂遠い」問題である。
なんと二人とも意気揚々と言っていた割には高千穂の位置を把握しておらず、「高千穂?宮崎の南側やろ」とかぬかしていたのだが調べてみると南側どころか宮崎県最北端に位置していることが判明した。
往路にフェリーで大阪南港~鹿児島志布志港(鹿児島の右側の半島の大隅半島にある港)ルートを使い、復路は同ルートか鹿児島空港か熊本空港からLCCで帰ってこようと考えていたので、高千穂が宮崎の北側にあることは誤算だった。
「宮崎空港から大阪にLCCって飛んでんの?」とか話してると、一つの妙案が出てきた。
「大分からフェリーで帰ったら良くね?」
目から鱗だった。たしかにフェリーにも志布志着大分発の九州縦断プランあったわ。
ということで「大分か~別府温泉寄るか~」とか言っていたのだが、二人とも重要なことに気がついてしまった。
「高千穂から大分で海路で帰阪か…
うん?…」
「これ天孫降臨からの神武東征のルートじゃね……!?」
もうそこから二人のテンションはおかしかった。
自分(友人)のルーツを辿りに行くと思っていたら日本のルーツを辿りに行くことになっていたのだから、それも仕方ない。
そしてここまできたらということで、この旅の終わりは「橿原神宮」で終えることになった。なんだこの旅。
ついでにダメ押しに高千穂に行く前に屋久島で縄文杉を感じることにもなった。こんなん日本の始まり感じてまうやん。
こんなことを諸々話し、今宵の反省会?は終わった。
二人とも帰り道のテンションは終始おかしかったし、友人は「もし遠縁の〇〇さんに会えたら泊めさせてもらおうや。それがドキュメンタリーなんや」という訳のわからないことをずっと言っていた。無理でしょ(林修)。
というわけで夏休みにルーツ(諸々)辿りの旅が決定したが、費用を全額自分で捻出できるかわからない(というか無理)のでルーツ巡りという名目の下、親の情けをどれだけもらえるかが勝負である。というかそもそも総額幾らになるんだこの旅。
ルーツ辿りという名目を訴えるので、この投稿が両親にバレないことを願いたいと思う。以上