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2021/12/21「異常な献身」

また単話買いしなければいけない作品が増えた。

読みはじめたのは昨日……というか、日付的にはまさに今日なのだが、とにかくこれが大当たりだった。地獄の底から這い上がってくる執念の女が好きなのであらすじを読んでなるほど~!と興味を引かれて読みはじめた結果ドハマりし、4話まで無料で読みそれ以降一気に単話で買ってしまった。あらすじは下記の通り。

皇帝によって、生きた魔剣に姿を変えられてしまったシャーリーズ・ローナン。 地獄のような日々を生き、400年間の祈りの末、剣となる前の過去へ戻ることができた。 復讐のため、帝国を滅ぼすことを決意したシャーリーズ。 帝国を支配する未来の権力者となるディラン皇子を手懐け、暴君に育てようとするが…

https://piccoma.com/web/product/72074?etype=episode

これだけのあらすじで「この作品は面白いかもしれない……」と思うの、察しの力がカンストしているとしか思えないのだがとにかくよかった。今まさに時間があるので1話から35話まで読み返しつつ、特に好きな台詞や描写を引用したいと思う。

「家族を避ける理由も 家族に愛されたいという気持ちも
一抹の恨みまで 全て消えてしまったもの」
母親の死を自分のせいにされても家族を恨むまいとした無垢だった日々
マスターになりさえすれば家族に愛されるという無邪気な勘違いは全て捨てた
「謝らないわ 私は何も悪くないもの」

第2話

「皇子 自尊心とは何か知っていますか?
そうです 私はその言葉を知る前から
自分の自尊心が高いと知っていました」
「それとこの話にどんな関係が?」
「皇子も同じなのでは?
自分への揺らがぬ確信があるでしょう いつも」

「誰にわかってもらわなくても構わなかった
他人の承認など必要なかったから
知っていた 待っていた そして特別だった
鳥は飛ぶしリンゴは赤い 子供でも知っている常識です
それと同じように自分が高貴で特別な人間であることを
幼い頃から当然のように知っていました」

「私を警戒しても構いません
もしくは他の人たちのように無視してもいいです
曖昧なことがお嫌いで徹底的な無関心か執着のどちらかしか選べないなら
私に執着してもいいですよ
その執着がどんな形であれ 全て受け入れます」

第17話

周りの視線など気にもとめていない
視線を気にするのは支配者ではなく 支配される者の
役目というわけか…
(人々の前から あの人を隠してしまいたい…)

第22話

「やりたいこと…私にはまだそれがありません
でも師匠にはあるでしょう」
「…はい あります」
「教えてください」
「…皇子 私の主君になってください
いずれこの帝国を導き治める者の最初の騎士として…
私をお選びください」
「師匠 ではあなたは私のレディになってください
私に残されているのはもう師匠だけです」

「師匠の望みは何ですか」
「私に望みは…皇子が世を統べることです
帝国を徹底的に支配し完膚なきまでに破壊してください
跡形もなく粉々にするのです」
「暴君になれ」という彼の人生とこの国を破滅に導く常軌を逸した要求
「それが師匠のやりたいことですか?」
「はい」
しかしディランは 彼の人生の主導権を…
「あなたがそう望むなら」
国の破滅を望むシャーリーに明け渡した

第24話

「そのくらいのことで恥じ入ることなどありませんよ
私まで胸が痛くなります
師匠 ひとつだけ約束をしてくれませんか」
『約束…?」
「…私が何をしたとしても決してそばを離れないと約束してください」
「…殿下が何をしてもずっとおそばにいます」
「…お礼に私もひとつお約束しましょう
聞いてくださいますか? 今度の冬に謀反を起こします
皇位を奪い私が玉座につき天下を師匠に捧げることを約束します」
約束に約束で返された不公平な取引
将来玉座につく男が頭を垂れて帝国を捧げると言う
壊すも治めるも私次第であるかのように

「……これは夢なのですね…恐れ多くも師匠に対して…
…こんな想像をするなんて…シャーリー
…皆がシャーリーと呼ぶのが羨ましいけれど
もったいなくて名前を呼ぶこともできませんでした
…私がどれほど師匠を求めているかわかりますか?」

何故あなたは私の気持ちをそこまで理解しているのですか?
世界に 亀裂が走ったようだった
少女が 師匠が シャーリーが
ディランにとって唯一色彩を帯びて見えた
自分の献身的な性格を警戒して作った壁を
シャーリーが数ヶ月に渡って壊し足を踏み入れた瞬間
彼女がどんな人間であろうと関係なくなった
貴族だから 女性だから 魅力的で賢いからではなく
存在そのものを受け入れる盲目的な尊重
全てを差し出してもいい でも他の者との結婚だけはできない
何故なら 性的に惹かれているから
他人の割り込み隙がないほどお互いを独占する関係でありたい
歴史に汚名を残し 人々に恨まれ呪われても
あなたさえそばにいるなら 血も涙もない覇道を極めたっていい
これが愛でないのなら 何を愛と言うのだろう

第28話

ひたすらに「いいシーン」を並べてみたが無音のいいシーン(無音のいいシーン?)もいろいろあるので毎日こつこつ読んでみてほしい。自分が異常なほどに献身的な生活をしていることを知っていたのにバグを起こして異常な献身を施してしまうのい~よね……。

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