2021/12/20「爆泣き選民思想」
直木賞の候補作が発表された。ラインナップは以下。
大学時代は文学について学んでいたにもかかわらず、実際のところ直木賞や芥川賞について興味を持ちはじめたのは昨年頃からだろうか。村田沙耶香作品で卒業論文を書いた話は定期的にしている気がするが、『コンビニ人間』が芥川賞を受賞した時ですら芥川賞・直木賞への温度感はまったく高まることはなかった。
これは最悪の選民思想なのだが、わたしが卒業論文の題材を村田沙耶香と定めた年(あるいは翌年?)に『コンビニ人間』が芥川賞を受賞したものの「まあわたしは村田沙耶香のことは昔から好きでしたが……」と完全に斜に構えていた。この話をすると大体の年齢が逆算できるかもしれないが、まあ隠すようなことでもないし、エピソードトークのひとつとして書いてみた。
このように歪んだ選民思想フィルターを通した結果、むしろ芥川賞・直木賞への興味関心が擦り減ったのだが、わたしも丸くなったということなのか、文学賞や権威といったものに対して寛容になった気がする。
特に今年は直木賞候補作である『同志少女よ、敵を撃て』『黒牢城』はすでに読破しており、noteにも感想のようなものを書き綴った。
これはこれで直木賞候補作が発表される前に事前に読んでいます、というある種の選民思想だと言われればそれまでなのだが、自分が読んだ本が候補作として挙げられているとついつい気になってしまう。その他三作品を概要程度しか知らないのだが、個人的には『黒牢城』が直木賞を獲ってくれると嬉しいなと思っている。ほんとうになんとなく。
わたしはそれなりに本を読むくせに「一般的な面白い本」がどれほどの面白さなのかを知らないため、『黒牢城』が群を抜いて面白かったのかと言われると「うーん、わたしは楽しんだけど……」とすぐに後ろを向いてしまうのだが本読みの人は「一般的本面白」を具体的に持っていて、「これは一般的な指数を下回るな」「これは上回るな」と冷静にジャッジをしているのだろうか。
昨日も同じようなことを書いた気がするが、結局わたしの中の作品に対する指標が「笑顔」と「爆泣き」しかないためこのような状態になっている気がする。ちなみに『黒牢城』は「爆泣き」だった。
爆泣き『黒牢城』……直木賞、獲ってほしいな!
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